筋金入りの女性リモートワーカーが秘訣を教えますー壽かおり「リモートワーク大全」

新型コロナウィルス感染症の緊急事態宣言が発出されてから、突然に新しい働き方として脚光を浴びたかと思ったら、感染状況が小康状態になると、あっという間に会社の管理者層から「管理ができない」「成果が期待外れ」とブーイングされ、再び第三波となるとビジネスの必須条件のように言われたり、と毀誉褒貶の激しい「リモートワーク」なのですが、テクニカルなところやスキルをきちんとおさえておきたい「ワーキングスタイル」であることは間違いないところ。
そういう「リモートワーク」の隅々の留意点やスキルの数々を、2016年から全社的にリモートワークのスタイルとなっている「シックス・アパート」の広報として勤めている筆者がまとめたのが、本書『壽かおり「リモートワーク大全」(ポプラ社 )』です。

構成と注目ポイント

構成は

Chapter1 リモートワークの基本15
Chapter2 時間の使い方12
Chapter3 自宅の作業環境を整える方法15
Chapter4 基本のコミュニケーション10
Chapter5 オンライン会議のコツ18
Chapter6 リモートワーカーが知るべきこと16
Chapter7 家族・子ども・ご近所付き合い10
Chapter8 気分転換&健康管理法10

となっていて、105の主項目と8つのコラムから構成されていて、ほぼほぼ、リモートワークに関するあれこれが網羅されている形になっていますが、印象としては、リモートワークでいまいち効率が上がらないな、とか、もっとスマートで家族の理解も高まる働き方をしたいな、と思っている「「リモートワーク中級者」向けの「単なるアイデア集」ではない「ワーキングスタイル」のノウハウ・スキル集とかっが得て法が良いでしょう。そこは

リモートワークになると、暮らしの中に仕事が取り込まれ、その境界が曖味になります。「ワーク・ライフ・バランス」のワークとライフ、これまでは場所が離れていたこともあって切り離して考えていました。
でも本当は、暮らし(ライフ)の中に仕事(ワーク)も含まれているはず。

といったところに現れているように思えます。

ただし、それはそんなに「ラク」なことではなくて

リモートワークでは、「真面目に出社して働く姿」は評価の対象になりません。
毎朝遅刻せずに会社に行くことや、オフィスでバタバタ小走りして忙しそうに動き回る、冷却シートをおでこに貼って残業する、いろんな人に話しかけて様子を聞いて回る。そういった「真面目に仕事をしているアビール」はもうしなくていいのです

であったり

仕事開始までの所要時間が大きく減ったので、シックス・アパート社員の仕事開始時間もリモートワークが始まって前倒しになりました。8時台にはチャットにメッセージが流れ始めるのが日常です。おかげで、以前ならやっとオフィスのデスクについてり一息ついていた9時半には、すでにトップギアに人ったスピードで仕事できています

といった感じなので、「昭和」な働き方になれている人は、お気をつけてくださいね。

さらに本書の特徴は、

リモートワークとは「すべてオンラインにして、一切会わずに仕事を進めること」ではありません。オフィスに加えて家などでも働けるという、働く場所の選択肢が増えること、そして毎日全員が集まらないことを前提とした働き方に変わることです。

といったことで、リモートワークが「働く場所」の意義そのものを問い直しているところにあると思います。

ただ、もちろん、こういった「精神論」だけではなく

チャットで誰かに話しかけるときには、Fl的を最初に共有しましょう。相談に乗つてほしいのか、承認してほしいのか、フィードバックを求めているのか、要求があるのか。まずそれを伝えることで、目的を理解した上で話ができます

とか

オンライン会議のノウハウについて語る前に、共有しておきたいことがあります。それは「すべての会議をオンラインでやる必要はない」ということです。
(略)
誰とも会わずに仕事を進めることが必要なのは、コロナ禍など本当の緊急事態の‐時期だけのことです。普段は離れて働いているリモートチームだからこそ、会うべきときはちゃんと会って話す機会を設けることはとても大事です。

であったり

すべてのオンライン会議で顔出し必須というわけではありません。いつものメンバーとの定例会議や、突発的なクィックコールの場合には顔出しナシで、資料を画面共有しつつ行ってもよいのではないでしょうか

といった実用的スキルのTipsも豊富に紹介されているので、かなりお得なつくりになってます。

レビュアーから一言

リモートワークというと、オフィスワークの代用品みたいな扱いがまだ続いているのですが、本書を読むと、新型コロナだけでなく感染症の流行がこれからも予測される現代では、働く形の一つのあり方として、日常のものとして取り込んでいくべきものなのだと思えてきます。今まで「都会のオフィス」に通勤できる層を中心に動いていたビジネス社会がこれで変わっていったら面白いですね。

Bitly

コメント

タイトルとURLをコピーしました