多忙なビジネスマンが「学び直す」には独学が一番 ー 野口悠紀雄「「超」独学法」

学校を出たら「勉強」は終わり、社会人になったら日々の仕事で手一杯で勉強している暇なんかない、っていうのが許されたのは、平成の初期まで。
AIが我々の仕事を奪うことが心配されたり、人生100年時代といわれる現在、いつまでも「勉ぶこと」を続けないといけない時代になっている。とはいうものの、日々の仕事に追われ、「学校」に行く時間もまとまったお金はなかなか捻出できないビジネスマンに、「独学で十分」とエールを贈ってくれるのが本書『「超」独学法 AI時代の新しい働き方へ(角川新書)』である。

「超」独学法 AI時代の新しい働き方へ (角川新書)
野口 悠紀雄
KADOKAWA (2018-06-09)
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【構成は】

第1章 独学の第一歩を踏み出そう
第2章 独学者たちの物語
第3章 私も独学で勉強した
第4章 独学は新しい働き方を可能にする
第5章 なぜ学校でなく独学のほうがよいのか?
第6章 独学を継続させるには
第7章 学ぶべきことをどのように探し出すか?
第8章 英語は独学でしかマスターできない
第9章 検索は独学の重要な道具
第10章 人工知能の時代に独学の必要性は高まる

となっていて、第1章から第3章までは、独学のススメや歴史上の人物、例えば、シュリーマンやリンカーンといった人たちは独学で深い知識を身に着けた、といったことや筆者自身の独学体験。
第4章から第5章は、独学の新しいメリットや学校での「学び」との比較。
第6章以降は、具体的な「独学」の方法論。
といった構成になっているので、各自の目的意識に沿って「飛ばし読み」や「落下傘読み」でも十分効果はある。

【注目ポイント】

まず、おさえておかないといけないのは、「独学」の前提として、なぜ「学び続けることが必要なの」というあたりなのだが、このあたりは、なんといっても「人生100年時代」といわれるように、ヒトの寿命が会社の寿命を追い抜いてしまったという点が最も大きいようで、

長寿化時代においては、人生に新しいステージが出現する。
人間の生物的条件から言えば、引退年齢が 70 ~ 80 歳にならなければならない。仕事をする期間が長くなり、働き方も画一的ではなくなる。だから、選択肢の幅も広がらなければならない

ということが「独学」を今、見直さなければならない理由である。
そして、この場合「LIFE SFHIFT」などでよく言われるのが、「働き方」のスタイルが今までの、1社に終身雇用されるというスタイルでは、我々の人生で活動できる時間が大幅にはみだしてしまうこととなり、

人生100年時代に、1つの組織の中で働き続けるのは、難しいだろう。それよりは、組織の中での仕事はある時点でやめて、あとは、自分のやりたいことをフリーランサーとしてやるほうがよい。

といった「働き方」の変化を否応なしに迫られることになる。そして、こうした「働くことの長期化」「フリーランス化」に対応して、働く側に方も、自らの能力を高めたり、広げたりといったことが不可欠になるのだが、その場合

もちろん、講義を聞けば、何らかの効果はあるだろう。・・ただし、これはあまりにも非効率な方法だと考えざるをえない。・・・コストを払ってもそれ相応のリターンが得られるとはかぎらない。逆に。「独学はタダだから質が悪い」とは言えないのだ。 同じことは、独学でもできる。そうすれば、自分の必要に合った勉強ができるから、効率的だ。

とコスト面で「独学」の方が「学校」よりも「お得」というのが筆者の主張である。
たしかに、多くの社会人が会社の仕事を抱えながら、なおかつ学ばなければならない、という条件を考えると、「学校」という選択肢はかなり難しい。特に、アメリカのように自らのスキルアップを図るために、会社を一定期間辞めて、学校に入り直すということは、雇用環境面でも、受け入れる大学側でもかなり高いハードルで、地方在住者には、ほとんど、オンライン講義がもっと普及しないと、「独学」以外の選択肢は残されていないのである。

とはいうものの、「独学」の道が平坦ではないのはもちろんで、特に

独学では、知りたいことを自分で決める。つまり、「プル」しなければならない。  したがって、「何をプルするか」ということが重要になる。つまり、カリキュラムを自分で作らなければならない

まず重要なのは、問題そのものを「探す」ことである。何を目的にして何を勉強したいのかという問題意識を明確にすることが重要

という風に、最初のとっかかりをどうするか、というところが最初の難関で、これを超えたあとに、どう継続していくか、という次の関門が立ちはだかる。
この継続をどうするかについて本書は

①はっきりとした目的を持つ
②強いインセンティブを持つ
③勉強の楽しさを活用する
④時間を確保する

といった処方箋を示しているのだが、詳しいレシピは原書で確認してくださいな。

このほか、例えば、独学でもっとも多い「語学」の独学法について、

実際には、「正確に聞けること」のほうがはるかに重要である。なぜか?  第1の理由は、「話せても、聞いて理解できなければ実用にならない」ということ

実際のビジネスシーンでは、聞くことに徹する場面が多い。ひたすら聞くのである。だから、実用英語における最も重要な目的は、正しく聞けるようになることだ。

聞く練習に集中すべき第2の理由は、正確に聞くことができれば、ほぼ自動的に話せるようになるということ

といったような筆者らしい、ひと味ちがうアドバイスも各種用意されているので、お好みと用途にあわせてチョイスしていただきたい。

【レビュアーから一言】

独学のメリットから、独学の手法まで、かなり欲張って盛り込んであるので少々食い足りないところはあるのだが、それはページ数の限られた「新書」ゆえの制約であるのでしょうがない。本書は「独学」を始めるあたっての「羅針盤」的な使い方をするべきであろう。

忙しいビジネスマンが、自らの知識不足に悩んだときは、本書を手にとってみてはいかがでありましょうか。

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