「戦国小町苦労譚6」ー静子は京都の警察長官となり、現代の知り合いと再会する

現役女子農業高校生が、戦国時代にタイムスリップして、持ち込んだ種子や後世の農業技術な器具を駆使して、尾張の信長のもとで大活躍する、時代改変もの「戦国小町苦労譚」のコミカライズ版の第6弾。

前巻で足利義昭を擁して上洛の途についた信長軍を地の利を利用して待ち受ける六角勢いを、ファイヤーピストンという圧気発火器による火攻めで敗走させた静子の属する信長軍が京都に入ってからの動きを描くのが本巻。いままで明らかになっていなかった、静子と同じ現代からのタイムスリップ者が明らかになる巻でもあります。

【構成と注目ポイント】

構成は

第二十六幕 整備
第二十七幕 抜擢
第二十八幕 量産
第二十九幕 足満
第三十幕  仲間

となっていて、この上洛の目的は三好三人衆の擁立した第14代将軍・足利義栄を廃して、足利義昭を将軍位につけることなのですが、これを安定的にすすめるため、静子は京都の治安を守る「京治安警ら隊」5千人の責任者を命じられます。

当時、幕府の威勢が落ち、今日は野武士や野盗が跋扈する最悪の治安の悪さの上、京都へ上洛した勢力は現地での食糧調達や略奪を常としていたので、京都の治安を護ることが最優先であったわけですね。

で、静子は警ら隊を「警ら舞台」と「保護部隊」にわけて運営します。警ら部隊は京の各所に詰め所に詰め警視巡回、保護部隊は、戦災孤児や浮浪者を収容して保護する任務を受け持ち、その警ら部隊の責任者は森勝蔵、保護部隊は加児才蔵が責任者。前田慶次が別動隊として職人のスカウトにあたるよう振り分けるのですが、ここで職務不適合を起こしたのが可児才蔵。

もともと生真面目で融通が利かないタイプなので、その厳格さが障害になります。そこで静子のアドバイスは、FBのザッカーバーグのアドバイスで、それに開眼した可児は・・という展開です。同じ戦国時代を舞台にした「センゴク」では、可児才蔵は荒武者として描かれているので、このへんのギャップは大きいですね。

この時期、静子が京都で優秀な職人を集めているのと並行して、濃姫は料理人を集めています。かぼちゃ・トマト・さつまいもといった当時の人が見たこともない食材や、フライパンといった見たこともない調理器具を使って料理をつくれ、という難題を出し、三人の男が残ります。足満、みつお、五郎という名前の男たちです。

そして、静子は濃姫のはからいで、三人と面通しをするのですが、そのうちの一人・足満の姿を見た静子はえらく驚きます。

なんと、彼は、「現代」で静子と知り合いだったのが判明するのですが、その知り合いになったときにもまた謎が隠されているようで・・・といった展開なのですが、ここから先は本書のほうで。

【レビュアーから一言】

今回、濃姫が「足満」たちに調理させる食材の、かぼちゃは天文年間(1532年〜1555年)の間にポルトガル人によって九州へ、さつまいもは1600年頃に沖縄から薩摩へ、トマトに至っては17世紀半ば、江戸時代になってから本土へもたらされている野菜なので、信長や濃姫の時代は、食えるものかどうかすらわからなかった状況です。

このときに、静子の調理とはいえ、食べ物として認めて食する二人の進取の気性はさすがと言わざるを得ませんね。

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