いい仕事をしたいなら「仕事場は楽しくなくてはならない」 ー 斉藤敦子「コクヨ式 机まわりの「整え方」」(KADOKAWA)

「コクヨ」というと日本を代表する文房具をはじめとしたオフィス用品のメーカーであるだけでなく、「コクヨのシンプルノート術」であるとか「コクヨのシンプル整理術」、「コクヨの1分間プレゼンテーション」など仕事術に関する書籍も数多く出していて、今や、「仕事術に関する企業といっていい存在になっている。

本書はそんな「コクヨ株式会社」の研究員を務める斉藤敦子氏(本の著者紹介では、コクヨの働き方とワークプレイスの研究機関「WORKSIGHT LAB.」の所長で、渋谷ヒカリエのメンバー制オフィスの企画開発も携わった、とありますな)による

机の上の状態は、あなたの仕事(頭の中)の状態を表します。
机の形・置き方で。チームの他のメンバーとの関係が決まってきます。

ということを前提として『机を「生産性の高い場」「創造性に満ちた場」にすることを目指す』本である。もっとも、この本で「机」というのは、パソコン作業をしたり、伝票を整理したり、といった単なる物体としての「机」ではなく、仕事場の象徴としての「机」という風に当方は解釈したので、広く「オフィスの環境」「仕事をする環境」の整え方についての提案の書、という風に考えたほうがよさそうだ。

【構成と注目ポイント】

構成は

序章 生産性の高い机には「共通点」があった
第1章 仕事の成果は「机まわりの環境」で9割決まる
第2章 心と体を心地よく、すると、頭の働きがクリアに
第3章 会議室に「情報が流れる道」をつくるのです!
第4章 アイデアは「準備が整った場」から生まれます
第5章 「職場を整える」から「成果がきちんと出る」
第6章 ちょっと高度でカッコいい「机まわり」の整え方

となっていて、最初は

あなたの仕事環境の中心は、パソコンではなく机です。
机を、あなたのアウトプットがつくられる基地と考えてください。(P46)

といった形で、「机」周辺の環境整備から始まって、アイデアの出し方や、オフィス内の机の配置や「壁」の使い方の提案、そして国内外の先端的な会社のオフィスの様子といったところに及んでいる。

当方が注目したのは、まずファイリングの方法で、バインダーは「厚みがある」「場所をとる」「綴る時間もかかる」「外出が多ければ資料をみることもできない」と筆者の目線からはさんざんで

私は、自社のA4サイズのクリヤーフォルダを色違いで活用しています。
Aプロジェクトはブルー、Bプロジェクトはピンク、など、プロジェクトごとに分けたり、企画中はイエロー、進行中はオレンジと、仕事のステイタス(状態)ごとに分けたりします。色分けをしておくと、直感的にクリヤーフォルダを取り出して、資料を引き出すことができるのです。
また、クリヤーフォルダを用いることの利点は、なんと言ってもその手軽さです。
まず、挟むのが簡単なので、不定形の紙やメモも一緒にして、おくことができます
(P62)

簡単に、スピーディに資料を持ち出すことができるーこれはモバイルワーカーにとって意外と重要なことです。(P63)

といったクリアフォルダを使ったやり方を推奨している。このあたり、ちょっと本なのだが「クリアフォルダー仕事術」の系列をひいていて、、このあたりは、書類のデジタル化が進んだ現在に適合したやり方でもあるな。

そして、多くのビジネス現場の悩みのタネの「会議」については

多くの企業では、白くて四角い机が整然と並んでいるのが会議室で、その部屋に入っただけで右脳が硬直してしまうような”密室”になっています。
「四角い」ものは視覚的に固いイメージを与えてしまうため、それだけでフォーマルな印象になります。また、上座・下座といった席による上下関係が生じやすくなります。偉い人から階級順に座っていれば、そとで自由な発言などできません。
つまり、多くの日本企業の会議室は、その存在自体が、新しい発想を出し合う場にそぐわないのです。
そもそも、「会議は会議室で行うもの」というのは思い込みです(P117)

と手厳しいのだが、

「会議で生産性が上がらない原因」は、さまざまあります。でもほとんどが、「環境を整える」「進行をきちんとする」乙とで解決できる問題です。とくに、「空間」という環境は、人の行動を大きく左右することを覚えておいてください。(P120)

といったところは、「やろうと思えばできるかも」と元気づけられますな。

さらには

コクヨはオフィス家具メーカーでもあるので、私が働いているオフィスは、自社製品をたくさん使っています。でも、すべて既製品をそのまま使うのではなく、ちょっとした工夫、カスタマイズやDIY(自身でつくる)をしています。
たとえば、「キャピ、不ットの上に、間伐材でつくった木材天板を載せる」といった工夫をしています。(P89)

とか

ブレストや企画会議などは、オープンな場所で行うほうがよいことは先ほど述べました。でも、良いアイデアを出すために、「もっとオープンな場所」を活用する方法があります。それは「壁」です。
たとえば、コクヨでは、「ナレッジウォール」を設けています。
「ナレッジ(知識・知恵)」を共有する「ウォール(壁)」。
いろいろな人がつくった優れた企画書や提案書を、サムネイル形式にしてアナログな壁に掲示しているのです。(P132)

あるいは


コクヨでは、オフィスのフロアや部屋に個性的な名前をつけています。
たとえば、品川オフィスの場合、顧客やパートナーと将来の働き方とワlクプレイスを考える研究開発、企画、経営戦略部門がいるフロアは「フューチャー」。フロアだけでなく、各スペースにも名前をつけています。「アイデアラボ」「ワ1クラボ」「スタジオ」と呼ばれる目的に応じたスペースがあるのです。
(略)
なぜ場所に名前をつけるのかー名前をつけるだけで会議室がただの部屋ではなくなり、使う人とのインタラクション(交流)が始まるからです(P137)

といったところは、全部とはいわないまでも一部分でも取り入れていくことは可能であろう。あれこれ批判するよりも、まずやってみることが大事でありましょうね。

このほかアイデア出しのノウハウであるとか。ホワイトボードの使い方などなど、個人用のノウハウも豊富に紹介されているので、かなりお得な仕上がりである。

【レビュアーから一言】

昭和の頃は大部屋型で、担当やセクションごとに「島」が形成されていたオフィスがほとんであったように思うのだが、現在は、かなりフリーアドレスも含め自由な配置のオフィスから、旧態依然のオフィスまで千差万別の状況が到来している。

後者のオフィスに勤めている人は「暗澹」とした気分になってしまうかもしれないが、実は大事なことは

海外のクリエイティブな企業を視察していると、気づくととがあります。
それは、個人の机が驚くほどきれいで、ミーティング用の部屋や通路まわりの共有スペースが個性的で楽しくつくられていることです。そしてどうやら、その机まわりのきれいさ・楽しさと、残業の少なさが比例しているようなのです。
彼らの行動パターンを少し観察していると、自分で決めて仕事をしています。仕事をどう回し、何時に帰るかというのはもちろんのこと、職場環境をどうするかについても積極的に関わります。(P174)

というように、主体的に関わろうとする「意思」であるような気がする。『いい仕事をしたいなら、「仕事場は楽しくなくてはならない」』という言葉を胸に刻んで、自分の手でオフィスの環境を変えていくというのがキモのようですね。

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