ラクビー日本代表の「ワールドカップ2019」での勝利が続いてまずは目出度い、ということでラグビーをテーマにしたコミックや小説のオススメ本を調べてみました。
ラグビーは、アメフトと違って守備側と攻撃側が明確に別れていないこともあって、アメフトをテーマにしたものがクォーターバックを主人公にした「ヒーローもの」が多いのに比べ、スタンドオフを主人公にしていても、「チーム」を強調したものが多いように思います。さらには、「闘球」といわれるようなぶつかり合いがあるので、同じスポーツマンガでも、サッカーや野球と違った「泥臭さ」が楽しめるとともに「熱さ」が味わえるように思えます。その意味で「企業もの」のビジネス小説とも通じるところが多いのかもしれません。
◇小説系◇
【池井戸潤「ノーサイドゲーム」】
大泉洋さんが主演で、勤務先の自動車会社のラグビーチーム「アストロズ」のGMとしてチーム再建に取り組む、といったチームと自分の再起をかけた「戦い」を描いた小説ですね。「陸王」で、スポーツと企業社会を組み合わせた世界をみせてくれた池井戸潤さんの腕が冴え渡るところですね。
【堂場俊一「10-ten」】
ミステリーだけでなく、スポーツ小説の分野でも多くの傑作を発表している、堂場俊一さんの作品で2015年のワールドカップのときにも評判になってますね。舞台的には、大学リーグ4連覇を目指す強豪大学チームの名監督が急死した後に、後任となったヘッドコーチを主人公にした物語ですね。
【堂場俊一「二度目のノーサイド」】
こちらは通常のスポーツ小説とはちょっと趣を異にしてて、元実業団ラガーマンを主人公にした、「あの日を再び」的な物語ですね。元実業団でラグビーの選手だった主人公が、チームの元マネージャーの死をきっかけに、選手当時、くじ引きで負けた最終試合の決着をつけようと思いたち・・・、といった展開です。
◇コミック系◇
【雨瀬シオリ「ALL OUT」】
神奈川県の高校ラグビー部を舞台にした、青春スポーツものですね。背の低い「祇園健次」と背の超高い「岩清水澄明」というダブル主人公。ラグビーの才能がありながら中学生時代に友人に練習で怪我させたことがトラウマで「ウドの」大木」化している岩清水と、ラグビー初心者ながら、目立ちたがりの上昇志向の「祇園」がひょんなことからコンビを組んで、弱小の発展途上ラグビーチームの中でチームメイトと奮闘していくストーリーですね。「どんな人間だって主役になれる」の名セリフがよいですね。
ちなみに、コミックは17巻まで出てますし、アニメ化もされてます。
【竜崎遼児「ウォークライ」】
創立一年目の私立高校・扶桑高校の新設ラグビー部が舞台。そのラグビー部は、元日本代表の監督を務めた校長が、1年間ラグビーをしたら、後2年は遊んでいても卒業してやる、という条件で全国から集めた悪タレばかり。そこに、新監督として、ラグビー日本代表の妹で武道の達人が赴任してきて、といった設定で始まる、学園ラグビーもの。ところどころ、古さが滲むところがありますが、悪ガキたちがスポーツを通じて団結し、強豪チームに挑んでいく、といったオーソドクスな学園スポーツものですね。
毎巻、乱闘シーンや喧嘩が起きているので、ちょっと今風とはいえないかも。
このシリーズはすでに完結しています。
【飛松良輔「ブルタックル」】
上の二作は高校スポーツもので、これは大学ラグビーが舞台。といってもラグビーの古豪・早稲田、明治、同志社や強豪の帝京、東海といった大学ではなく「星辰大学」という私立大学。もっとも、かっては日本一、二を争った元強豪校、という設定なので、モデルは「関東学院大」とか「大東文化大」といったところでしょうか。しかも「桜ちゃん」という同級生にかっこいいところを見せたい、モテたいという動機から、ラグビーのド初心者「釜之うしお」が、家業の銭湯の薪割りで鍛えた筋力を武器に活躍をしていくっていうちょっと異色なスポーツマンガ。とはいっても、かなり「熱い」場面が多数あって、スポーツマンガの王道をいってます。
こちらは現在3巻まで。
【山下てつお「IDATEN」】
母親が病死し、その後、借金に追われた父親が失踪。幼い弟・裕太と二人きりになった中学を卒業したばかりの沢村雄吾は、弟を養うため万引で生活をしている。そういう彼に夜の町で出会ったラグビー日本代表の中心選手・墨崎は、彼の「走り」にラグビーの名選手になる素質を見出す。かつてラグビーワールドカップの優勝の常連・世界ラグビーの強豪ニュージーランドのオールブラックスに大敗し、世界レベルから遠いところにいる日本代表を世界レベルに引き上げるために、彼に主要な役割をもたせることを計画し・・、といった展開。
まだ、日本がワールドカップでほとんど勝てなかった時の成り上がりストーリーと考えればいいですね。突然終了したっぽい二巻で終わっているのが残念ではありますが。
◇おまけ◇
ラグビーものもいいけど、ルールとかが摩訶不思議でよくわからん、という人は、猫マンガの巨匠・そにけんじ氏による、15匹の猫がラグビーに挑戦する「ラガーにゃん1 猫でもわかるラグビー入門」「ラガーにゃん2 猫ラグビー ワールドカップ編」あたりはいかがでしょうか。
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