「JR九州の躍進」は、熱気を持って、基本に忠実に動くことにある — 唐池恒二「新鉄客商売 本気になって何が悪い」(PHP研究所)

前作「鉄客商売」での、本州各社に比べて、経営基盤も脆弱なJR九州の引き続きの、奮闘記。
本書では、JR九州を象徴する「ゆふいんの森」や「ななつ星」のデザイナーである水戸岡氏と筆者とのインタビューも収録されていている。
 
構成は
 
本気にまえがき
上場までの道のり① 逆境と屈辱
上場までの道のり② グッドデザイン イズ グッドビジネス
会社人生をまるっと変えた四ヶ月 丸井学校への入学
玄界灘 波高し① たからもののの社員たち
玄界灘 波高し② ケンチャナヨ課長
「外食王」への道 第二幕① レストランはメーカーである
「外食王」への道 第二幕② 上・京・物・語
「外食王」への道 第二幕③ 最高の大家さん
「南九州観光調査開発委員会」のこと① 会議は走る
「南九州観光調査開発委員会」のこと㉜ なんとなくカツオではダメなのだ
「エル・ブリ」に学んだこと 世界一をめざすがゆえに
上場までの道のり③ これが本気の人事だ
農業を始めた 動物記
或る仕事論 競争は力なり
きっかけは「日本一の朝ごはん」 日本一のたまご
宮崎・飫肥という理想形 まちの三題噺
その気にさせる力① いつでも最新の夢を
その気にさせる力② 本気を伝える戦略
本気の学び
 
となっていて、前作では、国鉄かたJRへの切り替えの頃から「ななつ星)誕生までの間の、福岡〜釜山間の高速船就航の誕生話やJR九州外食事業部の居酒屋「驛亭」やカレー店の「印度屋」が人気店になっていくまでのいわば成功物語、成り上がり物語が多くを占めていたのだが、本書で当方的に印象に残ったのは、JR九州の上場や「ななつ星」のところではなくて、フードサービス部門がいつの間にか
 
一本五円のコスト削減を成し得たわけだが、それ以上に失ったものは大きかった。来店客数が減少し、「手づくり」を行なっていた時期と比べると、売り上げそのものが二割から三割ほど落ち込んでいた。
 
といった風に、本社の指示によるコスト削減の美名のもとに、売上が激減していたものを
 
メーカーは、仕入れた原材料を自らの手で加工したり組み合わせたりして付加価値の高い商品をつくり出す。小売業は、出来上がった商品を仕入れ、ほとんど手を加えずに仕入れたままの状態で販売することを業とする。  そして外食業は、仕入れた食材を調理という加工を施し料理という付加価値の高い商品をお客さまに提供する。だから、外食業はメーカーのひとつとして分類される。小売業とは違う。
 
といった信念から、「手作り」の基本を取り戻して再生させるところが結構、泣かせどころなのだが、「管理部門」が口を出して「角を矯めて・・・」ということになるのは、どこの組織も同じなのであるな、とちょっと悲しくなる。
 
さて、未だ勢いの衰えないJR九州の、しかも、その躍進の原動力となった人物の回顧談であるので、少々、熱が熱すぎるところはあるが
 
一方で、 ひとつの夢がかなうということは、その夢が夢でなくなるということ。  次なる夢を描かなければ組織は停滞 してしまう。夢があるから、組織や人は進むべき方向を見失わない。 方向が見えていると「気」が満ち 溢れてくる ようになる。逆に、夢がなくなると「気」も集まってこない
 
と「前へ、前へ」と組織を動かしていく力には学ぶべきところ多数である。
特に「熱気あふれるビジネス書」を久々に読みたくなった向きにオススメでありますな。
 

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