「AIの時代」を泳ぎ切るノウハウはこれだ ー 堀江貴文「僕たちはもう働かなくていい」(小学館新書)

時代の先端をいく事象について、いつもセンセーショナルな提言を投げ込んでくる筆者なんであるが、今回のテーマは「AI」である。
この話題については、将棋や囲碁で人間の名人がAIに敗北したり、シンギュラリティにより人間の職が奪われたり、といった負の側面が強調されることが多いのだが、身の回りをみてみると、「人間型」ではない「ロボット」や「AI」はすでの我々の生活のいたるところに入っていて、我々の生活がこうしたものなくしては成り立たないところまで来ているのは間違いない。

そんな現実の中で、時代にいつも風雲を巻き起こす筆者が、アンドロイドだけでなくモビリティも含めたAIの最新の話も交えて、「AIと共存する」「AIを取り込んで暮らす」ことについて、アグレッシブに提言したのが本書『堀江貴文「僕たちはもう働かなくていい」(小学館新書)』である。

【構成と注目ポイント】

構成は

第1章 AIから目を背けるバカとはつき合うな
第2章 AIロボットで「多動力」を発揮する
第3章 パーソナルモビリティは”スマホ化”する
第4章 「無人化時代」はチャンスに変えられる
第5章 リデザインされる世界をどう生きるか

となっていて、最初のところで

今後はAIやロボットを使いこなす人と、そうでない人との格差の拡大が始まる、
使いこなす側が受けられる恩恵と、使いこなせない側の不利益は、これまでの格差とは比べ物にならないほど、大きくなるだろう。
とてつもない「AI格差」の時代が、始まりつつあるのだ。

といった話で始まるので、ギョッとしないように。

ただ、こうしたAIを含めたロボット技術の進化は、本書でも詳しめに紹介されていて、ディープラーニングによる画像認識によってAIの認識技術が飛躍的に高まったのは多くの人の記憶にあると思うのだが、

いまAIに大事なのは、「手」なのだ。
現在のAIロボットに高性能の「手」が搭載されたら、IT革命やいまのAI革命どころではない、次世代の一大産業革命が起きるのではないか。
それは社会構造の在り方や人間の価値観を、根幹から変えてしまう可能性すらあるのではないか、と私は想像している

と、さらにより高いレベルに到達するときが近づいているようだ。
こうした、「手」に加えて「車輪」を獲得し、クラウドの「頭脳」を持った時の「AI」の様相ってのは、まだ全貌が当方的には想像しきれないのだが、例えば、AIを備え、自動運転機能をもった「個人用モビリティ」の登場だけでも、移動の範囲の拡大というだけでなく、「住む」「定住」という概念そのものを変えてしまうもので、これは国の統治の構造自体も大きく変えしまうんでしょうね。

そして、そういう時代背景に対して、筆者は

AIやロボットは、社会のインフラ構造ひいては資本主義の根底までを、革新しようとしているのだ。
働くことを、お金や生活との引き換え、つまりトレードコストで考えていると、その大きな流れに抗い続けることはできない。
わずかなお金と、生活の安心を、人生の時間と引き換えにして、本当に大切なものを変化の波に知らないうちに吸収されていく・・・。そんな残念な状況が、私にはうかがえる。

と今までの就業意識、人生観について揺さぶりをかけ、

ひと昔前まで、GDPに組み込まれている仕事とは言えなかった遊びや趣味が、仕事に成り代わり始めている。
いや、もしかしたら従来的な仕事よりも、はるかに儲かるようになってきたのだ。
給料や時給を、財とみなしているうちは、財の根本的な性質が変わって食ている現愛の潮流を、きちんと読み取れていない。
 
仕事しないと生活できない。お金が稼げない。
そんな常識にとらわれないで、テクノロジーを信じて、好きなように行動してみてほしい。こんなところに財がやまほどあったのか!と新たな発見ができるはずだ。
 

 といった大胆な指摘をしかけてくるんだが、さて、あなたはどうしますか、というところでしょう。

まあ、こういった提言で悩みこんでしまうだけでなく、23歳の女の子をモデルにした「エリカ」や、小学生ぐらいの男の子を思わせる「イブキ」といったロボットの開発状況とか、個人用モビリティの「カングーロ」のレポートとかが紹介されていて、ここらを読むだけでも「ほぉ」と思わせるのは間違いないです。

【レビュアーからひと言】

世界を覆いつくしつつある「AI」に自分の領域を脅かされてどうするんだ、という話が多いのだが、『現代の「ラッダイド」運動を起こすな』という筆者の主張が、まったくの杞憂に終わらない気配が間違いなくある。せめて、この本に興味をもった方々は

いつの時代も、テクノロジーはいち早く使いこなしたものが有利となる、新しいテクノロジーに適応して、使い尽くす!と腹を決めた人が、常識はずれの偉業を成し遂げるのだ。

という言葉を胸において、「AIの時代」を力強く泳ぎ切ろうではありませんか。

ここでは私たちは何をしていれば、いいのだろうか?
答えは簡単。ただひたすら、好きなことをしていればいいのである。

というのが、そんな時代のキーワードだそうですから。

 

僕たちはもう働かなくていい (小学館新書)
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