「心」は小学校の教員へ。事件防止へ地歩を固めようとするが・・ ー 東元俊哉「テセウスの船 2」

自分が生まれるほぼ三十年前に起きた、小学校の大量殺人事件の頃にタイムスリップした主人公が、事件の真相を究明する活動と、その事件の発生を防止しようとするタイムスリップ・ミステリー「テセウスの船」の第2巻。
前巻は、事件のおきた1989年の北海道にタイムスリップした主人公「心」が、第1の事件である女の子の農薬誤飲事故を防止できなかったのだが、どうやら事故ではなく、それを仕込んだ人物がいそうなエピソードを残したところまを受けて、次の事故や事件が起こっていくのが本巻。

【構成と注目ポイント】

構成は

第8話 雪崩の日
第9話 紙切れの正義
第10話 もう一つの選択肢
第11話 世界で一番
第12話 守るため
第13話 5年田村学級
第14話 子供たちの希望
第15話 殺人鬼のおもちゃ
第16話 死んじゃえばいい

となっていて。まずは、女の子の農薬誤飲事件が起きた冬の村人の雪崩に巻き込まれる事故を、防止することに成功するところからスタート。

命を拾った村人の娘が小学校の職員をしていた縁で、小学校の臨時教員として採用されることとなります。「心」の最終目的は、小学校の大量毒殺事件の阻止なので、その意味ではかなりの前進ですね。

採用された彼が遭遇したのは、子供たちが飼育していた2羽のウサギのうち1羽が首を切られて殺されるという事件です。

どうやら、去年の夏休みからこうしたことが起きているようで、今回のこととあわせて、悪意ある人物が継続して関わっていることを示していますね。話中では、ここの小学生たちが、目の不自由な村内の老人のところへ遊びにいくシーンがあるのですが、そのシーンで誰かが、1羽のウサギが殺されなかった理由を喋っているところが犯人を想像させるのですは、残念ながら、ぼんやりとした輪郭しかわかりませんね。

さらに、今巻中では、犯人のものらしい録音テープの描写があちこちに出てくるのですが、

といったように村内にいる人で、今回の農薬誤飲事件などを「ゲーム」のように認識している人物が関わっていることを示唆しています。彼が、亡くなった女の子・千夏に「もう帰ってこないでね」というのには、どんな意味が隠されているんでしょうか・・。

【レビュアーからひと言】

本巻の最初のほうで、「心」の平成27年に発行された免許証を見つけたり、雪崩の事故の予測や、心の捨てたパラコートの缶を見つけたり、といったことから、彼の素性に不信をもった父親・佐野文吾に、自分は未来から来たのだ、と打ち明けます。このあたりをすんなり信じてしまうのが、コミックらしいところなのですが、「北の宿から」の話で盛り上がった上に、

と、これから起きる事件を、「二人で阻止」することを約束します。さて、これが事件にどう影響していくのか、気になるところでありますね。

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