かくして「新米警察官」は巣立っていく ー 長岡弘樹「教場 2」

木村拓哉を主人公にして、2020年の新春にドラマ化された「教場」の原作本の第二巻目が『長岡弘樹「教場 2」(小学館文庫)』。ドラマはこの第一巻と本巻の話をピックアップしながら再構成されているつくりになってたような気がします。

舞台となるのは、第一巻と同じ警察学校の、風間教官の教える通称「風間教場」なのだが、第一巻の98期からひとつ跳んで第100期短期過程の、教習期間における出来事が綴られる。

【構成と注目ポイント】

構成は

第一話 創傷
第二話 心眼
第三話 罰則
第四話 敬慕
第五話 机上
第六話 奉職

となっていて、まず第一話の「創傷」は、現役の医者から転職して警察官になったという経歴をもつ「桐沢」が主人公。彼はこの巻では、総代を争う優等生的なポジションに位置しています。
物語のほうは、彼が警察手帳を紛失して窮地におちいるといった展開なのだが、この紛失事件の鍵を握るのが、南原という同期の警察官で、彼とは、医者時代どこかで会った気がするのだが、どこであったかは思い出せない、という伏線がひかれている。少しネタバレすると、桐沢の警察手帳を隠したのは、南原なのだが、その動機は、彼が警察官になる前の、違法な「趣味」が関連していて・・、といった展開です。

第二話の「心眼」は、このシリーズでは珍しく、警察学校の音楽クラブが舞台。メインキャストは、このクラブに属する「忍野宗友」という男性警察官で、彼は同じ音楽クラブの「坂根千亜希」という女性警察官にちょっと惚れている、という設定。で、事件のほうは、この音楽クラブで、備品の紛失が頻発している。その犯人をみつけるため、備品の指紋採取をして怪しいと思われる人物の「心拍数」を調べ、犯人をあぶり出そうとする。そこであぶり出されたのは一体誰、そして紛失した備品の共通点は・・、といった展開で、少しネタバレすると、子どもが好きな子の持ち物を隠してしまうのと同じ行動が根底にありますね。

第四話目の「敬慕」は新春ドラマでは川口春奈がメインキャストを務めていた話で、菱沼羽津希という警察官一家の出身で、明るくて可愛い、という女性警察官が主人公。彼女が、地元のニュース番組で警察を紹介する番組のインタビューの出演者に選ばれるのだが、その時、枝元祐奈という同僚と一緒に出演する。実は、彼女を使って、羽津希の風間への恋心をほのめかしたりといった仕掛けを隠しているんですね。まさに、美人でキラキラしていることを使っての傍若無人ぶりなのだが、彼女が狙っていた県の広報誌のカバーガールは、その地元テレビのインタビュー記事の表情が決め手となって、祐奈が第一候補となり、羽津希は目の前真っ暗、という事態に陥るのだが、祐奈が急に退校することが判明し・・・、といった展開。時折、荒んだ話の交じる本シリーズなのだが、珍しく女同士の友情といったことが感じられる仕上がりです。

このほか、同僚に罪をなすりつけた警察官が最後に復習される「罰則」であるとか、模擬家屋を使っての殺人事件の現場再現で風間が研修生たちに伝えたかった「警察官の思い」が描かれる「机上」、そして、美浦と桐沢の第100期の総代の座を争いの決着がつく「奉職」など、「ふむ」と唸らせる話が続くのですが、ここから先は原書のほうで。

【レビュアーから一言】

最終話の「奉職」では、元現役医師、テーマパークの忍者役の職員、米のソムリエ、花火師、エレクトーン奏者と異色の前歴がある100期の研修生の中でも、一番の異色の前歴が「美浦」にあったことがわかるのですが、それを原書のほうで確認した後、風間が怪我をしてもなお警察官として奉職している理由としてつぶやく「会えるからだよ。きみのような学生に」という言葉をオーバーラップさせると「ふーむ」と唸らせられること間違いなしですね。

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