江戸から日光へ、極東・日本の秘境の旅が始まる ー 佐々大河「ふしぎの国のバード 1」(ビームコミックス)

19世紀のイギリスの女性旅行家で、明治初期、当時は欧米人にとっては極東の未開地であった日本を旅した「イザベラ・バード」の旅行記を底本にして、彼女の旅の姿と日本の原風景をマンガ化したのが本作である。

バードは1878年6月から9月にかけて、日光から新潟を経て北海道に至る北日本の旅と10月から神戸、京都、伊勢、大坂を旅しているのだが、ひとまずは江戸からのスタートである。

ふしぎの国のバード 1巻 (ビームコミックス)
佐々 大河
KADOKAWA/エンターブレイン
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【構成と注目ポイント】

【構成と注目ポイント】

構成は

第1話 横浜
第2話 江戸
第3話 粕壁
第4話 日光①
第5話 日光②

となっていて、1878年5月に横浜に来日するところからスタートする。イザベラ・バードはこの時にはすでにサンドイッチ諸島、ロッキー山脈、ハワイ群島など旅していて、ヨーロッパではすでに有名な旅行家になっていたのだが、彼女が日本へ来たのは、本書によれば、「日本」というふしぎの国を北へと進み

ということであるのだが、おそらく当時のヨーロッパの一般の人々にとっては、とても野蛮な地への無謀の旅という感じであったことは間違いない。

もっとも、日本に幕末の頃から滞在しているイギリス国公使のパークスあたりはちょっと違うようで、バードの旅券を手配する際に

といった感想を漏らしているので、彼にとっては、明治になって欧米化施策が勧められるなかで、1865年から、その人生の多くを過ごしたアジアの国の「思い出」が壊されていくようなことであったような気がする。

もちろん、こういう「日本」、「アジア」への理解を示す欧米人は少数であることは間違いなくて、日光でバードが出会う

のように、多くの認識は、「極東の蛮地」に過ぎない国であったのは間違いない。

そして、その失われたものというのは、バードが「粕壁(たぶん今の「春日部」)」で出会う、水にあたって腹を下したため、自分の代わりを捜してくる人力車夫の「優しさ」であり、「髪上げ」を経て、それまでの幼女姿から髷を結って、幼いながらも、「一人の大人」として振る舞っていく日光の宿屋の娘・お春の「けなげさ」であるようだ。

このあたりは、最近、「日本はスゴイ」的なTVが多いが、150年前に、パークスが遺したかった「江戸」の「美質」が失われたのかもしれないな、ということは心しておいたほうがよさそうだ。

ついでに言うと、日光でバードと通訳の伊藤が駄菓子を買うシーンがあるのだが、いろいろな玩具が入っている「包み煎餅」といったものも失われた「美質」かもしれんですね。

【レビュアーから一言】

イザベラ・バードは、当時の日本という国を「ふしぎの国」と表現しているのだが、あちらこちらにでてくる、今の日本とは大きく異なる姿に、読者である我々も「ふしぎの国」のレポートを読むような気になってくるのが本書である。

とはいえ、今巻は江戸に近い地のレポートで、まだまだ当時の「都会部」の旅である。これから、どんどん秘境度を増してくるのが楽しみでありますね。

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