静子は織田と近衛をつなぎ、天下統一をアシストするー「戦国小町苦労譚 7」

現役女子農業高校生が、戦国時代にタイムスリップして、持ち込んだ種子や後世の農業技術な器具を駆使して、尾張の信長のもとで大活躍する、時代改変もの「戦国小町苦労譚」のコミカライズ版の第7弾が『夾竹桃・平沢下戸・沢田一「戦国小町苦労譚 7 重鎮ヲ懐柔セヨ」(アース・スター・コミックス)』。

前巻で、京都からの凱旋後、濃姫によって、料理人候補として引き合わされた人物が、静子と同じように現代からタイムスリップしてきていた人物で、しかも、その人物が、静子の家族が幼い頃に行き倒れているところを助け、それ以来、家族同様にしていた「足満」という男性であることがわかったのですが、今巻では、再び京へのぼった信長と静子が次のステップへ上がる重要な人脈をつくっていきます。

構成と注目ポイント

構成は

第三十一話 故郷
第三十二話 宣教
第三十三話 饗宴
第三十四話 懐柔
第三十五話 正体

となっていて、前巻で信長の奥方・濃姫のもとに呼び出された、静子と同じように現代からタイムスリップしてきた「足満」と「みつお」は、それぞれ、櫻信之社の神主と畜産担当の食料担当役目に就くことになります。

一方、静子のほうは、羽柴秀吉と明智光秀の「信長様が機嫌が悪いので、なんとか宥めてくれ」という要請を受けて、急遽、京へとのぼります。この二人の様子は

という感じで、最近の戦国時代のコミックで描かれる、生真面目で一本気なな「光秀」や、ひょうきんな風貌に隠れて謀略の多い「秀吉」といった変化球的な描き方ではなく、オーソドクスな人物像で描かれてます。そして、信長の機嫌をなおした特効薬は「料理の味」だったのですが、これは、歴史上伝えられている京都の料理人のエピソードを変形させたものですね。

そして、このまま京都に滞在したままの静子は、これから信長が天下統一のために、幕府対策や宮廷対策をしていくにあたって、重要な役割を果たすことになる「近衛前久」と信長とを引き合わせることに成功します。

どうやって、気位の高い公家の筆頭をその気にさせたかは、本書のほうで読んで欲しいのですが、ここでも、やはり

といった料理の数々や、知り合いの「脚気」を治療する時の「現代の知識」がものをいうのですが、当時は発明されていない物事を惜しげもなく使うのはちょっと反則技ですね。
まあ、この近衛前久という人物は、若くして関白となったキレ者で、軟弱な公家の中で武勇にも優れた武人風の人物なので、料理だけでなく、当時の風雲児でもある織田信長に興味があったのかもしれません。ここで、前久から、静子を自分の猶子にしたい、という要望が出され、信長もまんざらではない表情なのですが、これが後でどういう影響をもたらすか、といったところや前久の狙いはまだ明らかになってません。

近衛前久は、明智光秀の織田信長を倒した本能寺の変を、将軍宣下や関白就任を蹴り続ける信長が自らの王朝をつくろうとしているのではと疑った公家たちがおこしたとする「天皇黒幕説」の中心人物とされる人でもあるので、これから静子とどういうバトルを演じていくか楽しみな展開であります。

さらに、今巻の最後のほうでは、「足満」が実はこの時代の有名な人物で、彼が巻き込まれた事件のせいで、現代にタイプスリップし、さらに元の時代に還ってきたことが明らかになります。彼の正体が誰なのかは、原書で確認してほしいのですが、「剣豪将軍」とだけネタバレしておきます。

レビュアーから一言

静子が信長に関わっていくことで、南近江を支配していた「六角」氏が織田勢に敗北するのは一日早かったり、敗北・没落後、豊臣秀頼の時代まで生きて秀頼の弓矢の師範を務めたとされる六角義治が待ち伏せした滝川一益によって討たれるなど、歴史が微妙に変わっているのですが、今回、近衛前久と知り合ったことで、また何か歴史改変がおきそうな気がするのですが、いかがなものでしょうか。

【kindle限定オリジナルイラスト付】戦国小町苦労譚 重鎮ヲ懐柔セヨ 7 戦国小町苦労譚 【コミック版】 (アース・スターコミックス) | 沢田 一, 夾竹桃, 平沢 下戸 | マンガ | Kindleストア | Amazon
Amazonで沢田 一, 夾竹桃, 平沢 下戸の【kindle限定オリジナルイラスト付】戦国小町苦労譚 重鎮ヲ懐柔セヨ 7 戦国小町苦労譚 【コミック版】 (アース・スターコミックス)。アマゾンならポイント還元本が多数。一度購入いただいた電...

【スポンサードリンク】

コメント

タイトルとURLをコピーしました