「アマゾン流」を我が社なりに導入するヒントが満載 ー 佐藤将之「1日のタスクが1時間で片づくアマゾンのスピード仕事術」(KADOKAWA)

グローバルなビジネス展開で、「黒船」扱いされることが多い「アマゾン」なのだが、そのビジネスモデルとか、仕事のスタイルはスピード感のあるやり方が多く、ビジネス戦略の当否は別として、仕事のテクニカルな手法の点では参考になることが多い。

本書は、2000年のアマゾンジャパンの立ち上げに17番目に入社した社員としてかかわり、以後2016年までアマゾンの急成長を「内部」からの体験した筆者による、実践的仕事術である。

【構成と注目ポイント】

構成は

はじめに 速さは「不可能」を「可能」にする
第1章 アマゾンはなぜ「スピード」にこだわるのか?
第2章 アマゾンの時間マネジメント
第3章 アマゾンはすべてを数値化する
第4章 事業を加速させるミーティング
第5章 最高のスピードを生む組織・人材づくり
おわりに

となっていて、まず強調されるのは、そのスピード感であろう。

本書によれば、

アマゾンで求められるスピード感は、高速道路レベルではなく サーキットレベル であるということ。
けれども、何かを変える際、 立ち止まることはない ということ

なのだが、当方がこれとセットで注目したのは

裏を返せば、「アマゾンではお客様の満足度向上に帰結しない仕事や作業スピードアップは決して行わない」ということも意味しています。

というところで、これは「スピード」を上げることを優先するあまり、カスタマーや従業員の視点から離れていきがちなビジネススタイルへの警告でもある。このあたりは、社内の根回しや協議にはたっぷりとした時間をとるのに、変化をするとなるとカスタマーの意向を無視して強引に進んでいくことの多いところ、特に行政セクションは反省すべきことが多いのではないかな。
その面で

あくまでも目的は「お客様の満足度向上」であり、そのための有効な手段が「スピード」です。
目的が社内での評判や競争になっている場合、相手を出し抜くような打算的なメンタリティやモチベーションになりやすいのです。しかし、「お客様満足」が目的にあることは極めてポジティブで、自分のやる気にも直結します。

といったアマゾン・ウェイは取り入れるべきことが多いと思いますね。

こうした、目的だけに目が言って視野を狭くしない考え方は、会議書類の作り方にも現れていて、アマゾンの会議では、パワーポイントや箇条書きを使わないらしいのだが、その理由は
①「パワポ使い」の巧拙によって、参加者の受ける印象が変わって
②箇条書きばかりの資料は、後日読み直すとよくわからない
といったことから、ジェフ・ベゾスの一言で決まるあたりがアマゾンらしいといえばらしいのだが、会議の中での「パワポ乱用」による催眠術に悩んでいいる関係者は頷くところも多いのではないかな。(もっとも、「アマゾンにおける理想の会議は「ほぼ無言で終わる会議」です。」といったところは全ての組織に当てはまるとはいえないでしょうが・・・)

このほかアマゾンの「『ピザ2枚チーム( トゥー・ピッツァ・チーム)』で全社を再編する」とか、「計算やデータ作成などのように現在すでに「人間でなくてもできる」という作業は、極力人間がやらないようにする」などのアマゾン流の組織論や仕事術のアイデアが数多く紹介されているので、詳細は原書で確認を。

【レビュアーから一言】

こうしたトップランナーのビジネス書を読むと、最初のうちは「ふむふむ」とチャレンジ精神が溢れてくるのだが、一定量を超してくると、自分の環境とのギャップに気づいて、ため息がでてくることがよくあるのだが、本書によれば

締めくくりとして、読者の皆さんにお伝えしたいことがあります。それは、「たった5分短縮するだけで良い」ということです。  なぜなら、1日たった5分のムダを省くだけで、仕事の生産性が1%向上したことになるから

といった風に「とにかく慎重に小さなところから始めて、少しずつ広げていく」ことが大事だとしてくれている。

アマゾンのようなF1カーとはいかないまでも、自分たちの環境にあわせて、少しづつでもやり始めることが一番大事なことなんでしょうね。

1日のタスクが1時間で片づく アマゾンのスピード仕事術

ちなみにAudibleでもオーディオブックが提供されていますね。

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