内藤了「AID 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子」=連続自殺の陰に過去の猟奇毒殺事件の鍵が潜んでいる

八王子西署の刑事組織犯罪対策課に勤務する、長野県出身で、八幡磯五郎製の七味唐辛子を常用する女性警官・藤堂比奈子が、ベテラン刑事の「ガンさん」こと厚田巌夫、東大法医学部の教授で「死神」と異名をとる石上妙子、鑑識課のオタク鑑識官・三木健、同僚のKY警察官・東海林恭子とともに、都内でおきる奇妙で凄惨な死亡事件の謎に挑んでいく「猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子」シリーズの第三弾が本書『内藤了「AID 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子」(角川ホラー文庫)』です。

前巻では、女性を拉致して殺害し、その女性の一番美しい部位の人皮をはいだ上で、廃病院に飾っておくという猟奇事件で、焼死しそうになりながら犯人を確保した比奈子だったのですが、今回は連続自殺事件の陰で、自殺をとめようと奮闘するボランティアが抱える過去の事件の謎を解き明かします。

あらすじと注目ポイント

構成は

プロローグ
第一章 壊れる遺体
第二章 遺体農場
第三章 影
第四章 AID
第五章 黒い三木捜査官
第六章 三〇年前の亡霊
エピローグ

となっていて、今回の事件は八王子市内のゴミ屋敷状態になっているアパートの一室で、首を吊って自殺後、腐敗して頭がもげた状態になっている男性の死体が発見されます。男は40歳前で、離婚して越してきたこのアパートで引きこもり状態になった末に自殺したものなのですが、その現場検証に立ち会った夜、死神女史こと石上教授から依頼が入ります。

それは女史が検死した多磨霊園でおきた車内に排ガスを引き込んで自殺し、その腐乱して行く様子が動画投稿サイトにアップされている事件の検体を、中島保の入っている「日本精神・神経医療研究センター」へ届けてくれという依頼が入ります。石上教授は、この時、十二指腸にできた癌の摘出手術のために入院中であったので比奈子にお使いを頼んだわけですね。

期せずして、二つの自殺事件に関わった比奈子なのですが、お見舞いと打ち合わせを兼ねて石上教授の入院している病院へやってきたところ、睡眠薬を大量に飲んで自殺を図った状態でタクシーで病院へ乗りつけた女性に偶然出くわします。

彼女が意識を失う前に言った「えいど」との約束を果たして、死んだ後、臓器をすべて移植に使っていい、という言葉が今回の2つの自殺事件と1つの自殺未遂時事件を結びつける鍵となっていきます。

さらにこの後も高尾山の登山道にある吊り橋で、飛び降り自殺を断念して、農薬のパラコートを飲んで服毒死した男性の自殺事件も起きるのですが、これらの自殺事件の周辺を捜査と、たった一人生き残った睡眠薬の自殺未遂者・佐々木亜希の情報から、自殺志願者が集まるサイトで自殺を思いとどまるよう説得する「AID」という人物の存在と、自殺者たちとの関連性が浮かび上がってきます。

この「AID」という人物の正体と連続自殺への関与の可能性を知らべるため、比奈子の同僚である鑑識課の三木捜査官が囮となって、このサイトへ自殺希望者に成りすまして書き込みを掲載します。

コンタクトをとってきた「AID」の自殺を止めようとする説得に、彼の分身は「AID」の説得をあざけるような返答をして、彼の正体を暴こうとします。しかし、なかなか思うようにいかない中、荷物をとりに自宅に帰った三木捜査官を、「AID]の信奉者と名乗る人物たちが彼を拉致し、車のトランクの中に閉じ込め、熱中症で殺そうとしてきて・・という展開です。
自殺未遂者・佐々木亜希からAIDや自殺者のサイトの情報を引き出したり、拉致された三木捜査官の救出には、三木にやっとできた恋人「西園寺麗華」が大活躍しますので、お楽しみに。

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レビュアーの一言

今巻には、30数年前に広島を皮切りに、各地で起きた自動販売機の取り出し口にパラコート入りに飲料を仕掛けておいて、それを誤って飲んだ人を死に至らしめた事件の推理もあわせて仕込まれている、という贅沢なミステリーになっています。
それが、比奈子が地元に密着した警察官として敬愛していた原島巡査部長の秘密にも絡んでくるという驚く仕掛けもされています。

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