内藤了「夢探偵フロイト2」=高Pお嬢様の悪夢に15年前の猟奇殺人が隠れている

埼玉県所沢市に所在する総合大学「私立未来世紀大学」の「幽霊森」といわれる学生も教員の近寄らない学内のはずれにある「夢」を可視化することを研究している「夢科学研究所」を舞台に、そこの主任教授の「フロイト」、工学専攻のオタク大学院生「ヲタ森」、卒業が危うい不器用なパリピ女子大生「あかね」が、夢に関連しておこる怪事件の謎を解いていく「夢探偵フロイト」シリーズの第2弾が本書『内藤了「夢探偵フロイト てるてる坊主殺人事件」(小学館文庫)』です。

前巻でマッド・モランという泥の化け物に追われる悪夢に潜んでいた過去に小児病院を襲った土砂崩れとそこに埋もれてしまった闇の児童売買を暴いた夢科学研究所の三人だったのですが、今回は殺したあとに髪をそりあげる連続絞殺事件の謎に迫ります。

あらすじと注目ポイント>高Pお嬢様の悪夢に15年前の猟奇殺人が隠れている

構成は

プロローグ
1 ロリィタ服でティッシュを配る
2 夢科学研究所にスポンサーがつく
3 睡眠実験で起きた奇妙なこと
4 てるてる坊主殺人事件
5 あかね悪夢に感染する
6 悪夢の正体
7 フィールドワーク
8 殺人鬼・髪切り魔
9 十五年前に起きたこと
10 ロリィタの夕べ
エピローグ

となっていて、出勤途上の男性が、神田川沿いの千代田区指定の喫煙所でタバコを吸っているときに、川に浮かんでいる女性の死体を発見するところから始まります。真っ赤なベビードールとドロワーズを着て、片足だけにソックスを履いた状態で紐で絞殺されているのですが、髪が剃り上げられているという異様な姿です。

この女性は、このシリーズの主人公の一人であるパリピ女子大生「あかね」の親友「カスミ」の知り合いで、女性がバイトをドタキャンしたために(この時、すでに死亡していたのでバイトなんかには行きようもなかったのですが)、その穴埋めで「あかね」がロリィタ服でロリィタパブのティッシュ配りというバイトにありついた、という蛇足的な話が途中に挟み込まれます。実は、このバイトの際に、事件の手がかりとなる大事なヒントに遭遇しているので、読者の皆さんは記憶しておいてくださいね。

で、本編のほうは、今まで研究費がカツカツで貧乏していた夢科学研究室に初めてスポンサー付きの研究が持ち込まれます。それは、マットレスや枕などの輸入販売を手掛けている企業からのオファーで、自社開発の「安眠枕」の性能実験をしてほしい、というものです。この調査のため、数人の学生モニターを募集するのですが、その中に「塚田翠」という、隙のないメイクと高価なファッションに身を包んだ、とんでもなくわがままな女子大生が参加してきて、不器用な「あかね」は振り回されるのですが、実はこの女性は、この「安眠枕」をつくったスポンサー企業のオーナー社長の娘で、「安眠枕」もこの娘の「悪夢」を解消したいということから開発されていたことがわかります。

今回の実験で複数の被験者が同じ時間に悪夢にうなされるという現象が起きるのですが、それは「塚田翠」が悪夢を見始めた時と同時に起きていて、どうやら、翠の悪夢が他の被験者にも伝染しているようです。しかし、その悪夢の内容は、翠をはじめ誰一人覚えていない、と主張していて・・という流れです。

一方、本書の冒頭で起きた絞殺事件のほうは、「あかね」の友人「カスミ」が知り合いが惨殺されたことにショックを受け故郷へ帰ってしまったことから、「あかね」と「ヲタ森」が調査を始めます。そうすると、15年前に6歳の少女がお祭りの日におめかしをしてでかけたまま行方不明になり、翌日絞殺されて見つかった事件を皮切りにの複数の女の子が犠牲になっていることがわかります。

そして、「塚本翠」の悪夢は、田舎の神社の階段を登っていったところで、赤い着物に三尺を締め、泣いている女の子に出会うのですが、その女の子が振り向くと、その顔はつるんとしたのっぺらぼうで、というものなのですが、その悪夢を可視化して翠の親に確認すると祖母の家の近くであるとともに、第一の事件で殺された少女の住んでいたところでもあることがわかります。

翠の悪夢と、15年前から現在まで続く、女の子の髪を切り取る連続殺人事件とが結びついた所で、「あかね」にその犯人の「魔手」が伸びてくるのですが、詳細は原書のほうでどうぞ。

少しネタバレすると、いつもの天然系の「あかね」が犯人の張り巡らす罠に入っていくあたりからホラー系のアクションが続いていくのでお楽しみに。

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レビュアーの一言

天然系のパリピ女子大生で、第一作の「マッド・モラン連続死事件」で登場した頃は、ガサツなところが目立っていた「あかね」なのですが、第一作で相談者の自殺に直面してからは、今巻からは、自分を小馬鹿にしている社長令嬢「塚田翠」のことを気遣ったり、知り合いが殺されて落ち込む友人の「カスミ」を心配したり、と「いい娘」オーラが出まくっています。これで天然系の推理のキレがあわさると意外な名探偵が誕生するかもしれません。

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