本能寺の変の後、光秀の周囲に離反の動きが・・ー藤堂裕「信長を殺した男7」

戦国時代

「本能寺の変」は、明智光秀が、信長のイジメに逆恨みしたか天下が欲しくなったかした後先考えない衝動的な犯行で、その後、信長の仇をとって天下を平和に導いたのが、豊臣秀吉であった、っといった通説に真っ向から反論している明智光秀の子孫を名乗る「明智憲三郎」氏の著作をコミカライズした、「信長を殺した男〜本能寺の変 431年目の真実〜」シリーズの第7弾。

前巻でとうとう「本能寺の変」を起こし、主君・織田信長を討った光秀のその後の地盤固めの出来栄えと、変の情報を得た秀吉、信長に庇護されていた宣教師たち、光秀の盟友である細川藤孝などなど、彼を取り巻く主要人物たちの動静が描かれるのが本巻。

【構成と注目ポイント】

構成は

第36巻 二条御所の戦い
第37話 神君伊賀越え
第38話 近江制圧
第39話 中国大返し
第40話 イエズス会
第41話 情報戦

となっていて、第36話と第37話は、信長死亡後、変の行方に大きな影響を持つ、信長の嫡男・信忠と徳川家康の動向が描かれます。

まず信忠のほうは、家臣からいったん難を逃れた後、兵を整えるよう進言されるのですが、これを退け二条新御所に立て籠もります。落ち延びようとしても光秀がしっかり網を張っているだろうという見立てからで、これは光秀の用意周到さをよく知るからの判断です。この判断は妥当としても、あくまで光秀に反逆するなら東宮たちを手放してはいけないはずなのにそうしないのは、討ち死を覚悟してのことでしょう。

ここらは形勢不利とみたら恥も外聞もなく逃げ出すことを厭わなかった信長と違うところで、天下人あるいは武将としての器量の面では疑問符がつくところです。

家康のほうは通説では追い剥ぎや地元民に襲われることにビクビクしながら伊賀越をしたことになっているのですが、本書では伊賀者を要所に配し、さらには、光秀との内約に気づいた「穴山梅雪」の始末までした上での自領への帰還として描かれてます。ここらは、蓑輪諒さんの「殿さま狸」でも同じような推理がされてました。

ちなみに、武田家の最後の当主・武田信勝(父親の武田勝頼は、正式には彼の後見役)の影武者の女の子の活躍を描いた室井大資さんの「レイリ」では、伊賀者や山賊の仕業ではなく、主人公のレイリの仕業となっていましたね。

そして、本能寺の変後の光秀なのですが、信長の三男の神戸信孝と信長の甥(信長の弟・信行の子)・津田信澄との間を偽の情報で撹乱して内輪もめさせたり、安土城からの進軍を途中の「唐橋」を炎上させて遅延させ、近江地方を制圧し、安土城の無血入城に成功します。ここらは織田家が誇る戦上手が見事に発揮されてますね。

一方、秀吉のほうですが、中国攻めで毛利勢と対峙していて、簡単には動けないはずなのですが、毛利と電撃的な和解をし、有名な「中国大返し」を敢行します。これができたカラクリとして、本書では毛利方の安国寺恵瓊との密約や、本能寺の変の兆しや情報をかなり早い時期から知っていたというところに求めています。

この感じでは毛利勢がコケにされている様子なのですが、「陰謀論」をもっと深めると、畿内での戦乱の再発で中国地方へ向かう織田の勢力を削ぐための毛利勢と本能寺の残党の謀みがあった、という話が加わると面白いと思います。

本巻は、本能寺の変の直後から秀吉の中国大返しまでで、これから先の天下分け目の戦いは次巻となります。さて、史上、光秀の天下取りが「三日天下」と終わった真相と、秀吉の大陰謀はなにか、そして家康は、といったところが次巻で語られるのでしょうか。

【レビュアーから一言】

光秀の謀反の計画は、本能寺の変で信長を討つところまでは綿密な仕上がりなのですが、信長を討った後は、高山右近や中川清秀の協力が得られなかったり、細川藤孝や筒井順慶の日和見など、信じていた味方たちに次々と裏切られることで瓦解をしていきます。
その一つのキリシタン大名の高山右近の寝返りの陰に、宣教師たちの彼への助言があったことが本書では描かれています。

明への布教を信長の「唐入り」で進める計画が信長の死で頓挫したことへの仕返しとされているのですが、安部龍太郎さんの話では、この少し前に、信長は宣教師たちと疎遠になっているので、もっと別の動きがあったのかも。

当方的には、当時のキリシタン武将たちの領袖的な存在だった黒田官兵衛あたりが、信長の代役に秀吉を立てて、キリスト教の布教拡大を狙ったといったあたりが怪しいのではと邪推しています。秀吉に天下取りを助言したのも官兵衛だと言われてますしね・・・。

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