内藤了「夢探偵フロイト4 アイスクリーム溺死事件」=「夢売り」のトラウマを解消せよ

埼玉県所沢市に所在する総合大学「私立未来世紀大学」の「幽霊森」といわれる学生も教員の近寄らない学内のはずれにある「夢」を可視化することを研究している「夢科学研究所」を舞台に、そこの主任教授の「フロイト」、工学専攻のオタク大学院生「ヲタ森」、卒業が危うい不器用なパリピ女子大生「あかね」が、夢に関連しておこる怪事件の謎を解いていく「夢探偵フロイト」シリーズの第4弾が本書『内藤了「夢探偵フロイト アイスクリーム溺死事件」(小学館文庫)』です。

前巻で吉夢と一緒に悪夢を売って、他人を犯罪に誘い込んだり、自殺に追い込む悪事を働き、そればばれそうになって、夢科学研究所に放火してあかねたちを焼殺しようとした「夢売り」卯田姫香が彼女が悪夢を見るようになった責任をとれと研究所に乗り込んできます。彼女の要求を受けて、姫香の悪夢の分析を始めると思ってもみない事件が引きずり出されてくるのが本巻です。

あらすじと注目ポイント>「夢売り」のトラウマを解消せよ

構成は

プロローグ
1 招かれざる客
2 頭から夢を引っぱり出す
3 メルヘン街のお菓子の家
4 事件か事故か
5 ヲタ森マジックと姫香の秘密
6 アイスクリーム溺死事件
エピローグ

となっていて、まずはプロローグで、前巻で他人の不幸が大好物で、「夢」を使って他人を犯罪や自殺に追い込んでいた「夢売り」卯田姫香が、彼女が高校時代に自殺ほう助をした被被害が亡くなったシーンの夢を見る所から始まります。

姫香は今までこれを悪いことをしたと思っていなかったようですが、前巻でフロイトに厳しく説教されてから、罪悪感が芽生えてきたせいで、その生徒を助けようとして助けられない夢を見るようになったのは、フロイトのせいなのでなんとかしろ、と無理難題をふっかけてきたわけですね。

もちろん、最初は迷惑がっていたフロイトたちなのですが、あかねが放火したことの謝罪を要求すると、素直に(謝罪の言葉遣いは相変わらずの「上から目線」ですが)謝ってくることから、燃えたヲタ森のシュラフや白衣代がわりに、夢を可視化する脳波の視覚再現ソフトの実証実験の被験者となることとなります。

そして、可視化される姫香の夢は、高校時代の自殺ほう助のもの以外に、メルヘン街と呼ばれた新興住宅街のメルヘン調に装飾された家の一室で、ほっぺたにカラースプレーチョコをつけて、頭をベトベトにして死んでいる男の子の夢が再現されます。この映像を見た姫香は、自分が最初に犯した殺人の現場だ、と告白するのですが・・という流れです。

調べてみると、このメルヘン街といわれる新興住宅街では住民層が若くて子供が多いこともあるのですが、お菓子の誤飲による子供の死亡事故が複数件発生していることがわかります。

しかし、彼女が自分がやったという男の子の死亡事件は、テーブルに置かれている金魚鉢の中に入ったアイスクリームに頭をつっこんで窒息死したというものなのですが、まだ幼くて小さかった姫香が自分より大きな男の子を押さえつけて窒息させれたとも思えません。

姫香が思い込んでいるアイスクリーム溺死事件の真相を探るため、あかねとフロイト、ヲタ森は、当時は「メルヘン街」と呼ばれていた住宅街へ実地調査に出かけます。

そこは住民の高齢化でメルヘン調の家はほとんどなくなっていて、メルヘン調のまま残っているのは、姫香が最初の犯行をしたと言っていた事件の現場となった、ピアノ教室をしていたお家だけです。そこの住人である花柄ワンピースのメルヘン調の装いの老女に会ったフロイトは・・といった展開です。

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レビュアーの一言>「代理ミュンヒハウゼン症候群」が謎解きの鍵?

今回、謎解きのヒントとしてでてくるのは「代理ミュンヒハウゼン症候群」という精神疾患の一つです。
これは、親が子どもの身体をわざと傷つけたり、病気になるよう仕組んだりしたうえで、健気に看病する親を演じて周囲の同情や注目を集めようとする精神疾患。 幼児虐待の特殊型名なのですが、これが事件の秘密にどう関係してくるかは、原書のほうで自らお確かめください。正直な感想を言うと、ちょっと飛躍し過ぎかな、と思うところもあります。

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