「afterコロナ」で「昭和」の生き残りはどうなるー河合薫「コロナショックと昭和おじさん社会」

「他人をバカにしたがる男たち」や「定年後からの職場入門」「残念な職場」など現代の職場が抱える「働き方」についての著作の多い筆者が、新型コロナ感染症の拡大の中で起きてきた問題について、その根本原因となる「昭和モデル」の存在を明らかにしたのが、本書『河合薫「コロナショックと昭和おじさん社会」(日経プレミアシリーズ)』です。

本書の構成は

プロローグ コロナ禍がさらした「昭和のツケ」
第1章 終わらない昭和おじさん社会
     ー日本社会の「イメージ」と「現実」
第2章 ここまで深刻化していた「分断の壁」
     ー社会のひずみはこうして広がった
第3章 若者も中高年も女性も働きづらい理由
     ー日本の会社のしくみは既に無理がきていた?
第4章 広がりすぎた格差のゆくえは
     ー昭和モデルからこぼれ落ちるということ
第5章 これから始まる社会のニューノーマル
     ー昭和おじさん社会からの脱却

となっていて、本書は日経ビジネス連載の「河合薫の新・社会の輪 上司と部下の力学」に加筆修正したもので、2020年出版のもの。なので、新型コロナ感染が拡大した第一波、第二波の時に生じた問題、例えば

コロナ禍で加速したテレワーク導入により「会社に来る」ことで評価されていた時代は確実に終わるだろう。フェイスtoフエイスで物を売るスタイルは過去の遺物となり、人の機微をつかむコミュニケーションよりSNSを使った無駄のない発信のうまさが求められるようになる。完全な成果主義に移行し、オフィスは縮少され、上司と部下の関係も大きく変わる。奇しくもコロナ禍が、「社員消滅」を後押しすることになってしまうのだ。

で見られるような「オフィス消滅」の現象など揺れ戻しが生じていて、まだその方向が定まらないものもあるのですが、問題なのは

日本がGDPで米国、中国に続く世界3位の経済大国なのにもかかわらず。シングルマザー世帯の貧困率が先進国で突出すていることも、「パートの賃金は安くて当たり前」という旧態依然とした価値観が根っこにある

といったような貧困問題などのようにビフォー・コロナの終わりごろ、議論が始まりつつあったものが、「コロナ」という世間全体が被った大きな波に呑み込まれてしまって、いつの間にか、コロナからの脱却mあるいは日常性への復帰ということに覆い隠されて、問題そのものが皆の意識の外へいってしまったことでしょう。

本書のはじめのところで筆者は

今「アフターコロナ」という言葉が象徴するように、新しい社会はどうなるのか?どういうく生き方をすればいいのか?を多くの人が模索しています。
(中略)
でも、ここでちょっと立ち止まってほしいのです。みんなが同じ方向に向かっているときは、こぼれ落ちるものを見逃してしまいがちです。

とあるのですが、むしろ今おきているのは「先祖返り」。
つまりは「コロナ禍」でなくなりかけた以前からのものが、「afterコロナ」の名のもとに無鑑査で再び息を吹き返しているように思えます。
「afterコロナ」の社会で大事なのは、いろんな課題やいろんな不満に対して、正面から、スタンスやその理由を説明できるどうか、するかどうかのような気がしています。とりわけ政府や行政体にはそこのところをお願いしたいですね。

コロナショックと昭和おじさん社会 (日経プレミアシリーズ)
【内容紹介】 あっけなく失業する人々、途方にくれる自営業者、困窮するひとり親家庭、家をなくしさまよう人、孤立する高齢者…… コロナ禍で起こった問題は、日本社会のなかでたまっていたひずみが噴出したにすぎない。 雇用や家族、人口構成のカタチが変わったにもかかわらず、昭和モデルをもとに動き続ける日本社会の問題点、そしてコロ...

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