アイヌの少女・アシリパはニシン小屋に潜む殺人鬼と対決ー「ゴールデンカムイ」5

アイヌの娘「アシリパ」と日露戦争の生き残りで「不死身の杉元」と呼ばれた杉元佐一たちが、明治期の北海道を舞台に、かつてアイヌ民族が明治政府打倒のために集めていた大量の金塊を巡って、幕末の新選組の生き残りの土方歳三や日露戦争で頭蓋骨の上半分を失った第七師団所属の情報将校・鶴見中尉を相手に、金塊の在り処を記した「刺青人皮」の争奪戦を繰り広げる、明治の北海道版ゴールドラッシュストーリー『野田さとる「ゴールデンカムイ」(ヤングジャンプコミックス)』の第5弾。

構成と注目ポイント

構成は

第39話 ニシン漁と殺人鬼
第40話 ニシン御殿
第41話 煌めく
第42話 レプンカムイ
第43話 シンナキサラ
第44話 狙撃
第45話 マタギの谷垣
第46話 刑罰
第47話 イトウの花
第48話 キロランケ

となっていて、前巻で積丹の海岸で連続殺人が発生し、その犯人として辺見という連続殺人犯が浮かびあがるのですが(辺見も逃亡した囚人の一人で刺青の持ち主です。)、積丹の海岸ではアシリパの叔父たちが鯨漁に行っているため、アシリパが、叔父たちが殺人犯に狙われないか心配し。積丹の海岸へ向かうこととなります。

積丹では、ニシン漁や鯨漁の手伝いをしながら猟師小屋に泊まっているのですが、ここで連続殺人犯の辺見に、殺人犯とは気付かず遭遇します。
まあ、顔つきは気の弱そうな感じなので気づかないのも無理はないのですが、辺見はサイコパス的な殺人鬼であるともに、自らも惨殺されたい欲望をもっている自殺願望者でもあります。
そして、トイレに行ったアシリパが辺見が殺した猟師の頭を発見するとともに、積丹のニシン漁の網元に兵器工場への出資を頼みにやってきていた第七師団の兵士の姿を見て兵器辺見の「殺人衝動」が鯨漁の最中に暴発。彼は巨大な包丁を使って杉元を襲うのですが、アシリパたちによって逆襲されるのですが、ここに鯱の乱入もあって・・と入り乱れてのバトルが展開されることになります・

一方、アシリパたちを熊撃ちの二瓶とともに襲撃して逆に負傷したマタギあがりの谷垣はアシリパの村で治療を続けています。ここに第七師団を逃亡した尾形と二階堂浩平が村内に入り込んできます。彼らは鶴見中尉を裏切ろうとした自分たちの企みが密告されるのを怖れ、谷垣の命を狙って、この村にやってきた、というわけですね。

ここで、谷垣vs尾形+二階堂のスナイパー勝負が始まるのですが、谷垣は羆をおびき寄せて尾形+二階堂と噛み合わせたり、とかなり知能犯的な技を繰り出していきます。

ここで実は、尾形と二階堂は鶴見中尉に対する反逆者をあぶりだすためにわざと脱走を仕向け、泳がされていたことが判明します。二階堂を尋問して、隊内の裏切り者を告白させるのですが、これが真実かどうかはちょっと疑問が残るところですね。

後半部分で、積丹からの帰路、父の古くからの友人・キロランケに出会い、彼らから土方歳三がアシリパの和名を知っていたことと、彼女の父親が、アイヌたちから金塊を強奪した「のっぺらぼう」であることを告げられ、これが次巻以降の展開のキモとなっていきます。

Bitly

レビュアーの一言

今巻の後半ではオヒョウの木から皮を剥いで水の晒してつくる「アツトウシ」という反物とか、イトウやサケ・マスといった魚の皮でつくった服「チエブウル」

など自然の産物を使った衣料が紹介されています。樹皮や魚皮で布をつくるといった発想は現代日本人のはとても思いつかないことで、アイヌの人々が「自然」とともに生きてきたことを教えてくれるシーンです。

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