変人化学者の推理はますます絶好調ー喜多喜久「化学探偵 Mrキュリー」3

実験しか興味のない変わり者の天才科学者「沖野春彦」と四宮大学の庶務課の新米事務職員「七瀬麻衣」をメインキャストに、文系から理系まで幅広く学部を揃えた中堅私立大学・四宮大学の庶務課に持ち込まれる不思議な事件の謎を解いていく化学系コージーミステリー『喜多喜久「化学探偵 Mrキュリー」(中公文庫)』シリーズの第3弾。

あらすじと注目ポイント

収録は

第一話 化学探偵と呪いの藁人形
第二話 化学探偵と真夜中の住人
第三話 化学探偵と化学少年の奮闘
第四話 化学探偵と見えない毒

となっていて、まず第一話の「化学探偵と呪いの藁人形」は、今や四宮大学のオカルト関連のカリスマ的アドバイザーと異名をとっている舞衣のところへ、大学の理学部に通う男子学生・村杉和弘のもとへ届けられる「呪いの藁人形」の謎解きが、彼の恋人と双子の兄から持ち込まれます。この藁人形は、大人の手のひら程度の大きさで、中に名前の書かれた紙がいれられ、胸のあたりに釘が刺さっている代物なのですが、この藁人形が現れるとめまいで立ち上がれなくなったり、異様に汗をかいたり、意識を失ったり、和弘くんの体調がぼろぼろになるとのこと。
舞衣は調査を始めるのですが、彼の双子の兄で、上がり症に悩んでいる達弘の姿が舞衣のまわりにみえるようになり・・、という展開です。
恋人の話によると和弘くんはスポーツ万能で成績も、人柄もいいイケメンが隠している秘密が謎解きの鍵になりますね。

第二話の「化学探偵と真夜中の住人」は、RNAの研究をしている助教の女性から持ち込まれた相談事。彼女は同じ分野を研究している優秀な男子学生の担当教官なのですが、彼が最近日中は研究室に顔をみせず、夜中から朝まで実験をして、研究室のスタッフや学生とは顔をあわせない研究生活をおくるようになってしまっているというもの。さらに、その夜の姿はガスマスクをつけて実験しているという異様さです。今までは真面目に「昼間」に研究室にやってきていた学生がなぜ、という謎解き。
この助教の女性・今津志保里は、この学生、松尾に好意を抱いていて、心配し過ぎかもしれないのですが、彼がバイオテロのような危険な研究を始めているのではと心配になっていて・・という展開です。理科系の研究室の実験というとラテックスの手袋が必須のところが多いですが、そのあたりがヒントになります。

第三話の「化学探偵と化学少年の奮闘」では、子供の頃から一緒に遊んでいた隣家のラブラドール・レトリバーの老犬のガンを治そうとする少年と、それを応援する化学者・沖野と事務職員・舞衣が見舞われるトラブルです。
舞衣のところに依頼にきたのは「烏丸大輔」という少年で、彼は隣家の犬(本名はツアラトゥストラというのですが、覚えられず「センセイ」と呼んでます)のために犬のガンの特効薬の製法を製薬メーカーから聞いて、沖野の指導のもと、自家製でつくろうとします。しかし、なんとかできあがった試薬を何者かに襲われて奪われてしまいます。試薬ができたという情報は、四宮大学の沖野と舞衣、そして「センセイ」の飼い主たちしかしらないはずなのですが、なぜ、犬のガンの薬を・・という謎解きです。

第四話の「化学探偵と見えない毒」は、四宮大学の学生の「美食サークル」でおきる食中毒事件です。舞衣へ持ち込まれた相談は、学内の「美食探求サークル」に初めて参加した女子学生からもたらされたもので、サークルの食事会で出されたキノコの鍋を食べた参加者たちが突如、眠気や頭痛、めまいを訴え始めるという異常事態に。1時間ほどすると全員の症状は収まり、医者からも急性のアルコール中毒だろうと言われたのですが、その女子学生はアルコールは一滴も飲んでいません。
この食材をもちこんできた学生は、サークルの主催者と仲がよくなくて、今回の騒動で、彼が「毒をもった」と皆から避難され始めたのですが・・という展開です。
今回の謎解きには、沖野准教授が以前いた大学の先輩が登場して、舞衣に沖野に余計な手間をかけるなと牽制し、さらに、彼をヘッドハンティングしようとしていると圧力をかけてくるのですが・・という筋立てです。

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レビュアーから一言

最終話では、沖野が前の大学を辞めた理由が明らかになったり、先輩学者からの熱心な勧誘もあり、日頃、舞衣からの謎解きの要請を面倒臭がっていることもあって、ひょっとすると四宮大学か転身か、と思えるところもあったのですが、今回はひとまず残留。このシリーズも次へとつながっていくようです。

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