シングルファーザー二組の共同生活と、それぞれにギクシャクを抱えていた親子の仲もなんとか融和してきた感のある、「千石・愛梨」と「晴海・清一郎」親子。
今までは、それぞれの関係を固めるために、あれこれとトラブル続きの感があったのだが、今巻はちょっと小休止。二組の親子の周囲の人物たちに関係する「ほっこり話」が中心になっている。
【収録と注目ポイント】
収録は
16話 一口オムライス
17話 天ぷら
18話 いわしの蒲焼き
19話 豚肉のしょうが焼き
20話 筑前煮
ウチレシピ
パパ飯レシピ
となっていて、まず最初の「一口オムライス」は、千石と晴海がお世話になっている料理教室の美人経営者の壇ゆかりの妹・壇茜の友情話。
この娘は、かなり警戒心が強いくせに寂しがり屋なのだが、彼女が数少ない友人をつくる話。まあ、きっかけは
といった風に、茜のお弁当を分け合ったことなので、ここはお姉ちゃんの料理の腕に感謝しないといけないですね。女子高生のピュアな友情譚もたまには良いですね。
17話の「天ぷら」は、晴海の担当するマンガ家・出雲の万年アシスタント・栗山が自分の才能に見切りをつけて、アシスタントを辞めていこうとする時のエピソード。人気漫画家と同時にデビューしながら差がついてしまう状況ってのは、才能と運だけがものをいう世界なのでやむを得ないとはいいながら、厳しいですね〜。もっとも、この「パパと親父」シリーズは、Happy系のマンガなので、結末はシビアにはなりません、念のため。
そして、残りの三話、18話は清一郎の魚嫌いをイワシが克服させる話であるし、19話は、愛梨が、オヤジ・千石に好物料理のプレゼントをする話、20話は千石が娘・愛梨との暮らしを振り返る話で、今までの1巻〜3巻までのエッセンスが滲み出ている話になってますね。このあたりは20話の最後のほうの
といったシーンに表れているわけですね。
一つ「?」と思ったのは、第20話で、なぜ愛梨の母親は、エステのインド支社立ち上げのために千石に愛梨を預けて渡印してしまったのか、ってな話のところで、千石の奥さんっぽいシチュエーションになっているのだが、「あれ?元カノじゃなかったっけ」と思った次第。真相は第1巻の冒頭のあたりで確認してください。
【レビュアーから一言】
今までのトラブルを乗り越えてきたのが、ようやく実りを迎えて、二組のシングルファーザー親子の仲はがっちりと仲良くなったのが確認できる本巻なので、そのあたりのほんわかとした雰囲気がたっぷり味わえる仕上がりになってます。
ただ、最後のところで、次巻に炸裂する「大爆弾」の導火線に火がつきますので、そこは覚悟して読んでくださいね。
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