愛梨の行動力はすべての困難を打ち負かす ー 豊田悠「パパと親父のウチご飯 3」(バンチココミックス)

第2巻までで、千石と愛梨はとても親子らしくなったのだが、晴海と清一郎の仲はまだ双方が遠慮しているような感じが漂っているところが気がかりな第3巻。
さらに、幼稚園の他の園児の保護者や、晴海の実家など、まだまだ二組のシングルファーザー親子を見る目は冷たくて、今巻ではそこらを打開していけるかどうかがテーマになってますね。

【収録と注目ポイント】

収録は

11話 手作りピザ
12話 チキン南蛮
13話 四川麻婆茄子
14話 カスタードプリン
15話 ハンバーグ

となっていて、まず最初の「手作りピザ」は、幼稚園のママたちが味方になってくる話。この話の仕掛けの中心は、もちろん元気娘の「愛梨」で、彼女が女友達に限らず清一郎の友達まで招待してくるのだが、この大量動員力は素晴らしいですね。さらに、自分の家のことを

と言う発言はシビレますな。

第12話と第13話では、晴海の実家の母親が突如やってくるという事態が発生。晴海の実家の父親は銀行員のエラい人らしく、彼がマンガ雑誌の編集者をしていることも快く思っていないし、シングルファーザー同士で暮らして、まともな子育てができているはずがない、という常識人らしい感覚を持ってます。話のほうは、滞在中に千石や愛梨たちの人となりを知って・・、という定番の流れなのだが、当方の意地悪な見立てでは、晴海と彼の母親は、双方が親離れ・子離れしてませんな。

そして、この二つの話でさらに強調された晴海の「優しさ」は第14話にもあとをひこずっていて、前の妻と離婚するときのエピソードとか、清一郎を引き取ったときのやりとりとかは、後に、別れた妻が清一郎を取り返そうとする時の布石になっているような感じですね。ただまあ、この「カスタードプリン」の話では、巨大プリンを食べる清一郎の

といった美味そうな、嬉しそうな顔に癒やされてくださいな。

最終話の「ハンバーグ」は、千石が現在の職業である整体師になったきっかけとなる「師匠」の命日の話。母親と折り合いが悪く、居所がなくて荒れていた千石を拾いあげてくれた上に、整体の技術も教えてくれた「恩師」といった設定ですね。
師匠が彼を初めて家へ連れてきた日に奥さんに頼んだ料理が「ハンバーグ」なのだが、その理由は原書でご確認を。レビューとしては、師匠の奥さんの振る舞うハンバーグを食べた時の千石と愛梨の

こんな表情で〆にしましょう。

【レビュアーから一言】

幼稚園の同級生のママたちの誤解を解くアイテムが、手作りのピザというのはこのシリーズらしいところなのだが、こういう仕上がりなので、

頑くなな心も溶けてしまいますね。でも、このことが後に、清一郎が母親のうちに連れさられそうになる時に、彼を晴海のもとに引き戻す有力な武器となりますので、覚えておきましょう。

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