マリアがついに無差別犯行を手を染める ー 東村アキコ「美食探偵 明智五郎 6」

東村アキコ

イケメンながら妙なデザインのジャケットと時代遅れのループタイを見につけ、美食家ではあるが、普段の昼食がデリバリーの弁当という探偵「明智五郎」が、行きつけのデリバリー弁当屋の若いオーナー「小林苺」とともに、明智が生み出してしまった「殺人狂」マグダラのマリアの犯行に挑む「美食探偵」シリーズの第6弾。

前巻で、明智の相棒・小林苺にニセの失調料理のオーダーを出し、自分のクルーザーに呼び出して抹殺しようとするところを、危険を察した明智の活躍で阻止された、殺人狂・マグダラのマリアのファミリーが、その牙を剥き出しにして、大量殺人に乗り出すのが本巻。

【あらすじと注目ポイント】

まず前半部分では、明智五郎によって殺人狂の性向を引き出された「マリア」が、まだ「一般人」であったところの回想から。ここで

という具合に、彼女が明智五郎とは高校時代にすでに出会っていることが明らかになります。

第2巻で、彼女は若い頃にフランスに長期旅行していたことがわかっているのですが、どうやらカトリック系の「聖唱女学園」という「お嬢さま学校」の出身らしいですね。第1巻では明らかになっていなかった、学校を卒業して、結婚して、夫殺しに至るまでの心の動きが描かれてます。

後半部分では、いよいよマリア・ファミリーが、大量殺人へ向かって動き始めます。
マリアは、明智の母親が、総理大臣主催の「五月晴れの会」という催しに招かれていることを、明智一族が経営する「扇屋デパート」で聞きつけ、そこでの殺人を急遽思いついたようですね。どうやら彼女は

と銀座の高級クラブの売れっ子になっているらしく、おねだりすれば、そうしたセレブのイベントにも忍び込めるようです。

で、まんまと忍び込んだ彼女が仕込むのは、お茶会での仕掛けです。

ここで用意されたお菓子はこういうものなのですが

なにやら仕掛けがされているようです。さて、読者の方はどれに毒が仕掛けられているかおわかりになりましたでしょうか。
そして、この菓子によって

と、この国家的イベントの招待者をはじめ多くの人が犠牲になることになりますね。
さらに、この場からまんまと抜け出したマリアは、さらなる犠牲者をつかまえ・・といった展開です。

【レビュアーから一言】

マリア・ファミリーが仕掛けるテロ事件で、今巻では総理が「アコニチン」つまり「トリカブト」の毒にあたって死んでしまうのですが、ファミリーの一員である「シェフ」のこの言葉

からすると、今回の事件を殺人事件にまで仕立て上げたのは「マリア」の仕業に間違いなおですが、彼女も総理をターゲットしてのものではないようです。さて、誰を狙っての仕掛けなんでありましょうか?。総理の前に席に、明智と彼の母親が座っていたのがヒントなのかもしれないですが・・・。

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