SNSマーケティングの肝を学ぶ ー 飯高悠太「僕らはSNSでモノを買う」(Discover)

最近は小さな企業でも、営業担当の中にWeb担当をおいていることが多いのだが、いざ自分がその役目をすることになると、SNS全盛期とは知っているし、時分でもSNSはやるけそ、どうやって営業に結びつけていいのかわからない、上司から「若い君なら簡単にできるよ」と社内のネットの広報の担当者にされたのだが、自分の私的なことならまだしも企業のPRなんてどうやったらいいんだ、と途方にくれている人もあるのでは。

そんなあなたに、IT企業の営業から新規事業やサービスの立ち上げ、SNSメディアの運営など、ネットワークを使ったマーケティングの世界でビジネス経験を積み、数々の業績を上げてきた筆者が、SNSによるマーケティングについてアドバイスしてくれるのが『飯高悠太「僕らはSNSでモノを買う」(Discover) SNSマーケティングの「新法則」』である。

【構成と注目ポイント】

構成は

第1部 僕たちのメッセージはどうすれば届くーSNS活用編
 1 SNSでモノが売れるの!?
 2 企業はSNSでガンガン宣伝すればいい
 3 じゃあ、企業アカウントで、何をすればいいの?
 4 UGCはなぜ大事?
 5 最終ゴールはフォロワーを増やすこと?
 6 まぜアカウント運用だけじゃダメなのか
 7 つまりバズらせればいいということ?
 8 SNSで売り上げを出しやすい商品、出しにくいショウビン
 9 SNS時代の購買はULAASSになる
 10 ULSSASを回すポイント① スモール・ストロング・タイの法則
 11 ULSSASを回すポイント② UGCを発生させる仕掛け
 12 Twitter以外のSNSマーケティング
 13 炎上はどう防ぐ?
第2部 僕たちのメッセージはどのようにつくればいい?-コンテンツ活用編
 1 UGCが発生しないときこそコンテンツマーケティング
 2 どうしてコンテンツマーケティングが注目されているの?
 3 まだPVで消耗してるの?
 4 誰のどんな悩みを解決するの
 5 ユーザーはどんな人?
 6 メディアは量なのか?質なのか?
 7 コンテンツって、そんなにたくさん作れるもの?
 8 どの数字をチェックすればいいの?
 9 マーケターにとって一番大事な考え方

となっていて、Webマーケターである筆者の分身の「飯高悠太」と、インテリアメーカーのマーケティング担当でWeb担当になったばかりの新人「浅野大輔」、接客指導をメインとする会社で働いた後、今は接客指導の研修講師をしている「木下奈美」の三人が自分の仕事上の悩みを筆者に打ち明け、相談しながら、SNSマーケティングの基礎から応用、コンテンツづくりのコツまでアドバイスを受けていく、といった展開となっている。

ざっくりとレビューすると、まず第一部では、「SNSを使ってマーケティングする」っていうのはどういうことなのかについてがレクチャーされるのだが、UGC(ユーザーが作ったコンテンツ、User Generated Contents)の重要性のところから、SNS時代の購買プロセスであるULSSAS(ユーザーが作ったコンテンツ、口コミ→「いいね」→SNSで検索→ヤフーやGoogleで検索→行動・購入→拡散)を回していくための留意点といったことを丁寧にアドバイスしてくれた上に、

企業でSNS運用を任されている人の話を聞いていると、追いかけるべきKPI(ケーピーアイ=重要業績評価指標)が、フォロワー数になっていることがほとんどです。
また、個人事業主の方と話をしていても、SNS運用の最終日標は、フオロワーを増やすことだと言ったりします。

であったり、

リスティング王国やSEO対策だけに力をいれると、このアテンション(認知)が増えないので、購買ファネルの入り口は広くならない

多くの人が「バズとは、瞬間的に大きく拡散すること」と考えているところに問題があります。
(略)この情報爆発時代、バズとはいえ一度きりのものであればユーザーの目に留まる可能性は低いし、仮に目に留まってたとしても、記憶に残りにくいからです。バズは、毎回狙って作れるとは限りません。だから再現性も低いといえます。

といったように「目からうろこ」のアドバイスがあって、通常の教則本ではわからないところに気づかされることが多い。

そして、基礎編を受けた第二部では、コンテンツを作っていく際の留意点を中心にアドバイスされていて、

コンテンツ・マーケティングは、商品について調べようと思ったり、買おうと決めて検索している人だけでなく、商品を知らなかったり、まだ購入を検討していI層にも届く

といったことから、潜在僧に向けたアプローチの必要性を重視すべきことであったり、PVが伸びなくて悩んでいる企業マーケターには

オウンドメディアの一番の目t系は、それらの広告で届かない層にリーチすることなのですから、さっき言ったような広告と同じ指標で考えるのはナンセンスです。
では、オウンドメディアでは、いったい何を評価基準にするべきでしょうか。厳密のは企業によって違うでしょうが、多くの場合、オウンド目で言あでは「間接的なコンバージョンへの貢献」が評価ポイントに」なるはずです。

といった感じで、一味違ったアドバイスがされているので、読み逃しされませんように。特に、「メディアとしてはどこから流入してくる人が増えれば成功といえるか」という問いに

ダイレクト流入、つまり直接自社のサイトに来てくれて、そこから記事をクリックしてくれる人が増えるのが一番大事だと思っている

というあたりは、とかくSNSからの流入を重視する傾向への警鐘ともいえますね。

【レビュアーからひと言】

全体としてはマーケティングのWeb担当になってしばらく経つ人、あるいは個人でビジネスをやっていてWebで顧客を拡大したいのだが思ったほど成果の出ていない人に向けての、SNSマーケティングの基礎編以上専門家編未満といった位置づけの本のように思えます。
ただ、我流で勉強している初心者から中級者の真ん中どころの人にとっては、ついつい見逃してしまいそうなところを抑えてくれる本といえますね。

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