トヨタ流の「PDCA」は「前へ」と行動すること — 原マサヒコ「Action! トヨタの現場の「やりきる力」」(プレジデント社)

筆者は、トヨタ自動車のメカニックを経て、カイゼンやPDCAの普及推進を行っている方らしい。なので、PDCAも「トヨタ風」というか、トヨタの「カイゼン」風味がつけられているので、そこはご留意を。
 
構成は
 
第1章 Action1/行動力
 すぐに動きたくなるトヨタの現場の考え方
第2章 Action2/振る舞い
 結果を出す人は仕事でどのように振る舞っているのか
第3章 Action3/作用
 やりきる人の頭の中では、何が作用しているのか
第4章 Action4/カイゼン
 さらに成長するために必要なカイゼン思考とは
第5章 「Action」を意識することで得られる3つのactionとは
 
となっていて、PDCAの「指南本」とはいっても、計画の立て方とかチェックのポイントといった技術的なところではなく、「トヨタのカイゼン」本によくあるような、現場をまず重視すると共に、人の心を鼓舞する「PDCA本」といった風情が強い。
 
そこのところは、例えば
 
豊田喜一郎氏は次のような言葉を発しています。
「議論を先にすることをやめた」
どのような場面でこのコトアがでてきたかというと、なにか新しいことをする時に、最初に議論をしてみたけれども、そこで出た結論の通りやっても上手くいかなかったのだそうです。そこで、まずは行動をしてみたところ、最終的に良い結果を出すことができたということです。(P19)
 
や、
 
三現主義を意識することでのメリットは数多くあります。「まず現場」とか投げると何が起きるかといえば、視野が広がっていきます。氏茶が広がって見えるものが増えると関心も強まっていきますので、結果的に行動したくなってくるものなのです。さらに、視野が広がることで自らの置かれている状況を客観視できるようになります。そうすることで判断の精度が上がっていくとも言えるかもしれません。
 
といったところで、「現地に行って、現物を見て、現実を知る」という「三現主義」を礼賛するあたりによく現れている。
 
さらにそれは目標の立て方にも出てきていて
 
「このやり方でいい」と動きが固定してくると、思考も凝り固まってしまい、新しい発想が起こりにくい環境になってしまいます、そんな時にどうするかというと、トヨタの現場では「非常識な目標を立てろ」と言われています。
「非常識な目標」というのは何かというと、通常では設定しない大きな数値目標です。・・・いつも設定している目標値の何倍もの数値設定を行うのです。
こういった動きをすることで何が起きるか、というと「思考の飛躍」です。(P48)
 
といったところが顕著でありますな。
 
さて、「PDCAを回す」といっても、その回し方が冷めたやり方をするか、熱いやり方をするか、では導き出される結論もかなり違ったものになる。総じて、冷めたやり方をすれば「守るAction」になり、熱いやり方をすれば「攻めのAction」になりがちである。どちらが良いかとなると、単純には言えないが、本書で主張するような「立ち止まることは後退することと同じ(P173)」や「動かないことは最大のリスク(P174)」といったスタンスで、「まずは行動する」というのも「PDCA」の実践には大事。
 
行動を起こし、まず試してみるということが重要(P15)
人間のやったことなんか、人間がやれることの100分の1に過ぎない(P16)
 
といった気持ちで取り組んだほうが、気分よく過ごせそうですよね。
 

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