元カノから娘を預けられた、ちょっと乱暴な整体師・千石哲とその娘・愛梨、子供を引き取って離婚したマンガ雑誌の編集者・晴海正弘とその息子・清一郎という2人の父親+2人の子供の共同生活のドタバタを描くのが、この『豊田悠「パパと親父のウチご飯」(バンチコミックス)』シリーズである。
【あらすじと注目ポイント】
収録は
1話 カレーライス
2話 だし巻卵
3話 焼餃子
4話 ハワイアンパンケーキ
5話 イカのホイル焼き
ウチレシピ
パパ飯レポ
パパ飯レシピ
となっていて、まずはシングルファーザー親子で、ルームシェアして暮らしている2組の親子の登場するのだが、近所の隣人から、「カミングアウト」と疑われるのだが、まあ、無理はないところですね。
ただ、真相のところは昔ながらの友人ながら、荒っぽい千石と、優しすぎる晴海とでは性格が真反対な上に、それぞれの子供の愛梨と清一郎も親と瓜二つの性格。さらに、親子の間でも他人行儀な風が漂っていて、という設定で、「心温まる」スタートとは決して言えない出だしである。
こんな少々危なっかしい始まりなのだが、料理のほとんどできない千石と晴海が、愛梨や清一郎の日々の「ご飯」づくりに悪戦苦闘していくうちに、それぞれの親子の絆を「創り上げて」いく姿にほっこりしていくのは間違いない。
例えば、第一話で「ママのご飯が食べたい」と不満を漏らしてご飯を食わない愛梨に、千石が、偶然出会った、料理教室を経営する美女にもらったレシピに従って、カレーライスをつくって、
といった顔をされてほっとしたり、第二話で昔の刃傷沙汰で包丁にトラウマを抱える晴海が必死の思いで甘い「だし巻き卵」をつくって、見た目は悪いながら、
と清一郎の母親を懐かしむ顔にほっこりしたり、と、こっちのほうもなにやら「ほぁっ」とした気分になってくるので、気分がクサクサしているときは、この辺を読むと良いかもしれません。
そして、このシングルファーザーたちに料理をレクチャーしたり、引っ掻き回したりして、話の展開を面白くするのが、
という壇ゆかり・茜の美人姉妹なのだが、この二人も親子関係に複雑なものを抱えているようですね。まあ、そういう設定はこれからの物語で活きてくるうであろうから、馬のところは、清純っぽい小悪魔の「ゆかり」さんと、ツンデレ系「茜」ちゃんに少しデレっとしながら、彼女たちの千石親子や晴海親子とのカラミを読むのもよいですね。
【レビュアーから一言】
シングルファーザーの一番の悩みである「子供に毎日ちゃんと飯を食わせること」っていう難題を、ここまで明るく、ギャグを交えながら描いた本作にまずは拍手。
さらに、登場する子どもたちや女性の魅力的なあたりもまたよいですね。
ともすれば、「重く」なってしまうテーマなんだが、ふぁっとしたストーリー展開のうちにほろりとしてしまうこと間違いない親子ストーリーの開始であります。
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