都心の会社の営業セクションに勤務する、就職して2年目で、クールで、仕事はできるが、付き合いと愛想は悪いように見せかけて、実は寂しがり屋という「ツンデレ美人系」の独身女性・上条星羅の「単独釣行」の日々と、職場の後輩の万年釣り初心者・吉井龍平、キャピキャピ系ながら釣りの腕は確かな釣具屋のアルバイター・習志野玲美たちとのかけあいを描いた釣りマンガ「おひ釣りさま」シリーズの第2巻から第6巻です。
構成と注目ポイント
第2巻 としまえんのフィッシングエリアが懐かしい
第2巻の構成は
第16話 エギング①(アオリイカ)
第17話 エギング②(アオリイカ)
第18話 公園(タナゴ)
第19話 乗合船(夜メバル)
第20話 ヘチ釣り(黒鯛)
第21話 ルアーのタイプ
第22話 ラン アンド ガン(メッキ)
第23話 バスボート(湖バス)
第24話 一本釣り(サヨリ)
第25話 としまえん フィッシングエリア①(放流魚)
第26話 としまえん フィッシングエリア②(練馬サーモン)
第27話 ドーム船①(ワカサギ)
第28話 ドーム船②(ワカサギ)
第29話 卒業式の思い出(野ゴイ)
となっていて、第16話・第17話のところで、今巻以降、星羅の会社の後輩である吉井龍平の恋と釣りのライバルとなる押切物産の柏崎さんが登場。

本筋は「餌木」で狙うアオリイカのシーンです。餌釣りではないので、餌木の動きで以下を誘い釣り上げる様子は釣りの醍醐味が追体験できます。

さらに夜の乗合船でメバルの一荷釣りを繰り返す星羅の姿には憧れを感じますね。

もうひとつ注目しておくべきは、「としまえん」のフィッシングエリア。「としまえん」のプールの冬季シーズンの利用法として「釣り堀」が開設されていたもので、都内の釣り人たち、特に子どもたちと行ける「釣り場」として人気を博していたのですが、施設の老朽化とテーマパークへの切り替えのため、としまえんが閉園したこととの道連れとなってしまいました。

ここは「ニジマスの三倍体」という普通のニジマスを大きく養殖した「練馬サーモン」が有名だったのですが、いまやこうしたコミックの世界で釣りの喜びを味わうしかないようです。
第3巻 釣りはフナに始まり、フナに終わる
第3巻の構成は
第30話 海上釣り堀①(真鯛)
第31話 海上釣り堀②(ブリ)
第32話 ブラクリ(アイナメ)
第33話 毒(アイゴ)
第34話 ルアー釣り①(ヒラメ)
第35話 ルアー釣り②(ヒラメ)
第36話 ヘラノート①(ヘラブナ)
第37話 ヘラノート②(ヘラブナ)
第38話 ブッコミ釣り(アナゴ)
第39話 トップウォーター(ブラックバス)
第40話 荒磯(ハタ)
第41話 荒磯(ハタ)
第42話 手釣り(マダコ)
第43話 幻の魚(サクラマス)
となっていて、この巻ではまず、海上釣堀のノウハウをつかみましょう。

今回、星羅は、大物「ブリ」を釣り上げるのですが、そこに至るまでの過程もまた楽しめます。

そして次にチェックしておくべきは「ヘラブナ」。「釣りはフナに始まり、フナに終わる」といった言葉がありますが、ヘラブナは大正時代にゲンゴロウブナを改良してつくられたものなので、フナの仲間としては新しい部類に入るようです。改良されたのは食用にするためだったようですが、日本各地に放流されたせいか、日本版ゲームフィッシングの代表格のようになってますね。今回、星羅は「釣り堀」でにへらぶな釣りを楽しんでいるのですが、のどかな風情にみえて、内心は「チリチリ」とアタリを待っている感じがよくわかります。

さらに、第42話では、手のひらで直にアタリが楽しめるタコの「手釣り」に星羅が挑戦します。

といった星羅の勇姿をご覧ください。
第4巻 星羅の磯釣りの勇姿を見よ
第4巻の構成は
第44話 ボート①(カワハギ)
第45話 ボート②(カワハギ)
第46話 カゴ釣り①(ソウダガツオ)
第47話 カゴ釣り②(大物)
第48話 接待釣行(五目釣り)
第49話 真冬の釣り(冬バス)
第50話 投げ釣り(カレイ)
第51話 仕事の合間の気分転換
第52話 ウキフカセ釣り(メジナ)
第53話 LBリール(クロメジナ)
第54話 東京湾①(ボートシーバス)
第55話 東京湾②(ボートシーバス)
第56話 春の土手(鯉)
第57話 わたしのなつやすみ①(カマツカ)
第58話 わたしのなつやすみ②(ヌシ)
となっていて、この巻ではまず、プロっぽくみえるが実は素人同然の釣り師「渋谷くん」がカワハギに、女の子連れで挑戦します。

もちろん、釣果はなく、今回も星羅にアドバイスを求めることになるのですが、彼女の

というのは、ビジネスのアドバイスを聞いているようで、なんか”深い”(ような)感じがします。
さらに、第52話と第53話では、星羅の勇姿が拝めます。怪我をした祖父の見舞いにいっての磯釣りの回想シーンで、

といったメジナ釣りの様子が描かれてます。星羅の釣行は、砂浜や防波堤、船やボートといった釣りが多いので「磯の勇姿」はひさびさですね。これとは対象的な、第56話の春の土手からの鯉釣りは、うって変わった「のどかさ」を感じさせつつも、突然炸裂する「鯉釣り」が描かれてます。
第5巻 ハゼ釣りの釣法の新旧対決
第5巻の構成は
第59話 タイラバ①(真鯛)
第60話 タイラバ②(真鯛)
第61話 ミャク釣り(ハゼ)
第62話 ハゼクラ(ハゼ)
第63話 ヘビーカバー(雷魚)
第64話 沖堤防①(タチウオ)
第65話 沖堤防②(タチウオ)
第66話 フローター(ブラックバス)
第67話 フライフィッシング①
第68話 フライフィッシング②
第69話 フライフィッシング③
第71話 潮について
第72話 バス釣り対決①
第73話 バス釣り対決②
となっていて、第61話と第62話では、吉井くんが、ファミリーフィッシングの定番ともいえる「ハゼ釣り」に挑戦します。

ハゼ釣りは昔から親しまれてきた釣りですが、江戸時代からのウキを使わない伝統釣法の「ミャク釣り」と

バス釣りとかの定番ルアーであるクランクベイトの小型版を使っての「ハゼクラ」が紹介されてます。同じ魚を狙っていても昔と今の釣法の違いが楽しめます。

一方、星羅のほうは、第64話と第66話で沖堤防での「タチウオ釣り」に挑戦。最初は電気ウキを使ったオーソドクスな釣りでタチウオを釣り上げる星羅なのですが、今回の注目は「たるませた糸(ライン)を、連続して跳ね上げてワームを右、左と舞い踊らせる」派手な釣法である「ワインド釣法」ですね。

さらに、第67話から68話では、「大人の釣り」「紳士の釣り」ともいわれるフラフィッシングです。中学校の入学祝いにフライのロッドとリールのセットを買ってもらった星羅ですので、フライ釣りも年季が入っているようです。このシリーズは釣りの初歩的なところから描かれていて、フライフィッシングをやったことのない人でも星羅の「釣り」を追体験できるのが嬉しいところですね。

第6巻 異色の「金魚釣り」に星羅が挑戦
第6巻の構成は
第74話 漁港①(メバル)
第75話 漁港②(メバル)
第76話 サビキ釣り①(イワシ)
第77話 サビキ釣り②(コショウダイ)
第78話 金魚坂①(金魚)
第79話 金魚坂②(金魚)
第80話 かぶせ釣り①(コブダイ)
第81話 かぶせ釣り②(コブダイ)
第82話 ドリフト(リバーシーバス)
第83話 釣りの魅力
第84話 梅雨①(テナガエビ)
第85話 梅雨②(テナガエビ)
第86話 ショアジギング①
第87話 ショアジギング②
第88話 ルアー作り
となっていて、第78話・第79話の異色系の「金魚釣り」が注目です。

舞台となっているのは、都内にある「金魚坂」という金魚の卸し+カフェ+金魚や鯉の釣り体験スポットがあるというお店で、これは文京区本郷に実在しているお店です。
ここで、小さな竿を使って、金魚釣りにテンションをあげている星羅の姿は、いつもの防波堤や浜での凛々しさとは違う可愛らしさをみせてます。

金魚釣りの星羅の姿にほっこりしたら、防波堤で巨大コブダイ相手にいつものように奮戦する姿を応援しましょう。餌には、生食もできる牡蠣を使うという贅沢な釣りですが、釣り上げた後の彼女の満足そうな”たまらん”の歓声はそれだけの価値があるようです。

レビュアーから一言
感染症の感染拡大で旅行や遠出が規制されているこの頃なのですが、単独釣行は、ソロキャンプと一緒で、誰と話すでもなく、さらに自然の中にいれば免疫力も高まるというもので、この新型コロナ禍の中では、最も模範的なレジャーなのかもしれません。
とはいっても、おおっぴらに外出することが難しいこともあります。せめて、こういうアウトドア・マンガで、疑似自然を満喫してみるのもよいのでは。
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