「職場」と「仕事」だけではない。「働き方」の本当の改革が必要な理由。 — 沢渡あまね+奥山睦「働き方の問題地図」(技術評論社)

「職場」「仕事」と仕事がうまくいかない原因について分析がされてきた「問題地図シリーズなのだが、今回は、そもそもの「働く」ことの基礎である「働き方」の分析である。

構成は

1丁目 グローバル化できない職場
2丁目 正社員だけ
3丁目 完全出社主義
4丁目 副業禁止
5丁目 男性主体
6丁目 フルタイム前提

ということで、「働き方改革」の政府を含めた最近の議論のタネとなっている事項がおおよそカバーされている。ただ、その議論の実態はというと

いままで働き方開会は、単に個人のぴらイベート時間を増やすための取り組みのようにしか語られてきませんでした。「残業規制すればいいんでしょ」「はい、自由時間を増やしました。あとは知りません。」(P14)

といった状況に「なので、生産性上げるの当然でしょ。」という企業論理が覆いかぶさるというところではなかろうか。
本書はそういう状況に危機感をもって
・「男性視点」「女性視点」の一方に偏らない働き方
・「企業」と「個人」双方がハッピーになる働き方
を模索しようという取り組みである。

ではあるのだが、その前に立ちはだかる問題は結構壁が高くて、いまや外国人抜きでは語れない労働人口の状況であるのに、外国籍の人が日本の職場に着任すると

①その部署の役割・価値がわからない
②だれが何をやっているのかわからない
③習うより慣れろ
④出社至上主義
⑤正社員はなんでもやって当然
⑥会社の言うことは絶対

といったことに直面し、介護や子育てなどで柔軟なワーキング・スタイルが求められているにも関わらず、「正社員優先」の会社組織・公務組織は

①専門性の欠如
②高コスト化
③属人化
④マンネリ化
⑤ガバナンス・コンプライアンスのリスク

といった問題をはらみつつも、依然として岩盤のように「強固」に存在するといった具合である。
さらに、以前から社会をあげて取り組んできたはずの「男女雇用機会均等」ですら

日本では「3歳までは、母親が子どもを自分の手元において育てるべきだ。」という”3歳児神話”が根強く残っています。過程はもちろん、地域社会でも、会社内でも、です。(P182)

という意識が残る中

「管理職はか、会社に長時間いて、365日対応できないと・・・」
そんな”会社命”び管理職が多いと、特に家庭責任を担うことが多い女性社員は「私には絶対ムリ〜!」とギブアップせざるをえません。(P185)

という状況に追い込まれながら、企業は、女性管理職の登用数を競い合う、といった様相であるようだ。

もちろん、痒いところに手の届く「問題地図」シリーズであるから、外国籍社員の課題では、「業務定義力」「自己紹介力」「シンプルコミュニケーション力」という3つの”王道”のほかに

究極の英語コミュニケーション、それは英語をいっさい使わないこと(P60)
図は最強のコミュニケーションツール(P61)

多くの外国籍社員は、会社に対する忠誠心は希薄ですが、個人に対しては強い忠義心を発揮します(P80)

といったプチ処方箋も教えてくれるし、出社至上主義や介護や育児でフルタイムで働けない問題への対処法として

テレワークを採用している多くの企業が「完全テレワーク」ではなく、月4回、週1〜2回などの「部分テレワーク」を実践していますし、それが現実的です(P130)

海外では出社しない働き方、すなわちリモートワークはあたりまえ(P137)

といった「ソフト」なテレワークの提案もされている。

まあ、なんにせよ前途多難、課題山積の「働き方改革」であるようなのだが、「働き方」の問題は、「5丁目 男性」のコラムで言われているように、女性には、組織内で昇進に値する人材が、性別や人種などを理由に低い地位に甘んじることを強いられる「ガラスの天井」に悩めば、男性は、収入と引き換えに危険な職種や長時間勤務、自殺、病気や事故による高い死亡率などの過酷な状況の「ガラスの地下室」に押し込められるという、男女共通の問題である。
双方の協働でなんとかしないといけない問題でありましょう。

 

【関連記事】

「働く」を阻害する「職場」に仕掛けられた罠の数々 — 沢渡あまね「職場の問題地図」 (技術評論社)

ワーカー、リーダー、職場環境の三方それぞれに原因がある「仕事」がうまくいかない現実への処方箋 — 沢渡あまね「仕事の問題地図 」(技術評論社)

「働き方改革」=「時間外削減」ではないことを認識すべし — 沢渡あまね「働く人改革」(インプレス)

コメント

タイトルとURLをコピーしました