内藤了「COPY 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子」=被害者の心臓を備える猟奇殺人は秘密結社の内紛につながる

八王子西署の刑事組織犯罪対策課に勤務する、長野県出身で、八幡磯五郎製の七味唐辛子を常用する女性警官・藤堂比奈子が、ベテラン刑事の「ガンさん」こと厚田巌夫、東大法医学部の教授で「死神」と異名をとる石上妙子、鑑識課のオタク鑑識官・三木健、同僚のKY警察官・御子柴秀、バイク乗りのイケメン刑事・倉島や実家がお寺で陰の薄い忍者的存在の清水、厚田班から本庁捜査一課に異動した東海林恭久とともに、都内でおきる奇妙で凄惨な死亡事件の謎に挑んでいく「猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子」シリーズの第九弾が本書『内藤了「COPY 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子」(角川ホラー文庫)』です。
前巻で、人魚の遺棄事件をきっかけに、マッドサイエンティストのキメラ合成事件に挑んだ比奈子たちだったのですが、今巻では30年前におきたオカルトチックな事件と類似する猟奇事件の捜査が、秘密結社の大規模な犯罪へとつながっていきます。

あらすじと注目ポイント

構成は

プロローグ
第一章 ウェディングベル
第二章 魔法円殺人事件
第三章 影人間
第四章 人捨て場の遺骨
第五章 殺し屋と殺人者
第六章 影人間の陰
第七章 コピー
エピローグ

となっていて、まずは、三木捜査官と西園寺麗香との結婚披露宴の最中に事件の呼び出しがはいるところから始まります。

事件の内容は、八王子市内の取り壊し予定のビルの内部で、男性二人の死体が発見されたのですが、その死体から心臓がくり抜かれ、その心臓は頭と足を交互にして寝かされた被害者たちの真ん中に置かれているという陰惨な自犯行です。

実は、心臓がくり抜かれて呪物のように供えられている殺人事件は、警視庁管内で過去」に二件おきています。一つは、30年前に世田谷区で内部告発で監察対象だった警察官とその家族3人が殺されたもので、もう一つは、12年前に板橋区で起きた歯科医院の院長とその家族3人、さらにたまたま居合わせたらしい外国人の男性は殺され放火されたという事件です。

二つの事件とも死体から心臓がくり抜かれ、死体の頭のところに供えられていて、被害者の血で魔法円が描かれていた、というオカルトチックな事件です。この2つの事件はいずれも迷宮入りしているのですが、最初の事件には若い頃の石上教授が検死医を務めていて、現場の残虐さにショックを受けて、それが流産の遠因となったといういわく付きの事件です。

比奈子たち厚田班のメンバーは、犯行の残虐さと犯行現場の特徴からこの3つの事件の関連性を含めて捜査を始めるのですが、三番目の事件の被害者の爪に残されていた皮膚片のDNAから、前巻「MIX」で人体合成を行っていたマッドサイエンティストの我孫子を殺した殺し屋・ランニングマンのDNAと一致し、ということで、最近、比奈子たちが関わってきた猟奇殺人事件との関連性がクローズアップされてきます。

さらに、千葉県警から木更津の丘陵地帯にある牧場跡地で、大量の変形した人骨が見つかり、厚田班のほうへ調査依頼が舞い込みます。どうやらいままでの実績から、猟奇的な事件の専門班のような扱いに警察内部ではなってきているようですね。

そして、ここから採取された人骨のDNA鑑定分析結果が、比奈子が関わり、今は中島保が収容されている医療研究センターにいるある少年との関わりが発見されて・・という展開で、バラバラに起きていた猟奇犯罪と闇の組織との関連性が一挙に浮かび上がってくるとともに、30年前、12年前、そして現在に起きた心臓をえぐり出す猟奇事件が、ある秘密結社のリーダーの権力争いとか変わっていることが明らかになり・・という流れです。

一方、医療研究センターに収容されている、連続殺人魔・佐藤都夜を焼死させ、比奈子が保護した乳幼児連続殺人少年・児玉永久は、仲の良いサヴァン症の天才少年・金子と一緒にセンター内にそこの研究員になりすまして入りこんでいる「影人間」たちの正体をつきとめるのですが、この本格的な展開は次巻に続いていきます。

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レビュアーの一言

被害者の血で描かれた魔法円とその中心部に置かれた心臓、という設定から、このシリーズも、作者の最近のシリーズ「よろず建物因縁帳」っぽいオカルト趣味へ行くのかなと思ったのですが、外れてしまいました。しかも、人間らしい感情をどこかにおいてきたような少年・児玉永久の意外な正体も判明し、オカルトではなく、現代科学の闇のようへとつながっていくようですね。

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