アイヌの娘・アシリパは樺太で父の足跡をたどるー「ゴールデンカムイ」15

アイヌの娘「アシリパ」と日露戦争の生き残りで「不死身の杉元」と呼ばれた杉元佐一たちが、極東アジアを舞台に、幕末の新選組の生き残りの土方歳三や日露戦争で頭蓋骨の上半分を失った情報将校・鶴見中尉率いる第七師団を相手にアイヌ民族が明治政府打倒のために集めていた大量の金の争奪戦を繰り広げる明治のゴールドラッシュストーリー『野田サトル「ゴールデンカムイ」(ヤングジャンプコミックス)』の第15弾。

前巻で網走監獄に収監されている「のっぺら坊」が父親ティルクであることを確認したアシリパだったのですが、金塊の隠し場所の情報を巡って、網走監獄の犬養典獄や土方歳三たち、第七師団が大バトルを繰り広げる中、父親の秘密を深堀りするため樺太にわたったアシリパたちとそれを追う杉元たちを描くのが本巻です。

あらすじと注目ポイント

樺太編自体は第14巻からはじまっているので、まずそこらあたりの復習を少し。

元第七師団のスナイパー・尾形百之助とキロランケ、脱獄王・白石とともに樺太へ渡ったアシリパを追って、尾形に狙撃され怪我を負った杉元、谷垣は鶴見中尉と手を結び、彼の部下の月島軍曹・鯉豊少尉と樺太へ渡ります。
極東パルチザン出身のキロランケが金塊の隠し場所の秘密を知るアシリパを連れてパルチザン仲間に合流する前に確保しようというつもりですね。

樺太へ渡ったところで、杉元たちにチカパシと猟犬・リュウが密航してきていることがわかるので、都合五人+一頭でアシリパたちを追うことになったというのが第114巻の樺太編のすべりだしです。

第15巻の構成は

第141話 樺太アイヌ
第142話 在留ロシア人の村
第143話 スチェンカ
第144話 激突! 壁デスマッチ
第145話 ミスター制御不能
第146話 ロシア式蒸し風呂バーニャ
第147話 トドを殺すな
第148話 ルーツ
第149話 いご草
第150話 遺骨

となっていて、まず、杉元たちが橇から落ちた樺太アイヌの女の子・エノノカを猛獣・グズりから救出するところから始まります。グズリというのはイタチ科の獣で、凶暴な気性で「熊より恐ろしい」と言われている猛獣ですね。

これがきっかけになって、杉元たちは「大泊」にあるエノノカの村で、アシリパたちの情報収集を行います。彼らから得た情報によるとアシリパちはさらに北へ向かって行った、ということで荷物の運搬用にエノノカの犬ぞりを雇って、杉元たちも北に向かいます。

ただ、途中寄った村にあるカフェで酔客とケンカになったことが原因で、この村で行われるスチェンカに出場せざるをえなくなります。「スチェンカ」というのはもともとは冬に別れを告げ、春の訪れを準備するお祭り「マースレニツァ」で行われる、6人から100人ぐらいの闘士が一堂に集まり、二列に並んで相互に殴り合って、自らの勇気と強さを見せる競技なんですが、ここではそれに金をかける博打に仕立てあげられています。そしてその形にしたのが、奇妙な刺青をした日本人、ということで、にわかに「金塊探し」の話になってきます。
杉元たちは、その囚人の刺青を確認し、もし脱獄囚人のものであれが、それを写しとるために、毎夜開催される「スチェンカ」に参加します。その日本人は自らもスチェンカに参加していたのですが、強すぎて相手がいないため、最近では姿をみせていなかったのですが、杉元たちの強さが伝わって・・という展開です。

一方アシリパたちは、さらに北へ向かっています。途中、トドを狩って食料にしたり、当時は南樺太の主要産業であった黒狐の養殖場を訪ねて、亡くなった父親・ウィルクの情報を集めていきます。

そして、巻の後半部分では、今回から杉元たちの先遣隊に参加している月島軍曹の過去についてが描かれます。彼は佐渡島の生まれと育ちなのですが、彼が軍隊を志し、さらには父親殺しの罪に服役しているところを鶴見中尉の拾われて部下になるまでが絵が描かれます。そこには、極貧の中で知り合った女性の二重に偽装された死が影響しているのですが、その陰に鶴見中尉の企みが秘められています。どうやら、日露戦争当時から鶴見中尉は、北海道独立の計画を練っていたようですね。

ゴールデンカムイ 15 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL) | 野田サトル | 青年マンガ | Kindleストア | Amazon
Amazonで野田サトルのゴールデンカムイ 15 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)。アマゾンならポイント還元本が多数。一度購入いただいた電子書籍は、KindleおよびFire端末、スマートフォンやタブレットなど、様々な端末でもお楽しみいただけます。

レビュアーの一言>エノノカ飯は「コケモモの塩漬け」

今巻ででてくるアシリパ飯は獲った「トド」を捌いて生で「脂身」のところを食するシーンしかでてこなくて、正直あまり美味しそうではありません。
注目すべきは彼女がエノノカの村で御馳走になる「フレップ」、コケモモの塩漬けですね。

コケモモの正式名称はリンゴンベリーといって、耐寒性が強く、痩せ地でも良く育つので、北方ロシアや北欧の民話や伝説にはよくでてくる果物ですね。ただ、ジャムやジュースで見るツルコケモモ(クランベリー)とは別物のようです。

スポンサードリンク

コメント

タイトルとURLをコピーしました