シングルファーザー二人のこっそりとした宴 ー 豊田悠「パパと親父のウチ呑み1~2」

出版社務めの晴海と息子の清一郎、マッサージ店経営に千石と娘の愛梨というシングルファーザー親子二組の、愛情あふれる生活と父親、子どもたちそれぞれの成長物語を描いた「パパと親父のうちご飯」シリーズの外伝的位置づけの短編シリーズが「パパと親父のウチ呑み」。

父親と子どもたちにおきる様々なハプニングは本編のほうで展開されているので、こちらのほうは、清一郎と愛梨が寝てしまった後、父親二人がこっそりと料理をして、二人で「家呑み」するこぼれ話の数々が収録されている。

【収録と注目ポイント】

第1巻の収録は

1話 焼き枝豆&ハムカツ
2話 まぐろアボガドユッケ
3話 豚の角煮
4話 たたききゅうり
5話 チーズフォンデュ
6話 ベーコンとナッツの燻製
7話 あさりの酒蒸し
8話 手羽先のグリル焼き
ウチレシピ
パパ飯レシピ

第2巻の収録は

9話 鶏皮ポン酢
10話 明太マヨピザ
11話 タコス
12話 大人のポテトサラダ
13話 月見つくね
14話 スペアリブのビール煮
15話 湯豆腐
16話 蓮根まんじゅう
ウチレシピ
パパ飯レシピ

となっていて、シリーズの開始は、千石親子と晴海親子の暮らしが起動にのり始めた頃、二人の子供の世話で夜の街に繰り出すわけにもいかない父親二人のストレスを解消するため自然発生的に「ウチ呑み」が開始される、といった滑り出し。

なので、でてくる料理は、冷蔵庫の中に余っていたものや、翌日の子どもたちの弁当のおかずや夕食の下準備の材料を使っての手間暇をかけない料理を中心にしたもので、多くのものが単身赴任中のお父さんでも調理できそうなものばかり。
例えば、枝豆を洗って塩を揉み込んでフライパンで蒸し焼きにしたものであるとか、

板ずりしたきゅうりをビニール袋に入れて、かつおぶし・醤油。ラー油・白ごまと和えて冷蔵庫でい冷やしながら漬け込んだ「たたききゅうり」であるとか、

鶏皮をフライパンでカリカリになるまで炒めてネギとポン酢をかけた「鶏皮ポン酢」であるとか、

簡単ではあるが「酒の肴」にはたまらない一品ばかりが登場してくるのである。
しかも、合間合間の二人の父親の飲みっぷりが

といった感じなので、読みながらこっちも呑みたくなってしまうこと請け合いの展開となっている。さらに、筋らしい筋はないので、どこから読んでもよいので、その時の季節に合わせたところを開いてみてはいかがでありましょうか。

【レビュアーから一言】

本シリーズのほうでは、登場する場面が少なくなってしまった料理教室の「ゆかり」先生も第1巻の最後の方では

といった感じで登場して、手羽先料理を披瀝してくれますんで、

ゆかり先生ファンの人もぜひどうぞ。

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