赤名修「賊軍 土方歳三」5=明治政府の「松平容保」暗殺を阻止するのは誰?

新選組の副長として、近藤勇を支えるとともに、その冷徹さと智謀で知られ、倒幕の志士や薩長を恐れさせた「土方歳三」の、明治維新以後を描いたシリーズ『赤名修「賊軍 土方歳三」(イブニングコミックス)』の第5弾。

前巻では、「東北朝廷」を立ち上げて、明治政府に対抗する対極となって、日本の保東北・北海道に独立政権を樹立しようと試みる土方たち旧幕軍への明治政府の切り崩しが本格化してきていたのですが、今巻では秋田藩が寝返り勢力を削がれた土方たちに、会津を根幹から転覆させる動きが始まります。

あらすじと注目ポイント>明治政府の「松平容保」暗殺を阻止するのは誰?

構成は

第28話 少年の覚悟
第29話 本命
第30話 からす、再び
第31話 奇縁
第32話 見えない唄
第33話 君に詠む唄
第34話 新たなる希望
第35話 プロイセンの思惑

となっていて、前巻で東北朝廷の重臣・九条太政大臣を新政府賛成派の多い秋田藩に移し、九条卿を取り返しにきた仙台藩の使者を闇討ちにして、土方たちに痛手を与えた大久保利通たちの明治政府勢力は、さらに江戸を東京の改称し、ここを都を定める「東京奠都(てんと)」を発表します。

「奠都」は都を定めること、「遷都」は都を移すこと、といった区別があるようですが、実質的な政府機能は東京に集中することになるので、中身のところはほとんど変わりませんね。「大阪遷都」で公卿などの京都勢力から猛反発をうけた大久保が「都はどこ」という話をごまかすための目くらまし的なものですね。

この「東京奠都」によって、東北王朝の存在を完全に無視した明治政府は、東北王朝の転覆と消滅を図るため、王朝の根幹である会津をターゲットに定めます。

まず仕掛けたのは、会津の藩主・松平容保の嫡子の喜徳の襲撃です。日が落ちて月明かりのなか、福良本陣から猪苗代経由で帰城中の若君が狙撃されます。しかし、この企みは土方歳三によって見破られていて見事に阻止されます。その方法は、会津の若い白虎隊士の忠義心に頼ったもので、ということでネタバラシは原書のほうで。

しかし、この若君暗殺の動きは、実は囮です。明治政府の狙いは、若君暗殺を阻止したことで次の一手はこないと安心する東北朝廷側を油断させ、会津藩の藩主・松平容保を暗殺するの本当に狙いです。これを、「須賀河の夜討ち」で明治政府軍を蹴散らしたところで、土方は、仙台藩の細谷から知らさせることになります。

このとき、会津のほうは容保の護衛にまわれる部隊はすべて各地へ転戦していて、空っぽの状態です。この状態で8月のある日、会津松平家の墓所に宣教報告にでかけた容保を、明治政府の雇った狙撃兵が狙うのですが逆に彼を再狙撃する会津の腕利きの狙撃手が現れて・・といった展開です。この当時、光学スコープもない中で狙撃手は標的を狙撃しやすい位置を必死に探すわけですが、その会津の狙撃手によって、明治政府の狙撃手は逆狙撃しやすいおびき寄せられた仕立てになってます。

この後、土方のもとへは、ドイツのプロイセン出身の武器商と軍事顧問をしている「スネル兄弟」が、東北朝廷側へのプロイセンの援軍の話をもってくるのですが、それには蝦夷地割譲が条件となっていて・・という筋立てです。明治政府に対抗するため、この条件を受け入れる気持ちに傾く松平容保を説得しようと、容保に会う土方なのですが、母成峠を破られた容保は仙台沖で幕府軍の榎本艦隊と合流することを拒み、会津城での籠城戦を決断し・・という展開です。

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レビュアーの一言>新島八重、再び登場

今巻では、第2巻で登場した「新島八重」が再び登場します。この当時、会津の藩校日新館の教授をしていた川崎尚之助と結婚しているのですが、土方は、容保公の護衛の依頼とあわせて、想いを寄せるような和歌を送っていますね。

この後、会津戦争では、鉄砲を主力として戦うべきだと主張して、薙刀を主力とする女性の軍には参加せず、スペンサー銃を武器に、鶴ケ城籠城戦に参加しています。史実では、土方は会津の籠城戦には参加せず、仙台から榎本艦隊に合流しているので、ここで二人は再開することなく、お別れということなのかもしれません。

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