「安定した低空飛行」経営に、「働き方改革」の特効薬を見つけた

「働き方改革」の掛け声は相変わらず勇ましいのだが、努力しても労働時間はへらないし、効率化をしてはずなのに、ラクにならない、というのが多くのビジネスマンの「働き方改革」への実感ではないだろうか。

そんなあなたに参考になりそうなのはかつて”BUSINESS INSIDER”の「売上増も他店舗展開も捨てた企業ー「家族で晩御飯」の働き方をフランチャイズ展開」で取り上げられていた株式会社minittsの経営する国産ステーキ丼専門店「佰食屋(ひゃくしょくや)」のビジネスモデルである。

【「安定した低空飛行」を目指す「働き方」】

詳細は、上記の記事で確認願いたいのだが、要点は

・飲食店は、平日より土日の方が大変なわけだが、土日に余分に働いたからといって給料が高くなるわけではない。

・「頑張ったら自分に返っていくる仕組み」を飲食店に導入できないか考えたのが「1日100食売り切ったら、その日は店仕舞い」というシステム。

・休暇は、社員・アルバイト同士が話し合ってシフト変更をする

・ビジネスプランコンテストではケチョンケチョンに言われたが、今では3店舗まで増えた。

・ただ、基本は会社を拡大しようというのが目的ではなく、「自分たちが働きたい会社」をつくること。譲れない条件は「家族で晩御飯が食べられること」

ということ。

その基本理念はあくまでも「会社に貢献している人が報いられないのはおかしい。会社が儲かっても社員が報われないのはおかしい」ということにおきながら、今後は「佰食屋」から。さらにダウンサイズして「五十食屋」を増やすことを目指す。
つまりは「安定した低空飛行」ができる店を増やし「働き方のフランチャイズ」をつくりたい

といったことで、いわゆる「拡大志向」から遠いところにいようという意思が強固に示されている。

【注目ポイント】

この「佰食屋」の方法は、拡大路線がビルトインされている企業経営にとってはタブーとも言えるのだが、縮小均衡路線にもかかわらず、営業は好調である様子。
で、この方法は、「労働生産性の向上」を図っても、そこで出た余力が新たな「労働」へ振り向けられてしまい、けして「働き方改革」になっていない、多くの「働き方改革」の事例への挑戦でもある。
今回は、「佰食屋」の例から、他でも使えるエッセンスを抽出してみた。

◯リミットを決める

リミットは仕事の期限ではなく、仕事の「量」。「佰食屋」では「100食を売り切るまで」という物理的な制約を設けており、この「量のリミット」を設定することが、ヤリ過ぎや働きすぎの防止になりますね

◯売り物を絞る

「売り物」を拡大すればするほど、その品揃えと在庫の管理に労力が必要になる。「佰食屋」の例では、「ステーキ丼」一択に絞られているので、準備するものも限定的になる。要は、拡大することに伴う「準備のロス」をできるだけなくすということですね。

◯フォロワーシップを徹底する

「佰食屋」では、社員同士の休暇の管理のときにシンボライズされているのだが、最近の組織論では、強いリーダーが全ての方向性を示すよりも、構成員同士が互いにフォローしながら方向性を決めたほうが有効な場合があるとされている。
もちろん、大きな経営方針は経営者が決めないといけないのだが、些末なことまでトップが口をはじめると、ナンバー2、ナンバー3がもっと細かな管理を始め、といった具合にどんどん管理主義の度合いが進んでくる。
こうした「管理のためのコスト」をできるだけなくすのが、フォロワーシップの徹底であろう。

【まとめ】

「働き方改革」が進まないのは、無制限な拡大路線を選択しながら、働き方を改革しようというところにもある。「働き方改革」を実効あるものにするには、「佰食屋」のモデルを参考に「縮小均衡」も考慮にいれるべき時期のような気がしますね。

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