稲員未来「リモートワークで生きていく!」ーリモートワーク実践者の目線からのアドバイス

都内の会社の情報システム部門で社内SEとしてヘルプデスク業務に従事している筆者が、自らの週5日間のほとんどをリモートワークで勤務している経験を活かして、リモートワークのノウハウのあれこれをアドバイスしてくれるのが本書。
よくある「リモートワーク本」は会社を運営する立場であったり、マスコミの立場からのものが多いのだが、実際に「リモートワーク」に従事している一般社員の目線の本書は、リモートワークの良いところと悪いところを浮き彫りにしてくれています。

【構成と注目ポイント】

構成は

はじめに
第1章 リモートワークとはなにか?
第2章 リモートワークで働くためのチェックポイント
第3章 リモートワークの事例紹介
第4章 リモートワークでぶつかる壁への対処法
おわりに
巻末付録 リモートワーク関連用語集・本書で紹介したツールのリンク集

となっていて、まずリモートワークのメリット・デメリットで「働く側」から

メリットは
1 不要な時間を削減できる
2 スキマ時間を活用できる
3 より柔軟なスケジュール調整ができる
4 ネット環境さえあればどこでも仕事ができる

デメリットは
1 自己管理脳能力が試される
2 働きすぎてしまう
3 すぐに質問できない
4 コミュニケーションロスが生まれやすくなる

と挙げられているのだが。このうち「デメリット」の「コミュニケーションロスが生まれやすくなる」というあたりで、管理者側が見過ごしがちな雑談やフェイストゥフェイスのやりとりで形成されていた職場の「ふわっ」とした安定感を抽出しているのが興味深いですね。働かせる側は、こうした目に見えないところを見逃しがちなので、実際にリモートワークを導入したり、するときの社員の精神的なサポート部分としておさえておかないといけないですね。

さらに「リモートワークで仕事相手からの信頼を得るためのコツ」であげられている
1 返信はとにかく早く
2 解決策が思いつかない課題や困りごとは、早めに上長やメンバーに相談する
3 他の人から依頼されたタスクは「現状と完了予定日」をできるだけ頻繁に共有する
4 スケジュールをブロックする際は、できるだけ擬態的なタイトルをつける
といったところを見ると、リモートワークでもリアルワークでも、おさえておかないといけないところは共通しているようです。

そして、第3章では4人の実例が紹介されるとともに、第4章のところでは、実際にリモートワークでやってきての様々なネックや解決法の一端が紹介されているのですが、「リモートワークは感情の共有が難しい」というネックを解決するために「チェックイン(参加者同士の気持ちの調整のために、話し合いのはじめに、全員が一言ずつ今の自分の状態、気持ちなど自分のことを共有する時間をとる手法)」の大事さが指摘されたり、と実際の経験に基づく話がたくさんでてくるので、リモートワークの導入を考えている会社の経営層の人こそ目を通しておいたほうがいいですね。

【レビュアーからひと言】

新型コロナウィルスの緊急事態宣言が解除されたかと思うやいなや、リアルの職場への出勤が復活するところが増えて、「リモートワーク」もひょっとすると一時の流行現象に終わってしまう危険性もあるのですが、それはちょっと惜しい気がします。フツーの職場の「働き方」のパターンの一つとして認知して正式導入を考えていくべきものではないでしょうか。
その意味でも、こうした実務者からの体験談や改善案などがたくさんでてくると普及にも弾みがつくのではないでしょうか。

リモートワークで生きていく! 〜リモート歴2年以上の私が教える完全ノウハウ〜 (impress QuickBooks)
自宅環境の整え方や便利なITツール、企業視点でのマネジメント法など、リモートワ...

コメント

タイトルとURLをコピーしました