「モノ」を売るためには、視点を変えることが大事 ー 川上徹也「売れないものを売る方法? そんなものがほんとにあるなら教えてください! 」(SB新書)

「良いもの」なのに売れない、PRもしっかりしているはずなのに「売れない」・・・。多くのマーケターに共通する悩みでもあるし、そんな営業部やマーケターから「この商品なんとかならないの」と謂れのない非難をうける製造部門の悲哀でもある。

そんなみんなに共通する「売れない問題」について

「物を売る」ためには、色々な小難しいマーケティング理論やフレームワークもありますが、私なりに極力シンプルに言い表すと。
「商品力」☓「売り方」
これがすべてです。

として、そのうちの「売り方」についての「指南書」である。

【構成と注目ポイント】

構成は

第1章 ダムで「カレー」が、水族館で「パン」が飛ぶように売れる理由
〜「ウリ」を変える〜
第2章 なぜタクシーはのろのろ走り、たたみ屋は24時間営業を選んだのか?
〜「売る時間」を変える〜
第3章 漁港で「ケーキ」を、地球の裏側で「雨どい」を売る
〜「売る場所」を変える〜
第4章 おじさんがダメなら女子高生、女子高生がダメならおじさんに売れ
〜「売る人」を変える〜
第5章 「2割引き」と「2割キャッシュバック」どとらが売れるのか?
〜「売る値段」を変える〜
第6章 売れないならお客さんに売らせるワザもある!?
〜「売る方法」を考える〜
第7章 「もったいない」や「社会貢献」でもっと売れ
〜「売る目的」を変える〜

となっていて、前段で「指南書」と書いたのは、商品を売るための「法則」を教えてくれるというのではなく、自分が抱えている商品をどうやったら売れるのか、それぞれが考えるヒントを与えてくれるという意味を込めている。
 

なので、その内容も、それぞれのサブタイトルのように
①「ウリ」を変える
②「売る時間」を変える
③「売る場所」を変える
④「売る人」を変える
⑤「売る値段」を変える
⑥「売る方法」を変える
⑦「売る目的」を変える
という7つの、いつもとはちょっと変わった視点からの提案をしてきている。そして、本書の嬉しいところは筆者の広いマーケティングの知識から、視点を変えてうまくいった事例を豊富にしょうかいしてくれるところで、例えば、ジャパネットたかたがビデオカメラを売った

高田さんは「ビデオカメラ」という商品に、「映像を撮る機械」ではなく、「自分の若い頃の記録を子どもに残す道具」という新たな価値づけをしたわけです。これは「商品」は変えずに「ウリ」を変えることで、新たな「価値」を生み出したと言えるでしょう。またこれによって多くの人に、「買いたい気持ち」を湧き上がらせたとも言えます

とか

一般的にも提供スピードを上げることが、商品の価値を上げると考えられています。
(略)
そのアンチとも言えるサービスが、最近話題になりました。 「急ぎません便」です。

とか、汎用的なものとはいえないが、それぞれの視点に応じて、自分の商品の「売り方」を見直してみる実例とヒントが満載である。

【レビュアーから一言】

商品が「売れない」場面でなんとかしようと思うと、高邁な学者の方の書いた「マーケティング理論」であるとか、とかく頭でっかちな方法に逃げ込んでしまうことが、特に頭の良い方には多いのだが、実は、豊富に存在する「成功事例」をよく見て、視点を変えることが大事なことを教えてくれる、実践的「マーケティング」の本である。
各章ごとのまとめも、自分の商品を見直すために「視点」がコンパクトにまとめられていて使いやすい実践書ですね。

売れないものを売る方法? そんなものがほんとにあるなら教えてください! (SB新書)
売れないものを売る方法? そんなものがほんとにあるなら教えてください! (SB新書)

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