ムダの多い会議をなんとかするのは運営者の腕次第 ー 「コクヨの3ステップ会議術」

コクヨの3ステップ会議術 (中経出版)

「コクヨ」という会社は、文具メーカーというポジションだけでなく、最近は文具やオフィス用品のノウハウを活用しながら、「整理術」「ノート術」といった、「仕事を進めるノウハウ」のジャンルについても役に立つアドバイスをしてくれている会社でもある。

そんなコクヨの[コクヨの研修]スキルパーク シニアトレーナによって、「会議」を活発に、しかも円滑に運営するためのコツを教えてくれるのが、本書『コクヨの3ステップ仕事術』である。

【構成と注目ポイント】

構成は

序章 これだけは覚えておきたい!会議の心得
STEP1 会議のアイデア発想法
STEP2 会議のタイムマネジメント
STEP3 会議のチームワーク・マネジメント
おさらい さらに半歩先をいく会議を行うためのポイント

となっていて、設定的には、課長に代わって、新商品のイベント展示会の出展企画を話し合うための会議の進行を任された中堅職員が、その会議を、「沈黙の続く」」「雰囲気のギスギスした」「ダラダラと続き」「結論の出ない」会議にしてしまったことを反省し、リベンジしていくといった筋になっていて、STEPごとに、アイデアの引き出し方、時間管理、会議のチーム的な運営、といったことについて学べる仕掛けになっている。

まず、会議の運営のノウハウを学ぶ前の前段階として、気を付けておかないといけないのが、 アイデア、創造性を求める「創造会議」と、 報連相(報告・連絡・相談)などの連絡や報告、役割分担や日程を決める調整、値段や取引条件を詰める交渉といったことを話し合う「定型会議」を区別する、ということで、連絡・報告のあたりはまだしも、交渉ごとの方針やスケジュールを話す会議とアイデアだしや戦略検討がごっちゃに議論される場面っていうのは、当方の経験でも日常茶飯事的にあるので、ここらは特に気を付けないといけないですね。

これを前提として、本書のアドバイスの中心は前者に置かれていて、いわば「進行役」が不定形な会議をよりよく仕上がるためのコツといったものが多いので、「会議の効率化」とか「時間短縮」といったことを期待して読んでいる向きにはちょっと的が外れてしまうかもしれないので注意してください。

そのうえでいくつか会議のコツのようなものをピックアップすると、まず本書で重要視する会議の「進行役の役割」は

「アイデアを引き出すのは進行役の責任」です。
(略)
進行役は、議題の「答え(つまリアイデア)」を考えるのではなく、 参加者の脳みそを活性化させアイデアを引き出すための「問い(つまり質問)」を考えなければいけないのです。

としたり、

会議の進行役はアイデアを発言してくれた人に対して敬意を表する必要があります。
決して、進行役自ら「そんなアイデア、ムリに決まっているよ」なんて言ってはならないのです。

といったあたりは、一般的に「会議の進行役」が果たすべきとされている「議長」的なものとはちょっと違うのでチェックしておいてください。

次に、会議では、なんらかの「結論」を導き出すべき、という当たり前のことでありながら、なかなかできない永遠の課題についても

一般的に使われている方法は、実は4種類だけなのです。
①参加者の多数決→最多票の○票を獲得したA案に決まりました
②決裁者の判断→部長が一言、「よしA案でいくぞ!」
③議論で全員合意→6時間の議論の末、全員合意でA案がよいとなりました
④評価項目で評価→機能、デザイン、価格面から総合的に評価するとA案ですね
みなさんは、この4つのどれか、もしくは組み合わせで会議の結論を出しているでしょう。
会議の結論がなかなか出ないときには、「決め方」をまずは決めればいい

といったところや、会議の結論の出し方で

①まずは大雑把でいいので、似たような意見をまとめていきます
② そのうえで票数が多いモノ(できれば3~5個程度)を見比べて、メリット・デメリットを比較する議論をしてみてください
③絞り込まれた3~5個程度のアイデアの中から最終の1案を選ぶ方法は、
A.決裁者に委ねるのか
B.もう一度、仮の多数決をして最有力案を絞り込むのか、
C.徹底的に議論するのか、
を参加者と相談して決めてください。
④最終案が絞り込まれても、まだ忘れている視点はないかを確認してから、最終的な結論とします

といったところは、「テクニカル」ではあるが、「会議の運営技術」として参考になることが多いですね。

このほか、発言が少なくアイデアが出てこないときの対処法であるとか、会議のメンバーから否定的な意見が出てギスギスした場合の対処法とか、実際の会議の場面でであるトラブルへの対処法もいろいろアドバイスされているので、詳細は本書で確認してください。

【レビュアーからひと言】

どこの会社や組織でも行われていて、どこの会社や組織でも「ムダが多い」とか「生産性が低い」と言われるのが「会議」というものなのだが、その原因はメンバーだけでなく、会議の@運営者」にあるのかもしれない。
であるなら、そうした「うまくいかない」会議をバシッと運営できれば、あなたの評価も急上昇することは間違いない。本書あたりで、そのノウハウを身に付けてくださいね。

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