ブログのプランニングに「マーケティング理論」はいかが ー 永井孝尚「これ、いったいどうやったら売れるんですか」

ブログを始める前には、そのブログのテーマをきちんと考えなさい、っていうのは、ブログ教本には書いてあるんだが、どうやっていいのか方法がわからないのが悩みのタネの人は多いはず。

ただ考えてみると、ブログのプランニングというのは、新商品開発や商品企画と同じなのでは、ということで、いわゆる「マーケティングの手法」が使えるのでは、と思いついたのだが、経済学や経営学の本というと、大学の講義をはじめ、やたら横文字や難しい漢字が出現して、普通の一般人なら、気楽に読もうと思える代物ではない。

で、見つけたのが、そういう類の主要なマーケテイング理論を、具体のケースを使いながら、とてもわかりやすく解説してくれているのが、本書『永井孝尚の「これ、いったいどうやったら売れるんですか?ー身近な疑問からはじめるマーケティング」(SB新書)』である。

【構成は】

第1章 腕時計をする人は少ないのに、なぜ腕時計のCMは増えているのか?
 ー「バリュー・プロポジション」と「ブルーオーシャン戦略」
第2章 人はベンツを買った後、どうしてベンツの広告を見てしまうのか
 ー「顧客」と「ブレンド」
第3章 雪の北海道でマンゴーを育てる
 ー「商品戦略」と「顧客開発」
第4章 あの行列のプリン屋が赤字の理由
 ー「価格戦略」
第5章 なぜセブンの隣にセブンがあるのか?
 ー「チャネル戦略」と「ランチェスター戦略」
第6章 女性の太った財布には、何が入っているのか
 ー「プロモーション戦略」と「マーケティングミックス」
第7章 きゃりーぱみゅぱみゅは、なぜブレイクしたのか?
 ー「イノベーター理論」と「キャズム理論」
第8章 古本屋がふつうの古本屋より儲かる理由
 ー「マイケル・ポーター5つの力」と「競争戦略」

となっていて、副題を見てもわかるように、ほぼ有名どころの「マーケティング理論」はおさえてあって、かなりわかりやすく解説してくれている。特徴としては、オーソドクスなマーケティング解説本といえるのではなかろうか。

 

【注目ポイント】

いくつか、使えそうなものを紹介しよう。

◯「認知的不協和の解消」

これは第2章で紹介されているもので、高い買い物をした人ほど、内心、「本当に買ってよかったのか」という不安を抱えていて、買った商品のHPを見て、買ってよかったを確認するという心理。

このへんは、高額商品を買って使っている人は、それを紹介したり、初心者では気のつかない使い方や利点を記事にすることによって、読者の不安を和らげるというサイトが考えられそうですね。

◯強者の戦略と弱者の戦略

第5章で紹介するイオンの「強者の戦略」とセブンイレブンの「弱者の戦略」はサイトのテーマなどを考える上で重要なキーワードとなる。

それぞれの戦略の基本をまとめると

強者の戦略の基本(P118)=イオン
「広域で戦う」
「総合力で戦う」
「遠隔戦(巨大店舗をつくり、遠方からもきてもらう」

弱者の戦略の基本(P120)=セブンイレブン
「局地戦に持ち込む」
「得意技で戦う」
「接近戦」(通勤や通学で必ず通る場所やオフィス街でランチの時に立ち寄る場所など、生活に密着した場所に出店する)

ということであるのだが、大企業がECサイトをつくるのが「イオン」の戦略であるとすると、個人がブログやアフィリエイトサイトをつくるのは「セブンイレブン」の戦略といえますね。

◯マイケル・ポーターの5つの力

第8章でとりあげている「ポーターの競争戦略の5つの力」(P183)とは

市場関係者を
「買い手」
「売り手」
「新規参入事業者」
「代替品」
「同業者」
の5つにわける。

そして彼らと自分の力関係をチェックし、どちらが強気に立てるかを分析する。ポイントは、相手にとって自分がどのくらい「オンリーワン」の状態かをみること。
オンリーワンであれば強気に立てる。これは競争に勝てるということ

ということであるのだが、
「買い手」=読者
「売り手」=サイト運営者
「新規参入事業者」=同一ジャンルの新規ブログ
「代替品」=ネット以外の同ジャンルの情報提供源
「同業者」=文字通り、すでに同一ジャンルの先行サイト
といった感じであてはめていけば、自分のつくろうとしているサイトの方向性とか、優位性をどこに求めるか、ってなことを考えていく道標になるように思えますね。

【レビュアーから一言】

本書は、入門レベルのマーケティングの解説本なので、マーケティングをがっつり学ぼうと思っている人にとっては、物足りないのであろうが、ブログのプランニングのために、マーケティング理論を使ってみたい、といった用途であれば、このレベルで十分であろう。
ブログに限らず、仕事上のちょっとした企画とかでも、考えるヒントになると思う。ページ数も多くないので、一読してみてはいかがであろうか。

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