片桐あい「これからのテレワーク」ーリモートワークの草分けが教えるコツの数々

著者は外資系IT企業の「オラクル(入社当時はサン・マイクロシステムズ)」に入社した1992年から、テレワーク(リモートワーク)で仕事をしてきた経験をもとに、リモートワークを上手くやっていく秘訣をアドバイスしてくれるのが本書『片桐あい「これからのテレワークー新しい時代の働き方の教科書」(自由国民社)』です。

【構成と注目ポイント】

構成は

第1章 テレワークのメリット・デメリットと求められる3つの力
第2章 テレワークで評価されるために5つのマインドセット
第3章 「セルフマネジメント力」を高める8つのポイント
第4章 「マルチコミュニケーション力」を高める6つのポイント
第5章 「成果の見せる化力」を高める6つのポイント
第6章 さらに成果を挙げる「ビジネスコミュニケーション力」を高める7つのヒント
第7章 マネージャー必読!テレワークがうまくいくために5つの準備

となっていて、長いテレワーク経験をもつ筆者にとると

①セルフマネジメント力・・・高いメンタリティを維持する力・時間管理の力・目標管理をする力
②マルチコミュニケーション力・・・相手がどんな人とでもどんなツールを使用してでも、報連相・プレゼンテーション・ファシリテーション・交渉ができる
③成果の見せる化力・・・自分の仕事の成果を公正にアピールすることができる
がテレワークに必要な能力と考えられてるのですが、①や②については、リアル職場で働く場合にも必要となっているものなのですが、リモートワーク下では、

・移動距離が極端に減る
・雑談も含めリアルや人とのやりとりがあったのが、電話やメール、チャットといった形でのやりとりだけになる
・仕事のやりとりが、電話、メール、チャット、オンライン会議と様々なツールを使ってのやりとりになる

といった変化が起きるわけで、例えば「自分の状態のセルフモニタリングをする」とか「仕事のオンとオフのルーティン(習慣的な動作や手続き)があったほうがいい」といったリモートワーク特有の「仕事を気持ちよくするためのスキル」が必要となったり、「オレはパソコンには疎いから」では仕事そのものができなくなってしまうといったことにもなってくるので、筆者のアドバイスは貴重ですね。

さらに、注目しておかないといけないのは、③の「成果の見せ方」で、リアルな勤務の場合は働いている様子とか勤務時間中のやりとりとかで「ふぁっ」と把握しているモノがリモートになることによってすっぽり抜け落ちてしまいます。このへんは特に息の長い企画系やプロジェクト管理など、目に見える成果を測りがたい仕事をしている人は、管理側から変な低評価をうけないように自己防衛が必要となってくる気がしています。このへんは筆者の

上司へのわかりやすい仕事のアピールの方法は、とにかく数値化するこです。業務改善やコスト削減など、自分の生家を時間や金額に置き換えて報告しましょう。

であったり、

タスクリストをつくり、実際にリストどおりに仕事ができたかを記録しておきましょう、

といったアドバイスが参考になるのではないでしょうか。

【レビュアーからひと言】

筆者による「テレワーク」の時代区分は

①1990年代終わりから2000年代はじめにかけての電話とメールを使って仕事をしている「テレワーク1.0」の時代
②2000年代中頃からつい最近までの、インターネット環境や機材も整い「利用する気になればテレワークを運用する技術的なハード面は整っているのですが、それを運用する人の気持ちやルールなどのソフト面で格差」のある「テレワーク2.0」の時代
③COVID-19の流行により、好むと好まざるとに関わらず強制的にテレワークが迫られた「テレワーク3.0」の時代

という認識で、これによると今は、準備が整っていようがいるまいが、突然にリモートワークが強いられたことによる混乱が、多くの働く現場で、使用者側にも労働者側にも、管理職側にも起きている、という状況なんでありましょう。

緊急事態の緩和から、経済活動の復活の段階に至って、どういうわけかリモートワーク自体が向こうの押しやられて、「やっぱりリアル」なんていう昭和のおじさんが頭をもたげ始めているのですが、リモートの動きは加速していく、と期待したいですね。

これからのテレワーク──新しい時代の働き方の教科書
ワーカー&マネージャ必読! テレワーク3.0の時代に成功する「3つの力」とは何か? IT企業で20年以上働き、テレワークで実績を上げてきた著者による、超実戦的導入メソッド。 (目次) 第1章 テレワークのメリット・デメリットと求められる3つ...

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