シングルファーザー二組の、ひさびさのまったりとした日常 ー 豊田悠「パパと親父のウチご飯 11」(バンチココミックス)

晴海・清一郎親子は、離婚した妻との細い糸は残したままで現状維持、宮崎の実家のUターン攻勢はなんとか撃退、千石・愛梨親子は、千石の実母とのぎこちない和解をすました後、愛梨の実母のインドからのいつになるかわからない帰還をゆっくり待つ、といった状況になっていて、このあたりでガツンとした舞台転換か、新キャスト登場がまたれるところなのだが、ひとまずは、今までの大騒動を小休止というのが本巻。

争いが終わると、恋が始まるといったのが世の常なのだが、本巻では、「茜」のほんのりとした恋物語や、愛梨の初恋っぽい話が収録されています。

【構成と注目ポイント】

構成は

51話 ロールケーキ
52話 バッタイ
53話 焼売
54話 わらび餅
55話 ミートローフ
ウチレシピ
パパ飯レシピ

となっていて、まず最初の51話は、春海の誕生日祝いのケーキを清一郎が愛梨たちとつくる話。

こういう凝ったものになると千石の料理の腕では無理で、壇ゆかり・アカネ姉妹の救援を頼むことになるのが、当方としては嬉しいところですね。
相変わらず、ゆかりさんは、

てな風なステキなお姉さんぶりであります。

この誕生日のケーキづくりがきっかけというわけでもないのだが、次話では。茜のほのかな恋心がパーッと満開になっていきます。ちなみに、今回の商店街の夏祭りでゆかりさんの料理教室が提供する「バッタイ」というのは、タイの屋台や飯屋で出されるライスヌードル。本書ではこんな仕上がりになってますね。

こうしたイベントの屋台で出される料理としては、よくある焼きそばとは、一味違っていて、おそらくは、ゆかりさんの株も上がったことであろう。喜ばしい限りである。

54話の「わらび餅」は、千石のマッサージ店のチャラいアルバイト・竜也 の学生時代の挫折経験と友情物語が語られる。このシリーズの登場人物は、見た目によらず、真面目な人が多いので、児童推薦図書にしてもいいと思うぞ。「ほぅ」と思わせるのは、春海が怪我で好きなバスケットを諦めてしまったことで将来を夢を失っている竜也にかける

という言葉に続けて「・・・そういう”好き”の関わり方も、ありなのではないかと思います」と静かに語るあたりに、真面目なだけでなく、芯の強いところが感じられますね。

55話の「ミートローフ」は、清一郎と愛梨の通う英会話スクールの先生の従兄弟 と愛梨のほのかな初恋物語。異国の人との初恋ってのは、幼い頃の恋バナの典型であるのだが、いつもと違って、ドギマギ気味の愛梨が可愛いですな。

【レビュアーから一言】

ドタバタといろんな人間関係が解決していった前巻までの慌ただしさとはうってかわって、今巻はそれぞれの人間関係や日常を深掘りするようなストーリー展開になってます。ここらで、ちょっと立ち止まって、今までのストーリーを振り返ってもいいかもしれないですね。

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