PDCAが回らないのは「回る仕組み」がないから — 岡村拓朗「自分を劇的に成長させる PDCAノート」(フォレスト出版)

「PDCAが大事」とか「PDCAを回さないと」といった発言がビジネス現場ではよく聞かれるのだが、では実際にどうやって「回せばいいの」となると、途端に「モゴモゴ」してしまうことが多いのではないだろうか。
そういう向きに、「PDCAノート」というツールを使って、PDCAを実践するためのノウハウを教えてくれるのが本書。
 
構成は
 
第1章 PDCAを回すだけで人生は変わる
第2章 ノートを書く前に覚えておくべき「PDCA思考」
第3章 PDCAノートのつくり方
第4章 PDCAノートを高速で確実に回す方法
第5章 PDCAを習慣化する方法
終章 あなたのビジョンを実現するPDCAを回そう
 
>PDCAが現場で機能しない理由<
 
まず、筆者によると、PDCAが実際の現場で機能しないのは
 
(多くの人が)PDCAを回さないのではなくて回せない(P5)
それは「PDCAの回し方」を教えてもらったことがないから(P26)
なぜ、PDCAが回っていかないかというと「回す仕組み」をつくっていないから(P30)
 
ということらしく、PDCAを回すための基本ルール(P38)として
 
「見える化」 PDCAは視覚化できれば回る
「仕組み化」 PDCAは仕組みで回る
「習慣化」  PDCAを回すことを習慣化する
 
といった仕組み、システムをつくることがまず大事であるようだ。
そして、そのツールとして提案されるのが、PDCAノートで、簡単に言うと、A4ノートを用意して、解決しようとするテーマごとに、線を4本引いて、それぞれ
Plan(計画)、Do(実行・実績)、Check(評価・気づき)、Action(改善策)に割り振って分析していく方法である。
 
このノートのサイズは、筆者なりに「手帳や小さいノートでは、PDCAのフレームをつくって細かく書いていくと、スペースがどうしても足りなくなる。ノートのサイズは、思考のサイズそのもの」と拘りがあるようで、A4以上の大きさが必須とは主張されているのだが、ここは、それぞれが使ってみて判断すべきところかな。そして本書の優れているのは、例えば「デイリーPDCAノート」や「プロジェクトPDCAノート」といった風に、用途別にいくつかノートのフォーマットが示されているところで、これを基礎にしてかなり応用できる範囲は広そうだ。
 
>PDCAを続けるコツ<
 
さらに、参考となるのは、PDCAを続けるためのアドバイスが種々あるところである。PDCAに限らず、ビジネス・スキルは、本を読んだり、セミナーを受講した当座は、熱意もあるからやってみるが、時間が経つと冷めてきて、いつの間にか引き出しの奥にしまったまま、となるものが多い。その点を本書では、
 
PDCAノートが書けなくなる人は、計画通りに事が進まなかったことを「失敗」と捉えている。逆にPDCAノートを書き続けられる人は、計画通りに事が進まなかったことを「気づきと改善策が生まれるチャンス」として捉えている。
PDCAを回している限り、本来的な意味での失敗はなく、全て成長するための「チャンス」(P154)
 
 
PDCAを回す上で重要なことは「やることを増やそうとしない」こと(P170)
やるべきタスクを増やしていくのではなく、やるべきことを選択したら、これまでやっていた改善策やタスクをやめてみる(置き換え)(P171)
行動が1つ増えたら、1つ減らす(P172)
 
といったように、精神論ではないアドバイスがあるところが嬉しいところで、PDCAを習慣化するゴールデンサークル(P226)は、
 
1 手帳でタイムマネジメントを行う
2 PDCAノートメソッドで日々のPDCAをまわす
3 入ってくる仕事はGTDメソッドで制御する
4 解決策を考えて次の予定に入れる
5 PDCAをひたすら回していく
 
ということなのだが、細かなノウハウは、ぜひ本書の中で確認をしてほしい。
 
>PDCAの最終目的<
 
さて、筆者によれば、PDCAの最終目的は
 
ひとつの仕事の型をつくる。その型があればいつでも再現できるようにすることこそPDCAを回すことのゴール(P189)
 
ということで、
 
「今の自分をクビにしないと、次のステージにはいけない」
つまり、強制的に今の仕事を突き放す必要がある
しがみついている限りそのステージから抜け出すことは出来ない。あなたの生産性が上がらないだけでなく、組織も活性化せず停滞していく(P209)
 
といった風に、自らのライフステージも「PDCA」サイクルよろしく、次の高みに向かって誘導していくことであるようだ。
 
>最後に<
 
ライフ全体をどうこう、というのはちょっと大げさすぎるのだが、少なくとも「仕事」「働く」といったシーンでは、本書の「PDCAノート」は、かなり「使えるツール」であるような気がする。成果や実績が要求される場面は増え、それを達成するためのツールは各種紹介はされるのだが、それを使うコツはあれこれ模索しないとたどり着けないのが実情。
まずは、本書のノウハウを試してみてはいかがか。
 

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