ドS姫・黒井マヤは「冤罪」絡みの事件の謎を暴くー七尾与史「ドS刑事 さわらぬ神に祟りなし殺人事件」

漆のように黒くつややかな髪を方の下あたりまで伸ばし、日本人形のような風貌と白磁のような肌をもった極めつけの美人な上に、スプラッタ映画と殺人事件が趣味で、警察庁次長という警察官僚のトップクラスの父親の権力を平気で濫用する、ドSのお姫様刑事「黒井マヤ」巡査部長を主人公に、彼女のお守役として抜擢された「代官様」こと「代官山脩介」巡査、彼女の暴力で生命の危機にさらされながらも「マヤ」命を貫く浜田学警部補とともに、連続して起きる怪奇な殺人事件の謎を解く「ドS刑事(デカ)」シリーズの第5弾が本書『七尾与史「ドS刑事 さわらぬ神に祟りなし殺人事件」(幻冬舎文庫)』です。

いままで、捜査陣のはるか先を行く推理では真犯人を推理しながら、殺人事件が途絶えないように絶妙なサボタージュを繰り返してきた黒井マヤだったのですが、今回は彼女の唯一の天敵となる女子高の先輩・白金不二子が捜査本部の指揮をとりことになり、マヤと火花を散らしながらの事件捜査が始まります。

あらすじと注目ポイント

物語は、父親が殺害された一家が、犯行のあった日に当時事件を担当した刑事たちを家へ向かい入れ、故人を偲んでいるいるシーンから始まります。事件は宝くじの高額賞金に当選したという噂をききつけた犯人が、その一家の家に忍び込み、ちょうど家に居合わせた父親の首を絞めたうえに刺殺したというものなのですが、この事件の犯人の息子・蓬田聡と、被害者の息子・宇根元隆典が偶然、同じ職場となることで、10年前に起きた殺人事件がほじくり返され始めます・
というのも、加害者の息子が犯人とされた父親が「尖端恐怖症」であったため、鋭い刃物は使えるはずかないという新しく判明した事実をテコに、当時の事件を洗い直し始めるのですが。これがこの巻の物語の一つの流れとなります。

もう一つの流れとなる黒井マヤたちの担当する事件のほうはまず、空きビルとなっていて雑居ビルの2階で頭を殴打され、意識を失ったところを絞殺された「絹川」という男性の死体が発見されます。彼は飲料メーカーの社員で、最近、なにかの怨霊に憑りつかれていると怯えていたそうなのですが、その「怨霊」の正体らしきものが、彼が馴染みにしていた三軒茶屋にある小さなバーの壁に貼ってあった一枚の「写真」にあることを、マヤたちがつきとめていきます。
その写真に何が写っていたのか、がわかれば捜査も大きく進展するのだが・・、といった筋立てですね。

さらに「絹川」が元小説家志望で、ある出版社に自分の作品をだしてもらう約束をしていたのですが、その出版社が倒産したために不可能となったため、その出版社の元社長をひどく恨んでいた、ということが判明します。元社長にしてみれば逆恨みというところでしょうが、元社長がホームレス生活になってからも段ボールハウスに何度も放火されたり、といった被害を受けていて、この元社長が「絹川」を返り討ちしたのか、と捜査が進む中、彼もある空きビルの中で首吊り死体で発見されます。

そして、10年前の事件の犯人の息子・宇根元隆典が、自室のアパートで喉を切り裂かれて殺されたいたのを捜査した「マヤ」は、この三人と10年前の事件とのある関わりに気付くことになるのですが、それは、10年前に決着したはずの犯行理由と犯人が真実だったのか、大きな疑念を持たせるものです。
10年前の事件の真相と、今回の事件の真犯人をあぶりだすため、マヤたちは、10年前の被害者一家である蓬田家の家族三人が暮らす家に乗り込み・・・といった展開です。

レビュアーの一言ー黒井マヤは「冤罪」事件に惑わない

今回、黒井マヤの前に立ちはだかる女性管理官・白金不二子は、マヤの出た女子高の大先輩であるばかりでなく、この頃、警察全体の信用を失墜させている冤罪事件の捜査にあたった警察官の娘、という設定です。さらに、今巻の連続殺人の捜査本部に、黒井マヤの父親のライバルの警察官僚も登場しする上に、彼の弟が10年前の蓬田事件の捜査官であった、といった風に、警察内部の功名争いと権力闘争が繰り広げられます。
そんな下世話なことには無関心に、冷静に事件の謎解きと真犯人探し、あわせて殺人事件鑑賞を進めていく「黒井マヤ」のクールでドSな魅力が満載の仕上がりになってます。

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