オンラインのコミュニケーションスキルの秘訣を学ぼうー佐藤綾子「オンラインでズバリ伝える力」

新型コロナウィルスの流行が、ビジネスの手法を突然にリアルからオンラインへと変化させてしまった感があるのですが、その変化が強制的で急激であったために、環境は変わっても、効率的・効果的な手法がまだうまく動いていない状況が続いています。
リモートワークで仕事をすることが多くなったあなたにむけて、オンラインでの伝達スキルとかコミュニケーション・スキルを伝授してくれるのが本書『佐藤綾子「オンラインでズバリ伝える力」(幻冬舎)』です。

構成と注目ポイント

構成は

はじめに 「オンラインでの自己実現ー勝負は非言語力で決まる」
第1章 伝わるかどうかは、会議が始まる前から決まる
第2章 圧倒的差がつく、オンライン中の動き
第3章 オンラインで主張を通す言葉の使い方
第4章 オンライン上で下品に映らないためのマナー
第5章 伝える力を鍛える

となっていて、第1章と第2章がオンラインでの見た目の印象づけ、第3章がオンラインでの会話やしゃべりのポイント、第4章がオンラインで気を付けときたいエチケット、第5章がオンラインでよりよく「見せる」ためのトレーニング術。

なので、オンライン会議や面談でのスキルアップを向上させたい人は、第1章から第3章、特に第3章を中心に読んでおくとよいでしょうね。

いくつか注目しておく点をPickupしておくと、まず見た目の印象づけのところでは

日本人の好意の伝わり方は次のようになります。
総計100%=言葉8%+声32%+顔の表情60%メラビアンの例では顔が“%ですから、好き嫌いを決めるときに日本人はアメリカ人よりもさらに顔の表情を重視していることがわかります。パッと見て顔がいいと思ったことで相手に好感を持ち、続いてそのあとの話に耳を傾けるという手順です。
これはオンラインでも同じことです。パッと画面に現れた顔の表情がよいと相手への印象が格段に上がります。ところが残念なことに、対面よりもオンラインのほうが顔の表情が伝わりにくい。したがってどうするかと言えば、自分の顔の表情をカメラの中でより鮮明に映すように工夫しましょう。

といった視点から、「アイコンタクトをしっかりする」、「顔の表情は歌舞伎役者のつもりで大きく動かす」などのアドバイスがされてます。

私が行った100人の社会人を対象とした実験では、「1分間のうち32秒以上のアイコンタクト」が、二者間の対話で相手が十分見てくれていると回答者が報告した数字です

といった独自調査の結果も紹介されてされているので、表情づくりのスキル磨きの参考になると思います。とかく、こうした見た目の話をすると、「恰好ばかり」と引いてしまう人も多いのですが、「人は見た目が9割」というベストセラーもあるように、魅力的な「外見」をつくるのはビジネス・スキルとして重要なポイントなので、おさえておきたいところですね。

さらに、「見た目」の話と同じくらい重要な「伝えるスキル」「喋るスキル」について拾ってみると

オンラインでとぐろを巻かれると、聞き手は何が何だかまったくわからず集中力が続かなくなります。一文一義が原則なのです。・・・オンラインでは「記号になるような文章で話す」ことも一つの目安です。
もう一つは、英語にしたときにシンプルな英語に訳せるものがシンプルなオンライン的文章になります

であったり、

オンラインで画面の向こうの人がうなずいたり、あいづちを打ったりするのをしつかりと見ていましょう。これが返ってくれば、わかっているという証拠です。
これをパフォーマンス心理学では「言語調整動作(レギュレーターズ」と呼びます。

といったことがアドバイスされてますね。さらに、カメラが向けられているとあせって早口になってしまう人があるにですが、これはオンラインでは聞き手がわからなくなって混乱する原因のようです。筆者によれば

これについては最近の私の実験データがあります。普段1間あたり266文字で話している私の1分間のスピーチを240文字にする。・・これでも十分わかると好評でした。・・・対面でも普段、発声・発音の訓練をしていない人は、さらに10%落として20%減らした文字数で話すことをお勧めします

といった具体的なアドバイスは嬉しいですね。

このほか、

パワポの場合は、フォントサイズを一気に上げましょう。
全体にどの文字をどれぐらい入れるのかを計算し、その文字が実際に画面で見えるかをイメージして、それから文章を決めたらいいのです

であったり、

私は、オンライン会議やZoom講演会、セミナー、ワークショップでは常に台本を作ります。台本には開始時刻から司会者の言葉の時間、自分の出番と待ち時間を一分刻みで書き込みます。それを見てリハーサルしてから本番に臨めば、時間切れは必ず防げます。

といったあたりはオンラインでの「プレゼン」のキモといえるのかも。ここらを深めたい人は、いわゆる対面でのプレゼンのアドバイス本より、Youtubeなどのスキルを捜してみたほうがオンライン時代には適しているような気がします。

このほかにも、筆者のビジネス経験を活かしたアドバイスや具体のスキルが豊富に紹介されているので、オンライン会議でのコミュニケーションやプレゼンに悩んでいる人におススメかと思います。

レビュアーからひと言

コミュケーションスキルや、プレゼンスキルをレクチャーしているビジネス本は今まで各種でているのですが、残念なことにオンラインでの実践となると、著者自体がそういうことに慣れていない場合が多いのが実情です。本書はパフォーマン心理学の専門家で、オンラインによるセミナーも開催している筆者が、そのノウハウを教えてくれているので、実践者のスキル本として、ビジネスパーソンがスキルを磨く参考になるのではないでしょうか。

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