「デキる」(と言われている)人への、辛口アドバイス — 小倉 広「自分でやった方が早い病」(星海社新書)

ヤリ手と言われる人ほど、部下のやっていることが、要領が悪く見えるという悪癖を抱えがちで、つい口出しをして冷たい目でみられたり、部下から仕事をとりあげたり、といったことをやりがちなもの。
そうした「デキる」(と言われている)上司へのアドバイスが本書。
 
構成は
 
はじめに 「自分でやった方が早い」という病の恐ろしさ
第1章 病が進行すると「孤独な成功者」になる
第2章 病を克服すると「幸せな成功者」になれる
第3章 病の根本にある「自分さえよければ」という考え方
第4章 「自分でやった方が早い病」への処方箋
第5章 「自分でやった方が早い病」が再発しないために
おわりに 「自分でやった方が早い」の正体は「自分でやった方が遅い」
 
となっていて、本書によれば
 
この病にかかっている人は、平気でまわりの人の悪口を言います。まるで自分は違うと訴えたいかのように、堂々と言います。嬉しそうに、ドヤ顔で言う人もいます。
しかし、勘違いしてはいけないのは、まわりの人のレベルは自分のレベルだということ。自分のレベルが高くて、まわりのレベルが低いと思っていること自体が勘違いです。優秀な人が集まって来ないのは、あなたが優秀なリーダー的存在ではないからです。ろくでもない部下しか集まって来ないのは、あなたがろくでもないリーダーだからです。
 
ということらしく、「自分でやったことがはやい。」と思いだしてそれを喧伝し始めたら、要注意というところであるらしい。そういわれれば、「自分がやったほうが・・・」という口癖の「デキる人」というのは、当方の周囲で幾人か見受けられるのだが、総じて本人が優秀でも、徐々に干からびたりしてしまうことが多くて、そこは、その人の周囲に「人」が集まらなくなり、「人」からもたらせられる情報も枯渇し、「人」の援助や応援も少なくなるからであるようだ。
 
そして、チーム全体のパフォーマンスを考えると、一人のプレイヤーのパフォーマンスがいかに高くても、チーム全体が力をつけている場合に比べると、どうしても持続力や永続性の面で劣る場合が多く
 
一人の百歩よりも、百人の一歩のほうが、両輪がうまく回る仕組みになっていると言えます。
外部環境適応で言えば、百人が一歩を踏み出しているのですから、変化の激しい外部環境に適合しているでしょう。
 
といった状態をつくることが、組織全体にとって最適解であるようだ。
とはいうものの、今まで「デキる」と言われてきた人が「人に任せる」という境地になり行動を示すのは、そう簡単ではなく
 
「自分でやった方が早い病」を克服して、まわりの人と成長していくことに決めたあなたは、もう「エースピッチャー」ではありません。
昔の快感が忘れられずに、いつまでもマウンドに登り続けていれば、若手のピッチャーが成長しません。
若手の活躍できるチャンスをみすみす奪っていることに他ならないのです
 
「我慢」が必要なのです。
一時的にトラブルが多発しても、子どものことを信じて待つしかありません。40%のパワーで我慢していれば、いずれ子どもは少しずつ変わっていきます。
本当に徐々にではありますが、プラスに向かっていくのです。
 
といった風に、今まで自分のパフォーマンスを挙げてきた手法とは、視点の異なる手法が必要となるようだ。そして、さらには
 
会社の中は、ビギナーコースです。
つまり、任せるけれど、すべて見ているし、細かくチェックもする。
一挙手一投足を眺めて、脇からハラハラしながら見守る必要があます。
いざとなればすぐに助けを出せる態勢を整えておくわけです。
 
まわりの人や部下に仕事を任せると楽になる。
そう勘違いしている人も多いのですが、それはまわりの人が一人前だったり、部下が立派に成長してからの話です。
最初は、必ず仕事量が増えるので、任せた本人の負担も大きくなります。
 
ということらしいので、「人に任す」というのもスムーズにやるのは、結構骨が折れるものである。
 
ただまあ、
 
伸びている会社の社長さんには共通点があります。「忙しい」と言わない。また、いつも余裕があって、ニコニコしている、ということです。
伸びている会社ほど仕事は多いはずなのに、そのトップである社長が余裕の表情を浮かべている。この謎ももちろん「自分でやった方が早い病」が絡んでいます。伸びている会社のリーダー、マネージャーはきちんと任せることができているのです。
 
ということであるので、「自分でやった方が早い病」の克服は、成長を目指す「個人」や「企業)に必須のようだ。本書を読んで、治療をがんばってはいかがでありましょうか。
 

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