貧乏ライターと天才投資家の「人類」を救う大活躍を読もうー七尾与史「死亡フラグが立ちました」シリーズ

弱小出版社「文藝社」のこれまたマニアックな都市伝説を専門に扱うオカルト雑誌「アーバン・レジェンド」の契約ライター・陣内トオルを語り手にして、謎に秀才で、天才的投資言あでケンカも強いという、彼の高校時代の先輩・本宮昭夫を「アクター」として繰り広げられる、事件はかなりトンデモ設定のミステリ―・シリーズが「死亡フラグが立ちました」シリーズです。

「死亡フラグが立ちました」(宝島社文庫)

第一作目の「死亡フラグがたちました」は第8回の「このミステリ―がすごい!」大賞の最終候補作で、「どS刑事シリーズ」をはじめとしたブラック・ユーモア・ミステリ―の手練れとして知られる作者のデビュー作でもあります。

物語のほうは、語り手であるフリーライターの「陣内トオル」が、その収入のほとんどを頼っている都市伝説専門のオカルト雑誌「アーバン・レジェンド」の美人編集長・岩波美里から、雑誌の執筆陣の総入れ替えで職を失いたくなかったら、雑誌の売り上げを倍増するネタをもってこい、と厳命されるところから始まります。
この雑誌の廃刊や執筆陣入れ替えによる失職を免れるために、とびっきりのネタと記事をもってこい、というのはこのシリーズの定番的な始まりなので、しっかりと記憶しておきましょう。

そして、このとびっきりのネタとされるのが、ある日突然、ジョーカーのカードが送られてきたら24時間以内に必ず死ぬ、という「死神」で伝説です。ただ、その死に方が全て「事故死」っぽいため、いまいち噂が信じられていなところがあるのですが、今回編集長は、これを取材して、死神の正体を掴んでこい、と彼に命令を下した、という設定です。
このため、陣内は、死神の仕業と言われるヤクザの親分の死亡事故を調べ直すことになるのですが、その助っ人で登場するのが、陣内の高校時代の先輩で、東大出の天才かつ世界有数の個人投資家である「本宮昭夫」で・・といった流れですね。

さらに、このヤクザの親分の死亡事故というのが、エロDVDを視聴中に転倒して置いてあった鉄アレイに頭をぶつけて死んだというものなのですが、この事故現場を調べていた「本宮」先輩は親分が転んだ理由とその凶器に気がついて・・という展開で、常人では思いもかけないトリックを暴いていくとともの、殺し屋「死神」の意外な正体にも迫っていきます。

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「死亡フラグが立ちました カレーde人類滅亡!?殺人事件」(宝島社文庫)

第二作目の「死亡フラグが立ちました カレーde人類滅亡!?殺人事件」では、前巻で起死回生を図った「死神特集」が政府・官僚・財界からの圧力でボツになったため、再び「アーバン・レジェンド」の売り上げを上げる特ダネ記事の要請が編集長・岩波美里から陣内トオルへくだされます。

今回のネタは人類が熱望するという「マヤの予言」の阻止。動画サイトの閲覧者が何人か連続して、心臓麻痺で死んでいることをネタに、これを「マヤの予言」としてつくりあげろ、というものです。

いかにも無理難題に間違いないのですが、実はこの連続不審死には、世界征服をたくらむ「魔女一族」の呪いが関わっています。そして、この魔女一族は、この年に生まれてくると予言されている、魔女一族の野望を砕くという「赤ん坊」を殺して、世界征服のための人類の皆殺しに動き始めます。

警察庁のエリート官僚である東大の同級生から拉致同然に事件解決に巻き込まれた「本宮」先輩は、魔女一族の呪殺攻撃をかいくぐって、人類滅亡の難局を乗り越えられるか・・といった展開です。

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「死亡フラグが立ちました! 超絶リアルゲーム実況殺人事件」(宝島社文庫)

前二作は、オカルト雑誌「アーバン・レジェンド」の存続危機を救うために編集長・岩波美里から契約ライターの陣内トオルにくだされる無理難題な取材指示を発端に、天才投資家にして人類の救世主でもある「本宮昭夫」先輩が無理やり事件解決に巻き込まれていくという筋だてだったのですが、今回は彼も相当有名になってきたせいか、香港の有名ゲーマー少女、アメリカの元軍人の老ハンター、オリンピック金メダル候補の陸上選手とともに、どこかの離れ児島に拉致され、そこで、35人を惨殺し死刑判決を受けているシリアル・キラーと対決しながら脱出を試みる、といった設定です。

もちろんこれだけの仕掛けをするのですから、ちっぽけな組織の仕業であるはずがなく、そこは「アーバン・レジェンド」が今回、起死回生のネタとして取材している、世界人類を自らの下に支配しようとたくらんでいる「フェアチャイルド一族」がその黒幕ではないかと疑われるのでしたー、といった展開です。

今回は、さすがの「本宮」先輩も黒幕をぶっ潰す、までのことできないのですが、あいかわらずの「超人的」な能力を使っての脱出劇が楽しめます。

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「死亡フラグが立つ前に」(宝島社文庫)

前三作で、「本宮」先輩の超人的な活躍を楽しんだあとにおススメしたいのが、その周辺話が集められた短編集「死亡フラグが立つ前に」(宝島社文庫)です。

収録は
「死亡フラグが立ちましたのずっと前」
「死亡フラグが立つ前に」
「キルキルカンパニー」
「ドS編集長のただならぬ婚活」
となっていて、まず第一話目の「死亡フラグが立ちましたのずっと前」では、本宮先輩と陣内くんがまだ高校生のときの話なのですが、前三作を通じて、本宮先輩が人類を救った一番目の事件とされている「ノストラダムス大予言」事件について描かれます。あいかわらずの「人類滅亡」推進派と本宮先輩との対決が見ものです。

二つ目の「死亡フラグが立つ前に」は、陣内くんが取材でおっていた「狩猟者」に狙われる男性の話です。8月の都内で、娘の「カスミ」と信号待ちをしていた「冬馬」は突然、周囲の人を襲い始めた「通り魔」から、赤いコートを着た女性によって命を救われます。
この時は命の恩人だと思っていたのですが、実はこの女は、冬馬を狙う「狩猟者」と呼ばれる人間ハンターで、その後、彼の命を狙って出没するのですが、その姿は彼にしか見えなくて・・、という展開です。理由がわからないまま狙われる恐怖が伝わってくる一篇です。

三つめは、一作目ででてきた「死神」の出身と同じ「殺し屋」会社に就職することになった若者が、研修の仕上げとして、「死神」と殺人の出来を競うという話です。ひさびさに「死神」の隠し技の「バナナの皮」が出てきます

最終話の「ドS編集長のただならぬ婚活」は、いつもオカルト雑誌「アーバン・レジェンド」の編集長・岩波美里に虐げられている陣内トオルの苦境を救おうと、本宮先輩が岩波編集長の弱みを見つけ出そうと探偵に依頼したため、その探偵社の見習い探偵が、美里の行動監視を始めることになるのですが・・という展開です。今回は「殺戮ガール」とのニアミスが起きますね。

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レビュアーから一言

長編三作+短編集1冊が刊行されている「死亡フラグ」シリーズですが、そのネーミングの奇抜さのせいか、題名と内容とをリンクさせるのが難しいのですが、一旦、本宮先輩の天才的な活躍にハマるとクセになる面白さがあります。
さらには、読後に何の「教訓」や「後味」も残すことなく、「スッキリ感」だけが残るという不思議な読み心地を楽しめること間違いなしのシリーズです。

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