癒やされカフェのランチは美食の魅力満載ー清水ゆう「鹿楓堂よついろ日和」4~7

東京郊外にある、古民家風の小さな甘味処を舞台に、この店で働く4人のイケメンが、店に訪れるお客の悩みを、絶品の「菓子」や「料理」、「珈琲」を使って解決していく、癒やし系スィーツストーリーの「鹿楓銅よついろ日和(バンチコミックス)」シリーズの第4弾から第7弾まで。

構成と注目ポイント

第4巻の読みどころは「鹿楓堂」の開店逸話

第4巻の構成は

第16話 口コミなんて信じない!
第17話 はじまりの話
第18話 サマーバケーション
第19話 野菜の力
第20話 幸せをつくるもの

となっていて、第16話では、セレブっぽい叔母と姪の登場です。

「口コミなんて・・・」という姪っ子に、「ぐれ」のラテアート攻撃が炸裂することとなります。

続く第17話は、鹿楓堂の主人「スイ」とシェフの「ときたか」が中学校以来の再会をして、鹿楓堂を始める頃の経緯が描かれています。ここで「ときたか」のつくるオムライスは

といった感じで絶品の風情が漂わせています(「スイ」はこの話でも「酸っぱい」オムライスをつくったりと、料理下手ぶりを発揮しています)。ただ、どうやら彼の料理は半分独学であるらしく、もともとは天才陶芸家としてデビューしていたのですが挫折したらしい暗い過去を背負っているようですね。二人が再会した当時、スイは祖父の店を再開するかどうか迷っている最中で、「ときたか」のほうも陶芸の道から外れていて、ふたりとも「行き場さがし」の感じなのですが、祖父の喫茶店の常連に出会うことで道筋が決まっていった感じです。

第20話では、実は有名なパティシエであることが判明した「角崎」さんが、鹿楓堂に来店してスィーツを注文することによって、「つばき」くんが無駄に緊張を強いられることになります。

ただ、角崎の狙いは、「つばき」くんの腕を確かめにきたわけではなくて、「スイ」が祖父の店を継ごうと思った理由とかのさぐりが目的のようです。もちろん、兄の「八京」の依頼ではないので、また何か企んでいるかもしれません。

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第5巻の読みどころは「ナポリタン・スパ」

第5巻の構成は

第21話 不器用なふたり
第22話 つながる想い
第23話 喫茶店のナポリタン
第24話 ある晴れた日の午後
第25話 人生の愉しみ

となっていて、まず第21話は、第5話の「カフェの取材は大変だ」にでてきた、強面ながら気の弱いタウン誌編集者の砂金さんの恋バナ。

お相手は同じ編集部の年下ながら敏腕編集者の「林さん」で、彼女が新しい雑誌の編集長となって異動することから、それまでに彼女に鹿楓堂を紹介したいという下心へ、「スイ」たち鹿風堂のメンバーが協力するお話。ところが、彼女は最近、元気がなく、しかも腕に意味深な怪我もしていて・・という筋立て。

まあ、この癒やし系マンガでは、殺伐とした結末にはならないので、安心しておいてください。ついでに彼女の「食べっぷり」に感心することも忘れないように。

第22話では、「ぐれ」の故郷っぽいところがでてきます。彼は風貌も「外国人」っぽいのですが、イタリアで生活していたようですね。バリスタの腕もそこで磨いたっぽい。

第23話は、これから「鹿楓堂」の名物ランチとなる「ナポリタン」誕生と、その爆発的人気のお話。スイのお祖父さんが店で出していたものを、「スイ」が味見しながら「ときたか」が試作して再現したものらしいのですが、

といった感じの「ウィンナー」と「ピーマン」の入った「ケチャップ」味の、昔懐かしい「喫茶店」のナポリタンですね。画像の二人は「お母さんのナポリタン」と表現していますが、まさに至言です。

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第6巻の読みどころは、鹿楓堂にライバル店登場

第6巻の構成は

第26話 きなこ記念日
第27話 不思議なお客さん
第28話 しあわせのパンケーキ
第29話 迷える騎士に休息を
第30話 貴方への言の葉
番外編 極上喫茶ROKUHODO

となっていて、第26話で、スイの愛猫である「きなこ」が彼のもとへやってきた経緯が紹介されています。これは、第27話以降の鹿楓堂の「ライバル店」の出現に関連付ける導入話ですね。

実は、第27話で明らかになるように、「ナポリタン」をはじめ特徴あるランチメニューで満員御礼であった、鹿楓堂のランチ客が減少して、どうやら、近くにイタリア・レストランがオープンしたせいでは、という疑惑がひろがるわけですね。で、このレストランに「スイ」たち鹿楓堂のメンバーが揃って偵察に出かけることで、この店の店主や従業員、家族との交流が始まるっていう段取りです。
その前に「スイ」の愛猫「きなこ」をかわいがってくれる女の子とか、

ランチのナポリタンを食べて

と絶叫する客とか関係者が事前に登場してくるのですが、これは「前フリ」として考えておきましょう。

このほか、第29話では、第7話で登場した元気娘「鈴ちゃん」のその後と、彼女の悩める「弟くん」のエピソードも出てきますので、たこ焼きパーティーの話題と一緒にどうぞ。

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第7巻の読みどころは、サンドイッチメニューの登場と、割れた八京の茶碗の逸話

第7巻の構成は

第31話 ふわふわのひと時
第32話 未完成のキャンパス
第33話 ぽかぽかティータイム
第34話 鹿楓堂餅祭り
第35話 思い出のかけら

となっていて、最初の第31話では、ナポリタンと並んで定番の「サンドイッチ」をランチメニューにすべく、「ぐれ」が動き始めます。

興味がわいたものには何でも首をつっこく性質の彼は、イタリアや日本で「パン屋」の修行もしていたようですね。で、彼が腕をふるったパンを使ったサンドイッチが

という感じです。これにスケジュールを厳守しようという上司と、人手が足りなくてキレテくる部下の間でストレスいっぱいになっている中間管理職の女性が癒やされることになります。

第32話から第34話まではちょっと小粒なエピソードが続きます。ひさびさに小鶴ちゃんと彼女の親友で「引っ越し騒ぎと抹茶アイス」の騒動をおこした「矢ノ倉銀」ちゃんが登場して「ほうじ茶ラテ」を味わったり、

店のまかないメニュー的な存在の「とり天丼」が登場するので、過去のエピソードと一緒に楽しんでくださいね。

第35話では、第3巻ででてきた、八京の「割れた茶碗」の経緯が明らかになります。いままでのエピソードでは、八京は勉強のできるエリートっぽい男の子で、父親の意向を受けて、自ら経営者の道を選んだように思えたのですが、今巻で、祖父の喫茶店の厨房での京水との

というシーンをみると、冷静なだけの人物ではなくて、京水との微妙なすれ違いの連続が、二人の間を隔てていったような感じを受けます。なので、京水のほうにも無邪気な「残酷さ」があったのは否定できないのかな、と。まあ、ここらはこれから巻きを追うに従って明らかになるんでしょうね。そして、この話では、シティボーイばりばりの「角崎」くんの実家が、地方の海沿いの町の定食屋であることがわかります。鯖の味噌煮定食が大人気の店であるらしく、この店を継がずに「パティシエ」となった彼の過去もまた興味がわくところですね。もっとも、実家の母親や妹とも仲が良く、頻繁に里帰りしているようなので、変な因縁話はないのかもしれません。

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レビュアーから一言

おおがかりな謎解きや、人目をひく事件っぽいのはおきなくて、カフェに集まってくる人たちの日常が描かれているのが本シリーズなのですが、こういう、まったりとした展開のマンガは、常習性があるのは間違いないですね。波乱万丈のマンガや小説を読んだ後の「心」を静める精神安定剤としてオススメしておきます。

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