「仕事を楽しみ「本当にやりたいこと」を探すには・・・ ー ピョートル・F・グジバチ「PLAY WORK(プレイ・ワーク)」

「人生百年時代」とか「働き方改革」とか、いろんな掛け声はあるのだが、思ったような成果とか変化とかが見えてこないのが、多くの人の実感であろう。
その原因は、おそらくは「働き方」や「人生の設計の仕方」についての根本的な「思想」のところはおいといて、ノウハウ的なところや、制度的なところに熱中してしまう日本人の癖がでているのではないか、と当方的には思っている。

そんな「働くこと」そのものについて、「 人生100年時代、「働くこと」は「生きること」と限りなく重なり合っていきます。 」と根本的なところについて提案・アドバイスしているのが本書『ピョートル・F・グジバチ「PLAY WORK(プレイ・ワーク)」』である。

【構成と注目ポイント】

構成は

Step1 自己認識
Srep2 自己開示
Step3 自己表現
Step4 自己実現

となっていて、まずは

見方を変えれば、AIの登場は僕たちにとっては朗報です。つまらない仕事や嫌な仕事を、AIが代わりに引き受けてくれるのです。 人間はもっと自由にやりたいことを仕事にすればいい

と言ってくれるのは、とかくデジタル・ネイティブ世代に引け目を感じてしまう当方のような世代にとってうれしい発言である。

では「やりたいことって何」と問われたときに「はて?」と詰まってしまうことはよく見かけるのだが、その原因は

自己認識がなかなか進まない理由として、・・・「組織から期待される役割=自分のやりたいこと」と勘違いしている人が多い からだと思います

と指摘されていて、組織の中の「立ち位置」ですべてを考えてしまいがちな我々は反省しないといけないなと痛感。そのうえで

仕事を楽しくする方法は2つあります。 ①「目の前の仕事を好きになる」こと、そして②「仕事のプロセスを楽しむ」こと

として、具体的には「好奇心をもって動くこと」や「固定観念にとらわれないこと」、「仕事とプライベートを分けないこと」といったことがアドバイスされるのだが、一番肝心なのは『 PLAY WORKに必要なのは、何よりもまず、「当事者意識」 』という」ところにあって、とかく上司とか会社とか「権威」的なものが提示してくる価値観に無意識に従うのではなく、ちゃんと自分なりの「ポジション」や「考え方のスタイル」をもたないといけないのだが、ここがなかなか難しいところですね。

そして、そのための手法として本書では「ライフ・ジャーニー」とか「学びほぐし」といったことが提案されているのだが、詳細のところは原書でしっかり確認してくださいな。

そして、筆者によれば「創造性があふれた職場」というのは

創造性が生まれるのは、パターンが崩れたときです。予期せぬことが起きて、混乱や危機的な状況に陥ると、そこから抜け出すための知恵や工夫が働くからです。
そこで、僕たちが普段から意識しているのは、あえて「混乱をつくる」 こと

といった風であるとともに

あらゆる職場で「女性の活躍推進!」とか「高齢者やLGBTの雇用」などを掲げる必要はありません。それこそパターン化された思考に陥っています。  そもそも多様性が必要かどうか、職場ごとに考えなければなりません

ということであるようなので、何事も「固定的」に考えることは厳に戒めなければいけないことで、このあたりは、働き方や労働環境などの流行のトレンドを追いかけることに一所懸命になるあまり、流行についていくことで手一杯になっている人事労務担当者や、話題になるとすぐに自社に持ち込んでくる経営陣には耳の痛いところでしょうね。

もちろん、Google出身で効率的な仕事の進め方のあれこれをアドバイスしてきた今まどおりで、例えば人と会う時の

30 分も話したら、何らかの形でクロージングしなければダメです。次の動きにつなげないと、その 30 分は意味がなくなります

といったところや

「見えない価値」を手にするには、直感を働かせて、ガンガン動くしかありません。いろいろ考えたり悩んだりしているうちに、チャンスは逃げてしまいます。ビジネスに直感とスピードが大事なのはそういうこと

であったり、

仕事は、マラソンではなく、スプリント(短距離レース) の意識が大切です。全力で走ったら、しばらく休み、また全力で走る。スプリントにメリハリが必要なように、 ひたすら集中する時間と休憩時間を交互にくり返しながら、仕事のリズムをつくることが大切

といったように「グジバチ」流は健在なので、以前から筆者の著作を読んでいる人も違和感なく読めるのではないのしょうか。

【レビュアーからひと言】

「仕事を楽しくやろう」とか「仕事を楽しもう」といった話が出ると、大企業の話でしょ、とかうちの会社では無理、といった否定的な反応をしてしまう人が多いのだが、筆者によると

誰かがあなたのために仕事を楽しくしてくれることはない、ということ。仕事を楽しくするのはあなた自身の責任

とのこと。

「本当にやりたいこと」は、無理やり探すものではない・・・。むしろ、「毎日を丁寧に生きていれば、やりたいことはおのずと見つかる」

という本書の言葉を念頭に、とにかく主体的に「動いてみる」ということが大事なような気がしています。

 

PLAY WORK プレイ・ワーク 仕事の生産性がグングン高まる「遊びながら働く」方法
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