コミュニケーション下手は欠点じゃないー石倉英明「コミュ力なんていらない」

街中の書店のビジネスコーナーに立ってみればわかるように、「コミュニケーション」をテーマにしたビジネス本がコーナーの主力の一つのなっていて、ビジネスで成功したり、営業で成功するには「コミュニケーション」力が一番大事で、その力が弱い人は生き残っていけない、とでも言わんばかりの風潮があります。
そんな中、「コミュ障」であることを広言し、「コミュ力が」ないからといって、決して仕事ができないわけではない」と教えてくれるのが、バックオフィス業務をオンライン上で請け負ったり、クラウドソーシング事業を運営している「キャスター」のCOOである筆者の『石倉英明「コミュ力なんていらない」(マガジンハウス)』です。

構成と注目ポイント

構成は

Part1 「コミュ力」がなくても仕事はうまくいく
Part2 「コミュ力」を因数分解してみると
Part3 「コミュ障」の僕が実践している、仕事の作法
Part4 「コミュ障」でも、人間関係がラクになる考え方
Part5 リモートワーク時代のコミュニケーション
Part6 シチュエーション別・「コミュ力」いらずの仕事術

となっていて、まず注目すべきは

僕がCOOを務めるキャスターでは、700人以上のメンバーが日常的に顔を合わせることなくリモートで働いているので、コミュニケーションはオンラインのチャットツールが基本になります。
そうした非対面のコミュニケーションをするうえでやってはいけないことのひとつが「空気を読む」なんです。
そもそも非対面の場合、対面に比べて得られる情報が圧倒的に足りません。どんな表情や声のトーンで発しているのかわからないからです。そのなかで「空気を読んでほしい」「察してほしい」といったコミュニケーションを続けると、お互いの認識に差異が生まれて仕事の進行に支障をきたす可能性があります。

と、本書の主張が、新型コロナウィルスの影響下での、テレワークの拡大という現代的事情にマッチした考えであることですね。テレワークがうまくいかない理由に、勤怠管理が難しいということとあわせて、緊密なコミュニケーションがとれない、といったことが上げられることがあるのですが、これはそもそも「リアル」が主で、「リモート」は従という固定観念にしばられているせいなのかもしれません。

その意味で、単なる「コミュ力」という漠然とした言葉に頼るではなく、

大事なのは「コミュカ」が高いか低いかではなく、自分が得意なパターンでコミュニケーションを取るようにすること。そして、できるだけ苦手なパターンを避ける、もしくはなんとかごまかせる技術を身につけることです。

として自分のコミュニケーションの「型」をつかんで、そのタイプにあった「コミュニケーション」の方法を知ることであるとし、仕事において大事なコミュニケーション力は「相手の言っていることを正しく理解できる」「こちらの伝えたいことをちゃんと伝えられる」という二つだけでいい、という筆者の主張には一種のすがすがしさがあります。
そして、そのための手法として紹介されている

すごく簡単な言葉と身近な例があれば共通認識が生まれるので、伝えたいことと近しい構造のものを見つけて、わかりやすく例えて話す

であったり、

(本音を見抜く方法として有効なのは)そこで取り組んだのが、相手の言葉をひたすらメモすることでした。相手の感情も、言葉の背景も、相性の良し悪しも気にしない。とにかく相手の話した”内容”だけをメモする。
(中略)
相手の発言をメモしていると、ときに言葉の矛盾に気づくことがあるんですね。
さっきと言っていることが変わっているぞ、と。
それと同時に、どの段階で矛盾が生じたのかもメモをたどればすぐにわかるので、こっちの話を聞いたほうがいいかもしれないとロジカルに考えることができました。

といったあたりはコミュ障の人向けの具体的なメソッドとして仕えそうなアイデアです。メ「メモをとる」ということは、コミュニケーションが苦手な人が緊張することなく、話を聞いているなと相手に思ってもらえるコツとしても有効なようなので、ここはしっかり覚えておきましょう。

さらに

チャット上の会話のキャッチボールは、簡潔で短い言葉を重ねていくことで成立すると思っています。この「回数が大事」というのは、「1回で理解できると思わない」というスタンスの表れでもあります。だから、1回の文章で理解できなくてもいいと思うのです。
1回の連絡ですべてを理解してもらえると思わないことです。

であったり、

オフィスで働いていたときに見えていたのはメンバーの「姿」であって、「仕事」ではありません。
むしろ物理的な「姿」が見えていたことで「仕事」が見えていると安心してしまっていることもあるかもしれません。
リモートワークになり物理的な「姿」が見えないことに不安にならず、メンバーの「アウトブット」や「仕事」を見てください。
そしてメンバーが成果を出すためのサポートを行う、環境を整えることをやってください。

といったところは、コミュニケーションをとるのが苦手でなく、オフィスでの対面での仕事環境の中ではノビノビ働いていた人ほどこれから気を付けておかないといけないことのように思えます。リモートでのコミュニケーション環境が拡大していく中では、リアルとリモートのどとらもが「主」であると思っておいたほうがいいのですが、ついつい「リアル」での常識が全てに通用すると思ってしまいがちですから。

このほか、第6章では、会議の時、電話、面接、会食といった、コミュニケーションをとるのが苦手な人が一番苦労する場面ごとのノウハウが書かれていますので、詳しくは原書のほうでどうぞ。

レビュアーの一言【コミュ障でも大丈夫】

コミュニケーションをとるのが苦手でも、対策さえ身に付ければ実績をきちんと残して積み上げていけることを実践的にアドバイスしてくれる本書は、無理にコミュニケーション下手を克服しようとしないところが「売りポイント」。
さらに働き方が大きく変わっていく現代において、本書のアドバイスを認識しておくことは、コミュニケーション力に自信のある人にもけして損にはならないと思います。

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