薬剤過剰摂取の女性の「心」の鍵を開けー荒井ママレ「アンサング・シンデレラ4」

コミック

最近流行の医療ドラマや医療コミックでも、脇役としての登場もなかなか少ない「薬剤師」にスポットをあて、市中の総合病院の調剤部門に勤務する、お団子にまとめた髪がトレードマークの若手新米薬剤師「葵」を主人公にした病院医療コミックの「アンサング・シンデレラ」シリーズの第4弾。
今巻では、葵の後輩で、心配性の薬剤師「くるみ」が、薬剤の過剰摂取で入院してきた女性との関係性の構築や、彼女の悩みをどう表に引き出していくかなやんでいくことで成長していく物語が描かれます。

【構成と注目ポイント】

構成は

第16話 月の裏
第17話 超えられぬ線
第18話 与えられた「役割」
第19話 私の”精一杯”
第20話 長く「看る」こと

となっていて、まず第16話は生理痛がきつくて診察にきた女性の薬トラブルに葵が対応する話。

今どきの女性らしく、ハーブを楽しんでいたり、サプリを飲んで、生理痛がきついことからくる鬱屈を宥めていたのですが、それが薬と干渉して思わぬ副作用がでていたことがわかります。さて、葵の対処は・・・、という展開です。

第17話から第19話は葵の後輩の相川くるみが主人公です。小児科の空きベッドに内科の患者が回されてきたので、本来なら内科担当の薬剤師である彼女が小児科へ出張して患者の様子を確認することになります。

今回の患者は、薬剤の過剰摂取で入院してきていているのですが、彼女の治療と投薬方針をめぐって、主治医の庄司と葵が激論を交わすのを見て、自分の消極さと自分の存在の希薄さに悩んでしまい、といった設定ですね。

で、存在感の希薄さについては、今回薬剤過剰摂取で入院してきた女性も同じで、夫にとても労られて暮らしていることで、かえって、自分の存在意義や必要性が希薄に感じられて、過剰摂取をして入院を繰り返してしまうという事情を抱えています。

そして、この患者の悩みにシンクロした感じのある「くるみ」なのですが、第2巻で登場した調剤薬局の「小野塚」から市中の薬局の薬剤師たちの呑み会兼意見交換会に出席し、悩みを打ち明けることで、一皮剥けていくのですが、詳細は本書のほうで。

第20話は、前話の呑み会兼意見交換会の流れて、「在宅特化薬局」の見学をすることになります。在宅特化薬局というのは、高齢者で終末期であったり認知症や歩行の難しい人を、地域の医師、訪問看護師、ケアマネージャーと連携をとって患者さんを看るシステムのようです。この薬局の活動の様子が、「小野塚」「葵」「くるみ」それぞれの薬剤師としてのこれからの刺激を与えた様子です。

【レビュアーから一言】

いつも元気であちこちにぶつかっていく、お団子頭の元気娘と違って、おとなしめで、物事を考えすぎる傾向のある「くるみ」ちゃんなのですが、当方のイメージとしては、こちらのほうが「薬剤師」さんのイメージには近い感じがします。彼女が薬剤師としてどういう途を選んでいくか、楽しみなところであります。

Bitly

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