親父とママのどちらを選ぶ?愛梨の選択はー「パパと親父のウチご飯 13」

元カノから娘を預けられた、ちょっと乱暴な整体師・千石哲とその娘・愛梨、子供を引き取って離婚したマンガ雑誌の編集者・晴海正弘とその息子・清一郎という2人の父親+2人の子供の共同生活のドタバタと子供と父親の成長を描いた『豊田悠「パパと親父のウチご飯」(バンチコミックス)』の第13弾。

前巻の最後に、愛梨の実の母親であるマキのハワイの支店も軌道にのり、日本へ一時帰国を考えている姿が描かれていたのですが、それが現実のものとなっての、千石と愛梨、あるいは二組のシングルファーザーの共同生活の行方が描かれるシリーズ最終巻です。

構成と注目ポイント

構成は

第61話 おせち
第62話 ブラウニー&トリュフ
第63話 ロコモコ
第64話 ちらし寿司
第65話 はじまりのカレーライス
ウチレシピ
パパ飯レシピ

となっていて、まず第61話は、愛梨の母親の帰国によってこれからどうなるのか、という不安を胸底に押し込みながらの、「お正月」に向けた「おせち料理」」づくりです。二組の共同生活は1年ちょっとなので、はじめての正月となるのでしょうか。つくったのは伊達巻と紅白なますなのですが、翌日のお正月に

と頬張る「愛梨」の姿は、母親が帰国すれば離れ離れを予感する千石にはかなり複雑な心境ですね。

第62話では、バレンタインデーで「親父」たちに贈る「手作りチョコレート」を愛梨と茜が実作します。茜がちょっと惚れている千石を勇気づけるところがよいのですが、ここは原書で読みましょう。このレビューでは「ゆかり先生」ファンの方に彼女のお姿をお届けしておきます。

第63話からは、いよいよ愛梨の実の母親・マキが帰国しての話が展開します。彼女がハワイで担当している店は経営が順調で、彼女は愛梨をハワイに引き取るために帰国してきたのですが、日本での千石と愛梨の暮らしの様子を見て、その決心が揺らぎます。そして、店を閉めて日本へ引き上げると言い出すのですが、マキの夢を応援したい千石はそれを一喝。

かくして、愛梨はマキとハワイにいくのか、千石とこのまま日本へとどまるのか、全ては「愛梨」の決断によることとなったのですが・・・

という展開で、ここで、愛梨のナイス・チョイスが炸裂するのですが、ここはネタバレ厳禁。原書で読んでくださいね。

レビュアーから一言

最終話の「はじまりのカレーライス」は、数年後の後日譚であるのですが、実はカレーライスは、シリーズの第一話で、母親と離れ離れになった寂しさと、野菜嫌いで千石のつくるご飯をなかなか食べない愛梨が、はじめて心を開いた料理です。

この笑顔から物語が始まったんですよねー。最終話では、本編のときのまんま成長した「愛梨」の姿に安心する人も多いのではないでしょうか。ドタバタで暖かい「親父と娘」の物語がいい感じで締めくくられてます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました