軍師・竹中半兵衛の戦略は最後の輝きを見せるか ー 「センゴク天正記 10」

センゴク天正記(10) (ヤングマガジンコミックス)

落ち武者から国持大名へ、その後、戦で大敗北して改易。そこから復活して、徳川将軍家の相談役まで昇進した戦国一のジェットコースター人生をおくった「センゴク」こと「仙石秀久」の半生記が描かれる宮下英樹の「センゴク」シリーズのSeason2「センゴク天正記」の第10巻。

西国の制覇に向けて動き出した織田軍は、但馬・播州攻略で勢いづくかと思いきや、播州侍の相次ぐ離反で、一挙に形勢が悪くなります。ここで、挽回を図る秀吉が考え出したのが、「干殺し」といった城を囲む攻城戦で、ここらから秀吉の攻め口が、確実ながらも「暗い」イメージを帯びてきます。

【構成と注目ポイント】

構成は

VOL.90 播州三木城包囲戦
VOL.91 荒木村重の謀叛
VOL.92 天下一統とは
VOL.93 勘兵衛の説得
VOL.94 勘兵衛の処断
VOL.95 家の結束
VOL.96 播州侍
VOL.97 奇襲の真意
VOL.98 半兵衛の策
VOL.99 二つ雁金と違鋒矢(ちがいほうし)

となっていて、上月城を放棄した秀吉は、三木城攻めに専念し、周囲の支城を一つ一つ陥落させる攻め方で包囲網を縮めていきます。

これは、ゆっくりと三木城を干しあげていく作戦なのですが、ここで「荒木村重謀叛」という噂が入り、あわてて秀吉と三成が村重の説得に向かうのですが、村重の叛意を翻えすことはできず、

しかも、この後説得に向かった「黒田官兵衛」は、村重の有岡城に幽閉され、そのまま消息がとれなくなります。村重反乱ということで、信長の西国制覇は足踏みするどころか、本願寺勢に足元を掬われそうな感じになりますね。

ここで目につくのは信長の苛烈な処断で、官兵衛が織田を裏切り、荒木村重軍についたと推測し、人質にとっている彼の息子を殺害するよう秀吉に命じます。ここで、竹中半兵衛の智慧者ぶりが

と発揮されるのですが、種明かしは、原書を読むか、ネットで検索してください。

勘兵衛の消息が不明になったまま、秀吉の三木城攻めは、有名な「干殺し」の作戦に入ります。三木城と支城との連絡を絶って、食料の搬入を阻止し、三木城に籠もる別所勢を飢餓状態に陥れていきます。そして、このままでは飢えて落城することが見えてきた時、別所勢は起死回生の策、城から討って出るという戦法をとります。

まさか、打って出るとは思っていなかった、秀吉軍は攻めかけてくる別所軍に混乱をし始めます。

ここで最悪なのは、竹中半兵衛の身体が弱りきり、帷幕の中で瀕死の状態になっていて、軍師不在のまま、別所軍に対峙しないといけない、というところです。

この別所勢がとった陣容は、一見「鶴翼の陣」なのですが、毛利の援軍のない中、数に劣る播州勢がわざわざ、この攻め方をとったのは、鶴翼の陣とみせかけて秀吉の陣を釘付けにし、後ろに位置する一軍が回り込んで秀吉軍本体を急襲する「二ツ雁金」の陣という隠し技。

これを帷幕の中で見抜いた半兵衛は、これを打ち破る「違鋒矢(ちがいほうし)」の計を、倒れそうな身体に鞭打って、秀吉に授けるのですが、さて、その内容は・・・、といったところで、詳細は原書で。

【レビュアーから一言】

謀叛を決意した村重を説得に来た秀吉と光秀に言う言葉が

とし、信長の天下一統は「滅亡への道」と断言。「銭が動きを止めた時、・・・信長は仰向けに倒れる」と言い放ちます。もともとは毛利の安国寺恵瓊の影響のようなのですが、今まで食料を確保すれば戦が停まったり、農繁期には戦ができない、といった状況から脱して、領土拡張のために戦が戦を呼んでいく世の中を、信長が現出させようととしている、ということなんでしょう。このあたりの「銭が・・」のあたりは、これからの信長軍の行動原理になっていくような気がします。

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