道真は伴善雄の野望を砕き、ついでに悪友が拾った娘の里親探しに奔走するー灰原薬「応天の門 13」

宇多天皇・醍醐天皇に寵愛されて政治の権を握ったのだが、藤原一門との政争に破れて太宰府に左遷され、死後、祟り神となって時の権力者である藤原時平ほか藤原四兄弟をとり殺したとされる「学問の神様」菅原道真と、平安時代きってのプレイボーイとして有名な在原業平の二人の活躍を描く「応天の門」シリーズの第十三弾。

前巻で隠れ里の謎をといて、村人たちに囚われてしまいそうになっていた在原業平を救った道真だったのですが、今巻では源信の近臣・土師忠道や、友人の紀長谷雄、大学寮の師・都言道が巻き込まれるトラブルを解決するのが本巻です。

構成と注目ポイント

構成は

第六十七話 土師忠道、菅原道真と遇する事②
第六十八話 土師忠道、菅原道真と遇する事③
第六十九話 紀長谷雄、竹やぶにて子を見付くる事①
第七十話  紀長谷雄、竹やぶにて子を見付くる事②
第七十一話 都言道、山中にて天女に惑わされる事①
第七十二話 都言道、山中にて天女に惑わされる事②
番外編 業平、重用に花を求むる事

道真は伴善雄の悪巧みを打ち砕く

第六十七話、第六十八話は前巻で、仕立てもので一家を支えている「タマ」ちゃんが、伴善雄の家来に因縁をつけられていたところを、左大臣・源信の近臣・土師忠道が救けたあとの後日談です。この家来のほうは因縁をつけて酒を道真たちに酒を弁償させようとする程度のケチな犯罪を企む程度だったのですが、彼を投げ飛ばして撃退した土師忠道が、左大臣の近臣であることを、大納言・伴善雄が知ったところから話が複雑になっていきます。伴善雄は、皇族の系統である源一族や、藤原氏を追い落として、かつての大伴氏の権勢を取り戻そうとする「上昇志向」の塊のような人なのですが、策略にも長けているという人物。大納言の悪企みから、道真は土師忠道や源信を防御できるか、というのが焦点ですね。道真のアイデアはさすが冴えてるね、と思わせておいて、転んでも無料では起きない、伴善雄の「したたかさ」が際立つ展開ですね。

そして、「タマちゃん」の淡い恋心がつぶれてしまうのが、ちょっと哀しいですね。

竹やぶのお姫様の里親を探せ

第六十九話と第七十話は、道真の悪友である紀長谷雄が、竹やぶで拾った女の子をどうするか、というお話。彼は大学寮の裏口から出たところで、老人に付け文を渡され、喜んで待ち合わせで指定された竹やぶにいくと、女の子が捨てられていた、という経緯で、ネタバレをすると、大学寮に通う他の学生と間違えられて、その娘を押し付けられた、という顛末です。ただ、この不実な父親に、その赤ん坊を渡すわけにもいかず、赤ん坊の「親」となる貴族を、道真が見事なアイデアで見つけていく、という展開です。最初は「竹取物語の変形?」と思ったのですがそうではなく、赤ん坊を子供を欲しがっている母親に、「神仏のお導き」のようにみせかけて引き合わせる道真の企画の見事さを楽しんでください。

ついでに、実の父親にも恐怖でビビってしまうお仕置きをするので、そこもあわせてご賞味ください。

山中で出会った天女の正体は?

第七十一話と第七十二話は、大学寮の師の一人・都言道が、道真の父親・菅原是善の依頼で、鞍馬山に隠棲している高僧のもとに手紙を届ける途中で、山道に迷ってしまうのですが、そこで美しい天女のいち団に取り囲まれ、キノコをすすめらて食したところ、意識を失い、素っ裸で発見される、という出来事がおきます。

その際、是善がことづけた手紙も紛失してしまっていたので、再び、その高僧のもとを訪ねようとするのですが、今度は道真も同行することなってしまい、という筋立てですね。もちろん、今度は「天女」には再会できず、かわりに山中のあばらやに住む3人の老婆に出会い、彼女たちの家で「キノコ」を勧められるのですが・・という展開です。まあ、今も昔も、得体のしれない「キノコ」は食べないほうが安全なようですね

レビュアーから一言

今巻でも、伴善雄は、帝の血筋を引く源一族、特にその筆頭格である「源信」を追い落とそうとして策略をめぐらしてきます。伴善雄には、かつての大伴一族の権勢をとりもどそうとする「野望」があり、そのためには手段を選ばない「上昇志向」のキツい人物なのですが、これが後に「応天門の放火事件」につながっていくのだと思います。この時点では、伴善雄は、最大の標的を「源一門」ととらえて、藤原氏のことは前巻の最後のほうで「女を送り込んで皇子を産ませるだけが能」という低評価を下しているのですが、これが墓穴を掘る原因だったのではないでしょうか。

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